バルセロナ世界水泳では、自由形のメダル候補となったイタリアのペレグリーニ選手。モスクワ世界陸上では、走り幅跳びの新星、ロシアのクリシナ選手とともに、ファッションモデルとしても活躍する二人の美しさは、両大会でそれぞれ際立っていました。水中であろうと、砂まみれであろうと、美しく目立つとはこういうことか・・・と男性ならずとも、思わず画面に見入ってしまうほど。
同じ世界陸上で目立ったと言えば、女子100mの女王、ジャマイカのフレーザー選手のピンクにカラーリングした髪もかなりのインパクトがありました。スニーカーと同じピンク色の頭が、ブレることなく圧倒的な速さでゴールするシーンでは、強さを目立たせるための演出としても威力を発揮。彼女以外にも、カラーバランスを考えて、ウェアの色に映えるアイシャドウでしっかりアイメークをしたり、チームカラーのヘアバンドをアクセサリー感覚でアレンジする選手たちも見ましたが、いずれも注目の視線をパワーに変えられる強さを持っている、実力者ばかりでした。ユニフォームに制約があるからこそ、目立つためのヘアメークの工夫はより過激になっていく様子です。
そんなことを考えながらTVを見ていると、女子の競技から男子のトラックにカメラが切り替わりました。そこに、高校生として初めての世界大会に挑むジェット桐生こと、桐生祥秀選手が写し出されたのですが、驚くことに彼の素朴さが、逆に目立って見えたのです。今や、甲子園に出場する高校球児たちにも見かけることが少なくなった「素朴さ」があまりにも新鮮であり、これからなんでも吸収していけそうな可能性のかたまりが光って見えたのかもしれません。
22才のクリシナ選手が「陸上にもっと注目してもらうためにモデルをしているの」と華やかに答える中、17才の桐生選手には、どう化けるのかわからない、ダイヤの原石のような魅力が感じられます。これから世界の舞台で磨かれて、実力を兼ね備えた目立つ存在になって欲しいと思います。
中村浩子なかむらひろこ
株式会社ヴィーナスプロジェクト 代表取締役社長
大学在学中より、光文社「JJ」において、ファッション・ライフスタイル担当の特派記者となる。その後、小学館「CanCam」を経て、光文社「VERY」、「姉VERY」、「STORY」の創刊記者を務める。オ…