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2010年08月20日

命あるもの

 最近、高齢者の所在不明問題や、親による児童虐待の事件が多く耳に飛び込んできます。
家族がいながら、また血の繋がった家族や親なのに何故このような痛ましい事件が起きるのでしょうか?
 人間が寄って立つ最小の単位が「家族」です。
物が豊かになり生活が便利になった分、音をたてて消えていった大切なものが数多くあります。
今の社会は、人の心が荒廃し、人を人として愛することを見失い、家族の絆を奪われ、人間生活の大切なものが音をたてて崩壊していっているように思えてなりません。お盆休み、夏休みは、自分を育んでくれた先人や祖先に手を合わせながら、何を大切にすべきかを考えてみるのに良い時間のように思います。

 以前、講演でお世話になり、このコラムでもご紹介させていただいた岐阜県養老町は、親思いの樵が岩間の泉から酒となった水を汲んできて、老父に飲ませ、喜び合うといった養老の滝にまつわる昔話があります。
この孝子伝説が昔から語り継がれており、町民憲章の中に、過去の偉大な先人が残してくれた美しい自然と親孝行の心を、子や孫の代、さらにはもっと後世まできちんと継承していく任務が大人にあるとし、その尊い心は、家族の絆や他人への思いやり、そして感謝の心として町民の心の中に息づいている町でもあり、親と子が心豊かにふれ合うふるさとを大切にしています。
この養老町のような心を大切にする試みを、多くの県や町が大切にしたならば本当の意味での人や命を大切にする日本人のふるさとが、残るのではないでしょうか。

 家族は、人間の幸福の寄って立つ重要な場所です。
家族がいること、子どもがいること、何気ない日常生活、それはあたりまえのことではなく、何気ない日常が実は幸せなのだということに気がつかなければならないように思います。
“命あるもの、その尊さと重みを忘れてはなりません。〟
小さな虫にも命があります。その命の重みを幼いころから子どもたちに教え、伝えていくのが大人です。その大人が心を乱し、心を見失っては何もなりません。
大人の心が癒され、温かくなければ、子どもの心は癒されることはないのではないでしょうか。そのために、まず大人自身がそれぞれ心を取り戻すこと、それが必要な気がします。
家族のあり方、幸福のあり方を問い続ける時に来ているように思います。

春日美奈子

春日美奈子

春日美奈子かすがみなこ

フリージャーナリスト

國學院大學大学院法律研究科法律学専攻修士課程修了。報道畑25年の経験を生かし、少年院や教護院(現・児童自立支援施設)での実習を通し、常に現場の”今”や”生の声”を大切にして、少年問題に取り組んでいる。

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