2008年12月25日

子どもにしっかり伝わる親の「語り方」とは

これまで子どもの話の「聞き方」についてご紹介してきましたが、「そう言われても、聞いてばかりはいられない」「聞いているだけでは、親の言いたいことが言えないじゃない」と感じている方も多いのではないかと思います。

親には子どもに言いたいことが沢山あります。 また、子どもに言わねばならないことも沢山あります。躾をするために、親は黙っているわけにはいきません。親業では、聞いているだけの甘い親になることをお勧めしているわけではありません。今回からは親の言いたいことが子どもにしっかり伝わる「語り方」に目を向けていきましょう。

子どもの行動を見たり、言っていることを聞いたりしたとき、親は嫌だと感じたり、困ったなと思うことがあります。例えば、あなたが新聞を読んでいるとき、子どもがそばで大きな声を出し、はしゃぎまわっているとしましょう。子どもの大声で、あなたは落ち着いて新聞を読んでいられなくなります。だんだんイライラしてくることもあるでしょう。そんなとき、すぐに口をついて出てくる言葉は「うるさい」「静かにしなさい」「あっちで遊びなさい」などが多いでしょうか? 

これらの言い方はどれも「あなた」が主語になっています。つまり、子どものことを言っています。したがって子どもは、自分が親に怒られていることはわかるのですが、なぜ親が怒っているのか・・・その理由は伝わりません。したがって、仮にそのとき子どもが親の言うことを聞いて行動を変えたとしても、そのとき限りになってしまうのかもしれません。つまり『自分で考えず言われたからやる』そんなことが起こっていると考えられます。

毎日同じことを何度も言わなければならない。同じことを何度言ってもわからない。ちっとも言うことを聞かない。もしもあなたが、子どもに対してそんなことを感じているとしたら、あなたの言い方も主語が「あなた」なのかもしれません。ためしに主語を「わたし」に変えてみませんか? 上の事例では「(あなた)うるさい」の換わりに「(私は)新聞が読めないからイヤだ」となります。

5歳と3歳の兄弟がみかんを食べ始めました。二人ともみかんの皮を自分でむきます。子どもたちの周りには、小さくちぎれたみかんの皮がいっぱいです。ママは、子どもたちがみかんを食べるのは嫌ではないけれど、皮が散らかるのは嫌です。二人がふたつ目のみかんに手を伸ばしたとき、ママはこう言いました。「みかんの皮がいっぱい散らかるとママが拾い集めなくちゃならないからイヤだな!」ママの言葉を聞いた子どもたちは、一瞬ママの顔を見て、黙って移動しました。

ふたりそろって、部屋の隅にあるゴミ箱を囲んだのです。子どもたちの小さな手から、小さくちぎれたみかんの皮はゴミ箱に納まっていきます。

「皮を散らかしたらダメ」と、「あなた」を主語に言う代わりに「ママが拾い集めるのはイヤ」と「わたし」を主語に言い換えたら、子どもが自分で考え、親の気持ちに協力したのです。

親の言葉から、子どもが親の気持ちを知り、自分で考え、行動を起こした結果です。人の気持ちに目を向け、自分の行動を考える。自分で考え責任ある行動をとる人間に育つための第一歩は、親の表現力を工夫することから始まります。「あなた」→「わたし」に、あなたの表現をちょっと工夫すると子どもの行動に変化が起こるかもしれませんよ。