2010年03月25日

対立を解く

親業訓練では、親子間に対立が生じたとき、それを解決するための対応法を学びます。
親が子どもの行動で困ったと感じていて、子どもにも子どもの言い分があるとき、両者が納得の出来る解決策を見つける話し合いの仕方です。どちらか一方が満足し、もう一方が我慢をするような「勝ち負け」のない方法です。
今回はその方法を、事例を交えながらご紹介しましょう。

長女はお友達と図書館に本を借りに行く約束をして帰宅しました。これからお友達が長女を迎えに来てくれることになっているのですが、次女もお姉ちゃんたちと一緒に図書館に行きたがっています。でも、次女はこのところ咳が出ているので母親は行かせたくありません。さて、困った...どうしましょう。

子どもが咳をしていると、親は、子どもの身体も心配ですが、周囲の人へも迷惑がかかるのではないかと気になるものです。母親は、そのお友達のお母さんとも親しくしています。もしも風邪をうつしてしまったら、お友達のお母さんに何かを言われるのではないかと思うと、なおさら心配になります。
母親は、親業訓練講座で学んだ「勝負なし法」に挑戦します。
「勝負なし法」はいくつかの手順を踏みますので、それにそってご説明します。

1、親の気持ちを「わたしメッセージ」で率直に子どもに伝え、「能動的な聞き方」で子どもの気持ちを聞き、お互いの「困っていること(欲求)」をはっきりさせます。
母  お咳が出ているのに一緒に図書館に行って、○ちゃんに風邪がうつって し
    まうと、○ちゃんのお母さんから『気をつけてね』って、注意をされるん じゃ
    ないかと思うととっても心配なの。(母親の欲求)
娘  だって、一緒に行きたいんだもの
母  そうか、お留守番はイヤなのね
娘  ずっとおうちにいるのはつまんないし、お姉ちゃんだけ本を借りてずるいよ
    能動的な聞き方をすることで、子どもの欲求もはっきりします。

母の欲求......風邪を移してしまったときのことを考えると憂鬱
子どもの欲求......退屈なのがイヤだし、姉だけ本を借りるのはずるい

2、両者の欲求を満たす解決策をたくさん出し合います。ここでは、三つの案が出ました。
(1)次女はマスクをしていく
(2)次女は行かないでお留守番
(3)お姉ちゃんを迎えに来るお友達のおうちにある本を一冊貸してもらう

3、2で出た案の中から「イヤ」と感じるものは削除します。
(1)娘はOKですが、母親はまだ心配です...だから、削除します。
(2)母親はOKですが、娘はイヤです...だから、これも削除です。
(3)母親も娘もOKです。

4、どちらも納得のいく③に決まりました。

5、解決策を実行するための準備をします。
お姉ちゃんがお友達に電話をし、「迎えに来るときに本を一冊貸して」と頼みます。

勝負なし法で話し合って、お互いが満足する結果が出ました。

母親の感想:これまではいつも私が「~しなさい」と一方的に解決策を押し付けていました。でもそうすると、次女はふてくされたり泣いたりするので、後がとても面倒で嫌になってしまうのです。「勝負なし法」のおかげで、次女も私も気持ちよく長女を送り出すことができたので本当に良かったです。それにしても、お友達の本を借りるという案は、私には思いつきませんでした。子どもっておもしろいことを考えるものですね(笑)。

これまでこのコラムでご紹介してきた「能動的な聞き方」と「わたしメッセージ」が上手に使えるようになると、両者の間に生じた対立は、気持ちが良いほど簡単に解消できるようになるのです。
あなたにも、親業の方法をチャレンジしていただけることを期待しています。