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2009年03月10日

究極の仕事ながら運動―デスクワークは絶好の運動タイム

日常ながら運動の継続のコツは現在の生活習慣を大幅に変えないこと、一つ一つの動きを見直して工夫することが肝要である。よく運動不足を解消しようと一念発起して「今日から駅までバスに乗らずに30分かけて歩こう」とするが、これでは、今までと同じ、間違いなく3日坊主になる。それよりもバスに乗りながらどんな運動ができるだろうかと考え、実践するのが「ながら的」には正しい。

現代のIT社会では、ビジネスマンはパソコンワークで朝から晩まで椅子に縛り付けられ、体を動かす機会が失われ、ますますメタボ街道を邁進している。仕事でコンピュータを使って作業している労働者は86%で、78%の人が身体疲労を感じているのが実態なのだ(技術革新と労働に関する実態調査)。中には生活習慣病を発症し、寝たきり、認知症の不安さえ抱いている者もいることだろう。

だからといって、1日8時間のデスクワークを、今日から4時間に減らし、半分は外回りの仕事をしようと勝手に決められるものではない。この状況を受け入れ、ポジィティブに捉え、運動不足を解消するのが日常ながら運動の真髄なのだ。たとえば、筋トレ、ストレッチはその場を動かないで行うものである。したがって、何時間も同じ場所に座り続けるデスクワークは、逆に、1日中筋トレ、ストレッチタイムに変えられるということ。デスクの周囲1mはマイジムと思えば、道は開かれる。

さらに、もう一歩踏み込んで、デスクワークは座ってやるものだという固定概念を取り払い、立ってできるものだと発想してみよう。私の場合、最初は座り作業の合間に立ち作業を少し取り入れ、慣れてきたら立ち作業の割合を増やし、半々くらいにし、今ではパソコンの高さを調節して、1日8~10時間、立ってパソコン作業をしている。

これだけで座って作業するよりエネルギー消費量が1日200kcal以上増える。200kcalというと、早足歩き、ゴルフ、自転車、テレビ体操などで1時間、ジョギング、サッカー、バスケットボールなどを30分くらい行うのに相当する。しかも仕事は、好き嫌いにかかわらず、毎日必ず行うわけだから、「今日はサボろう」ということはあり得ない。

もし、あなたのオフィスがパティションで細かく区切られていたり、自由な社風であるならば、立ってデスクワークができるように工夫するとよい。それが難しいなら、せめて自宅のパソコンくらいは立って作業したらどうだろうか。

立ってパソコンワークを行うメリットはエネルギー消費を高めるだけではない。全ての活動に共通しているのは座る、立つ、歩くときの姿勢だが、この中で最も姿勢を正しやすいのは立っているときである。背筋をシャキッと伸ばし、腹式呼吸で大きく息を吐いて、臍下丹田を意識してお腹をギュッとへこませることで、腹圧を高めて、せり出したお腹のたるみを引き締める運動になる。

「前かがみ姿勢」や「反り姿勢」が自然に矯正され、脊椎も正常なS字曲線を維持できるので、腰の負担が軽くなり、デスクワークの悩みである腰痛の予防、改善効果も上がる。

また、基本姿勢が立っているのと座っているのでは、フットワークが全く違ってくる。オフィス内の移動、電話を取る、来客の応対、コピー取り、書庫の出入りなど、無意識のうちにまめに動くようになる。「ちりも積もってダイエット」を自然体で実行できるはずだ。

またネット、光ファイバー、無線LAN、IP電話・テレビなどのITが普及するにつれ、「テレワーク(在宅・モバイル勤務)」という新たな労働形態、ビジネス環境が現実化しつつある。「組織力、チームワーク、情報セキュリティーの漏洩、生産性、公私混同、人事考課」といった問題が指摘されながらも、「業務の生産性はオフィス勤務と同等か、それ以上」との回答は91%にも上るという(日本テレワーク協会)。

テレワークは通勤ストレスからの解放、仕事と家庭の両立、少子高齢社会における夫の育児参加、介護対策など、数々のメリットが上げられる。しかし、男のメタボ問題から見ると心配な面もある。少なくとも通勤での運動がなくなり、仕事と生活のメリハリがなくなれば、よほど自己コントロールしない限り「のべつ幕なし食い」に陥ることは容易に想像できる。気がついたら1日中外出せず2000歩以下で、食べ放題ならば、短期間のうちにメタボ男の一丁上がりとなる。

まずは仕事しながら筋トレ、ストレッチを実践し、ときには将来のビジネス環境を見据えて、今から立ってパソコンにトライしてみよう。そうすれば、逆にテレワークはメタボを計画的に解消でき、生涯理想的な体重を維持でき、生活習慣病と無縁に過ごせる絶好の機会になることだろう。

デスクワークは座ってやるものだと決めつけない。

長野茂

長野茂

長野茂ながのしげる

株式会社フィットネスビジネス研究所代表取締役

「日常ながら運動」のパイオニア。忙しい現代社会で自分のライフスタイルに無理を上乗せするような、特別な健康づくり、ダイエットはなかなか長続きしません。どんなに仕事が忙しくても、どんなに不規則な生活をして…

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