2003年07月05日

人は変わらない

 あなたは今のままだと、きっと変わらない。人は同じ環境に長く居すぎると、進化しないのだ。日常に慣れっこになって、新しいことをやったり、冒険するのがおっくうになってしまう。

 自分を大きく変えていくとき、絶対に必要なのは環境だと僕は思う。そのうち最も効果があるのが次の3つだ。

1.国を変える
2.仕事を変える
3.つきあう人を変える

 僕自身、アメリカに留学したことで「自分の考えは間違っていない」ことがわかったし、IT業界から翻訳・講演・執筆といった創作活動に変えてから、自分らしさを見つけられた。さらに、サラリーマン社会を離れ、自営業の人達と多く出会うことで、生きる楽しさを知ることができた。どれも国、仕事、人といった外的要因の刺激を受けて自分が変われた、進化できたのだ。そうでないと、人の価値観は悲しいかな、なかなか変わらない。


1.国
 先日、2年余り音沙汰のなかったMさんから突然メールが入った。
 「ご無沙汰しています。突然ですが、通訳をお願いしたいのです。今度アメリカの化粧品を輸入販売することになって、その打ち合わせなんですが...」

 「これって、あのMさん?」と私は目を疑った。
 Mさんは、失礼だができればあまりかかわりたくない人だったのだ。なぜか彼女はトラブルメーカーだった。急に連絡がとれなくなったり、25歳過ぎだというのに、親から突然、文句の電話がかかってきたり、紹介した友人とトラブルを起こしたり...。最近は連絡もないので、正直ほっとしていたところだった。「自立していないトラブルメーカー」、それが僕の中の彼女だった。なので今回の話もあまり信じていなかった。

 しかし、僕の予想は見事に裏切られた。彼女の話は本当だったのだ。
 Mさんは明らかに進化していた。彼女はその後香港に1年半ほど留学し、現地で広東語をマスターしながらインターネットの使いかたを覚える。そしてその後、ハワイで出会った日系人の自動車パーツの輸入手続を手伝っているうちに自分でもそのノウハウを身につけ、ネット等で販売するようになる。いまでは自分で有限会社を作り、自ら日本のメーカーからパーツを仕入れて海外に売りさばき、月収50万はくだらないという。そして今回、さらに化粧品の輸入販売を手掛けようとしているのだ。すでに国内の大手輸入雑貨店や通販会社とも交渉を進めているというから驚きだ。なにがそこまで彼女を進化させたか。

 そのひとつに、僕は「香港」という国があったのだと考える。
 香港は、日本よりよほど活気に満ちている。みな商売っ気があるのだ。ほとんどの人がアクセントの強いブロークンイングリッシュを武器に、世界を相手にやりあっている。そんな環境にいると「自分もなにかやらなきゃ。自分にもできるはず」という気になるものだ。

 僕もアメリカで通算2年生活したが、そこで「自分の好きなことをして人生を送る」といういまの価値観のベースが培われた。日本では「できるだけ自分を高く買ってくれる会社を見つけること」が一番大事なように思うが、アメリカはそれよりも「自分のやりたいことをする」価値観のほうが優先している。


2.仕事
 仕事を変えることで人の可能性が引き出される。たまたま人から任された店番が自分の肌に合い、そのまま店長になってしまった証券マンが家庭教師派遣をやって大成功した、などはよくある話だ。

 独立するとその効果はより顕著だ。ある社長さんがこういった。
 「私は優柔不断な人間で、自分に決断力がなかったので、社長になった。社長になればすべての意思決定を自分でせねばならないからだ」

 せざるを得ない状況に追い込まれると人は進化する。またやりたいことを自分にやらせてあげると、意外な成果が出たりする。あなたをもっと生かす仕事があるはずだ。


3.つきあう人
 サラリーマン仲間でずっと顔を合わせていると、考え方までサラリーマンになってしまいがちだ。要はパラダイム(考え方の枠)が「与えられた目標・仕事をいかにうまくこなすか」で止まってしまい、「自分で仕事を作り出す」ところまでなかなか行かないのだ。また「すべての責任を自分がとる」という発想もない。必ず会社が楯になっているからだ。

 一方、独立している人達は「自分で仕事を作り、すべての責任を自分でとる」人がほとんどだ。そういう人達に囲まれていると、緊張感の中にも自信が感じられ、いつも行動のエネルギーを分けてもらえる。つきあう人を選ぶことはメシを食うのと同じくらい大事だ。

 環境や条件が変わると、いままで眠っていた細胞が目を覚ます。海外に行ったときなど、誰もがそれを感じるだろう。その感覚を常に持ち続けることができたら、どんなにエキサイティングだろう。自分を進化させるには考えを変えようと思わず、自分のいる環境を変えてみよう。そうすれば勝手に自分の意識が変わってくれる。

 だが、なにもいきなりアメリカに住めとか、転職しろと言うのではない。海外旅行でもいい、同じ会社の違う部署の仕事を手伝ってみるのもいい。いつも行かないスーパーで買い物をしてみたり、ひとつ手前の駅で降りてみる、そんなことからはじめてみよう。

 常に新しい発見がある環境を自分で作る。そういう人が進化していくのだ。

<今月のレッスン:人は変わらない。環境が人を変えるのだ>


お知らせ:
初の自著「あなたが輝く生き方がきっとある!」(半蔵門出版)が書店に並びました。
自分らしい生き方を見つけて輝いている40人と私が、皆さんの背中をポン!と押します。
「なんだか勇気が出てきました」「自分らしくやっていいんですね」などの感想が。
自分のまだ見ぬ可能性を信じている方、ぜひ読んでください!