2009年08月25日

学校現場 保護者会で親に教師学

中学校の先生から、保護者会で父母の方たちに、教師学で学んだ『わたしメッセージ』の効果をお伝えしたら、嬉しいご報告をいただいたというお話を聞きました。今回はその内容をご紹介します。

帰宅時間を大幅に遅れて帰宅した中学生の息子に、普段なら小言を言うはずの母親ですが、この日は、小言をぐっとこらえ、先生から教わった方法で、息子に自分の気持ちを伝えました。

母 「こんな時間まで帰ってこないなんて、すっごく心配していたのよ!」
子 「.........」(黙ったまま、自室に入っていきます)

息子は翌日から時間内に帰宅します。
そして、翌週、息子はリボンの付いた品物を母親に差し出します。その日は母親の誕生日です。開けてみると、一冊の本が入っています。喜んでいる母親に息子は言います。
「先週、帰りが遅くなった日、この本を探すために本屋さんに寄っていたんだ」

母親は先生に言ったそうです。
「遅い時間になって帰宅した息子に、私の気持ちを言ったとき、私はきっと凄く怖い顔をしていたと思います。普段と違う言い方はとても難しかったです」と。
「誕生日のプレゼントを買うために帰宅が遅くなったことを後から知ったとき、恥ずかしさで言葉が見つかりませんでした。これまで自分は、息子からいくつ誕生日プレゼントをもらったことか。いつも小言ばかり言っているのに、それでも息子は私にプレゼントをくれたのです。せめて、あの日だけでも、小言を言わなかったことが救いです。先生にあらためてお礼を言いたくなりました」

この母親は、教師学を学んだ先生からのちょっとしたヒントをもとに、自己表現を実行したのです。その挑戦がはたして、どのような成果に繋がったのか...おそらくご本人は確かな実感をもてなかったことでしょう。しかし数日後、あのとき、小言を言わず、教わったばかりの自己表現をしたことで、ホッと胸をなでおろすことになったのです。

帰宅時間が過ぎているのに、いつまで待っても子どもが帰宅しないとき、親は心配になります。何かあったのだろうか...。 事故にでもあっていたらどうしよう...。
親の心配は際限なく広がっていきます。ところが、子どもは親の心配などはお構いなしに、ひょっこりと、何事もなかったような顔をして帰ってくるものです。
子どもの無事な顔を見たとき、親には安堵感が生まれるのですが、口から出てくる言葉は「こんな時間まで何をしていたの!」「今、何時だと思っているの!」「遅くなるなら連絡ぐらい入れなさい!」「まったく!もういいかげんにしなさい!」など等。
これらの言葉はすべて「あなた」が主語になっています。

「あなた」を主語にした言葉は、子どもにどう伝わるのでしょうか。
もちろん親が怒っていることは伝わります。親が、子どもである自分を非難していることも伝わります。親が自分をダメな子と思っている...と感じることにもなるでしょう。
しかし、親が自分のことを心配していたことは、伝わりにくいのではないでしょうか。

親が今どんな気持ちでいるのか...それを伝えることで、子どもは親の気持ちを知ることになります。親の気持ちを知った子どもは、親の気持ちに目を向けながら、自分の行動を考えることになるのです。
何が何でもルールを守らせることも大事なことでしょうが、自分を心配して待っている親がいることを知れば、子どもは自らルールを守りながらの行動をとるようになるのです。

親子の気持ちを通い合わせることに、先生の一言が影響したのです。親からの感謝の言葉を聞いた先生は、自分が教師学を学んだことで、親子間のつながりにまで影響をもたらしたことを心から喜んでおられました。