2018年07月10日

ZEHとZEBで省エネルギー

経済産業省、国土交通省、環境省は省エネルギーの推進や自然エネルギーの利用促進のために、住宅やビル等を対象にしたZEH、ZEBの概念を推進しています。今回はこのZEH、ZEBについてふれてみます。

高騰する電力料金と省エネルギー対策

東日本大震災の後に電力料金は高くなりました。全国平均で30%以上高くなっています。特に原発事故対策費が重くのしかかる東京電力管内では40%近く高くなっています。産業活動や国民生活において省エネルギーの推進が極めて重要になります。このように電力料金が高くなりますと、少々コスト高な高機能の省エネ機器を導入しても十分に経済性が成り立ち、場合によっては電力などのエネルギー経費の削減が出来て利益につながることもあります。

省エネ環境住宅、ZEH(ゼッチ)

ZEHとはネット・ゼロ・エネルギー・ハウスのことです。ZEHは住宅の外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現します。さらに、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとなることを目指した住宅です。ZEHの概念を図1に示します。

図1 ZEHの概念(環境省資料)

ZEHは、経済産業省、環境省、国土交通省が連携して住宅の省エネやCO2の排出削減に取り組み、2020年までに新築する戸建住宅の半分以上をZEHにして、2030年までに建売戸建や集合住宅を含む新築住宅の平均でZEHを実現することを目指しています。

現在、ハウスメーカー等が新築する注文戸建住宅において申請して認められれば、ZEHに対して補助金が出されます。この補助金は、経済産業省では「省エネルギー投資促進に向けた支援補助金」の一部として、環境省では「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス化等による住宅における低炭素化促進事業」の一部として、国土交通省では「地域型住宅グリーン化事業」の一部として実施されています。図2にZEHの具体的なイメージを示します。

図2 ZEHの具体的なイメージ(経済産業省資料)

省エネ環境ビル、ZEB(ゼブ)

ZEBとはネット・ゼロ・エネルギー・ビルのことです。昨年の4月以降から延べ面積2000㎡以上の新築非住宅建築物等は省エネルギー基準の適合が義務化されましたが、省エネルギー基準に適合した建築物より一歩先へ進んだ環境建築の選択肢の一つとしてZEBが注目されています。

ZEBを達成するための基本的な考えはZEHと同じです。空調、換気、照明、給湯、昇降機等の省エネルギーに努め、自然のエネルギーを活用します。具体的には、高効率空調機や高効率給湯器等を使用し、壁を高断熱化や自然換気の活用等を行います。また太陽光発電や昼光利用も進めます。ZEBの具体的なイメージを図3に示します。

図3 ZEBの具体的なイメージ(経済産業省資料)

ZEBを目指すためには、まず負荷の抑制と自然エネルギーの利用を行った上で、設備システムの高効率化により50%以上の省エネルギーを実現することが必要です。これらの条件の実現には、建築計画的な手法を積極的に最大限に活用しつつ、長寿命かつ改修が困難な建築外皮を高度化した上で設備の効率化を重ね合わせることで省エネルギー化を図らなければなりません。以上がZEBを目指す第一歩です。

ZEBの具体的なメリットとしましては、室内環境の質を維持向上しつつ光熱費を削減できます。また、環境に配慮した建築物を求めるテナントや投資家が増えており不動産価値の向上になります。さらに、エネルギーの見える化により従業員への省エネルギー意識の啓発が期待できます。

ZEB関連補助金は経済産業省、環境省、国土交通省から出されています。経済産業省では「ネット・ゼロ・エネルギービル実証事業」として、環境省では「業務用施設等における省CO2促進事業」として、国土交通省では「サステナブル建築物等先導事業」として実施されています。

省エネルギーと温暖化対策

電気料金の上昇は、東日本大震災後の原発事故対策や再生可能エネルギーの賦課金が主な原因です。また、多くの原発を休止して電力の約九割を火力発電に頼っている日本では、最近の原油価格の上昇も電気料金を押し上げます。なお、天然ガスや石炭などの燃料の価格は原油価格に連動しています。

日本では産業界からのCO2の排出は減少しておりますが、逆に住宅やオフィスビル、大型商業施設からのCO2の排出が増加しています。ZEHやZEBの普及はCO2排出削減にもなります。

ZEHやZEBの普及が進んで一層の省エネルギーと地球温暖化対策が達成されることを期待致します。