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2008年09月10日

温故知新の健康観

今月は日常ながら運動の原点について、古典を参考にして解説する。

日常ながら運動は、300年前の江戸時代、貝原益軒が84歳のときに著した「養生訓」(1713年)に触発されて考案したものである。 養生訓は今でも古典として読み継がれるだけあり、シンプルな健康づくりの知恵に満ちており、健康づくりを考え、そして実践する際に、実に参考になる。

其の1 人間は百歳を上寿とする
「人間の寿命は百歳を上限とする。上寿は百歳、中寿は八十歳、下寿は六十歳である。 六十歳以上の人は長生きである。世間の人をみると、この下寿の六十歳まで生きる人は少なく五十歳未満の短命の人が多い。人の命は、なぜこのように短いのか。これはみな養生の術がないからである。短命の人は生まれつきではない。十人のうち九人までは自らの不養生で身体を害している。だから、人はみな養生の術を心得なくてはならないのである」

実に本質をついた、大胆な発想で、思わず「う~ん」とうなずくのでは。高齢者を弱者扱いしないで、むしろ人生の先達として高く評価している姿勢が明確に打ち出されている。

其の2 三楽―善楽・健楽・長楽
「人間には三つの楽しみがある。一つは道を行い心得違いをせず善を楽しむこと。二つ目は健康で気持ち良く楽しむこと。三つ目は長生きして長く久しく楽しむことである。いくら富貴であっても、この三つの楽しみがなければ真の楽しみは得られない。それゆえに富貴はこの三楽にいれないのである」 

お金で買える幸せなどほんのわずかに過ぎない、という自明の理を、改めて考えさせられる一節である。失ってみてはじめてわかる健康のありがたさである。

其の3 運動不足の弊害
「身体は毎日、少しずつ動かすものであり、長く座ってばかりではいけない。毎日食後には、庭を数百歩静かに歩くこと。もし雨の日だったら、室内でいいから何度もゆっくりいったりきたりするとよい。
このように、毎朝毎晩運動をすれば、鍼・灸を使わないでも、飲食はすすみ、血液の循環もよく病気にかからず、痛い思いもせずに、楽に健康を保つことができ得る」

雨の日だからできないという理由をつけさせないところが、実践的ではないか。メタボに悩まされる現代人にとって耳の痛いことだ。

其の4 家事はながら運動の宝庫
「家にいるときには自分の体力に適した労働をすることだ。立ったり座ったりする動作をいとわず、部屋の中のことは下女、下男を使わないで、できるかぎり自分の体を動かすようにしなければならない。そうすれば思ったように事が調(とと)のうので、人でを必要とせず、召使を使うための心労もしないですむ」

自分から率先して動けば健康にもいいし、精神的なストレスをためることもなく一石二鳥といっているのだ。部下をいかに動かそうかと日々気に病んでいる管理職者は身につまされるのではないか。

ベンジャミン・フランクリンの健康観
ところで、貝原益軒とほぼ同時代に生きた、政治家、自然科学者、哲学者、文筆家で、アメリカ合衆国の独立宣言を起草したことで著名なベンジャミン・フランクリンも日常生活の中で健康づくりを実践していたという。そのことは彼が1772年(66歳)に、息子へ宛てた手紙から知ることができる。

「親愛なる息子よ、おまえが体調が良くないと言っていることが気になります。体調を改善するには運動をするのが一番良いのです。そして大事なことはその運動を続けることです。病気を薬で治そうとするより、病気にならないようにすることが重要です」

「どのような運動をするのかは時間とか距離で決めるのではなく、その運動でどれくらい体が暖まったかによって決めればよいのですが、大きな違いにだけは注意します」

「馬車に乗って5マイル走るよりも、馬に乗って1マイル走る方が運動になります。5マイル馬に乗るよりも1マイル歩く方がもっと運動になります。さらに、平らなところを5マイル歩くよりも坂道を1マイル歩く方がずっと運動になります」

「天候が悪くて外に出る気がしないときでも、運動は室内でやることができます。ダンベルを使うと簡単な運動ができます。ダンベルを40回も振ると脈拍が1分間に60から100くらいになりました。脈拍が上がると次第に体が暖まってくるように思います」 

フランクリンはダンベルを使った運動を80代まで続けたという。
そのことは1786年(80歳)の友人にあてた手紙に書かれている。

「私は節制して、毎日ダンベルを使って運動しています。ワインは飲まず、毎日ダンベルをつかって運動しています。そうしなかったらブクブク太るところですが、こうした生活のおかげで今の体重を維持でき、健康でいられるのだと思っています」 

21世紀は過去に類を見ないほどの生活スタイルの激変にさらされ、テクノロジーはめまぐるしく変化している。何事に関しても詳細に分析し、医科学の知見に依存しがちな昨今である。だからこそ健康に関しては、簡潔で余計なものが一切混じらない、普遍的な健康哲学が必要とされるのだ。

シンプルだけれども、知れば知るほど奥が深い、それが日常ながら運動の本質だと心得よ。

長野茂

長野茂

長野茂ながのしげる

株式会社フィットネスビジネス研究所代表取締役

「日常ながら運動」のパイオニア。忙しい現代社会で自分のライフスタイルに無理を上乗せするような、特別な健康づくり、ダイエットはなかなか長続きしません。どんなに仕事が忙しくても、どんなに不規則な生活をして…

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