2009年04月24日

保育現場、子どもに伝わる「伝え方」事例を紹介

子どもの中には、先生にとって扱いにくいと感じる子が案外いるものです。
Bちゃんはとてもやんちゃな子。 
やんちゃ...というよりも、自分勝手でわがままにすら感じる子です。
絵本の読み聞かせや紙芝居のときには、そのわがままが本領発揮!
先生が「ちゃんとお座りしましょう」とか「静かに聞いてね」などと言っても聞く耳を持たず、やりたい放題。そのくせ大きな声で「早く、早く!」とせがんだりします。
せっかく 紙芝居で楽しい時間を作ろうとしている先生の苦労などおかまいなしです。

この日もBちゃんは先生のまん前に立っています。他の子に見えないくらいに紙芝居を抱え込んで、大きな声を出して騒いでいます。
そこで【教師学(ゴードン・メソッド)】でよりよいコミュニケーションの方法を学んだ先生は、思い切って言ってみました。

1. 「Bちゃん 先生は一生懸命読んでいるのに、Bちゃんの声が大きくて、もっと大きな声を出さなくちゃならなくって、先生 つらくなっちゃうわ。それに、紙芝居を高いところに持ち上げなくちゃならないから腕も痛くなっちゃって困っちゃう」
するとBちゃんは、すねたように黙って少し端に寄りました。でも、その場所ではBちゃんが紙芝居を見にくいはずです。先生はBちゃんに向かって言いました。

2. 先生「そこでいいのね」
Bちゃん「............」
紙芝居を読み終わってから先生はBちゃんに言いました。

3. 「Bちゃんが紙芝居のまん前にいなかったから、先生 紙芝居を持ち上げなくて済んで、腕も痛くならなかったよ。大きな声も出さなくって、のども痛くならなかったし、助かったわ。ありがとう」

その日を境に、先生は紙芝居の前に、全員に向かって、必ずこんなことを言うようにしました。
4. 「これから紙芝居を始めます。先生はみんなが楽しめるように一生懸命読みます。ちゃんとお座りして、最後まで静かに聞いて欲しいの。では、始まり はじまり~~」

Bちゃんも、他のお友達と同様にニコニコしながらお座りしています。
これまで、わがまま放題だったBちゃんに、なぜ変化が起きたのでしょう。

1~4まで、順を追ってみていきましょう。
1. このとき先生はBちゃんの行動に困っています。自分が困っているときには、相手の行動で自分が『どう困る』のかをはっきり伝えます。そして、それによって自分がどんな感情でいるのかも忘れずに付け加えています。(相手のことを攻めない自己表現『わたしメッセージ』です)
2. 自己表現の後には、必ず相手の気持ちに目を向け、相手の気持ちを『能動的な聞き方』で確認します。
3. 自己表現によって、Bちゃんの行動が変わったことに対する感謝の気持ちを『わたしメッセージ』で表現しています。
4. これから行うことと先生自身の意思を表現します。このとき先生は、前にいる園児全員に向かって言っています。

1~3までは、Bちゃん1人を対象にしていますが、そこにいる園児全員に聞こえる声で対応しています。
4では、Bちゃんだけでなく、園児全員を対象としています。

大勢を対象としたコミュニケーションは、いつどんなときに、誰に向かって、どんな対応をするのか。そこに、ちょっとした配慮が必要になってきますね。

園児たちは毎日を楽しみながら成長し、先生方は、その成長を見ながら、ご自分の仕事に遣り甲斐を感じることが出来るように。
それが ゴードンメソッド(教師学講座)の目的の一つです。