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2012年04月13日

3.11後の大変化 (1)

■3.11で社会が変わった

今回から新しく環境、エネルギー分野のコラムを書かせて頂く事になりました、環境ジャーナリストの富永秀一です。約5000名という登録講師の中から選んで下さり、 執筆の機会を与えられた事を光栄に思います。毎回、一つでも「読んで良かった!」と思って頂けるような情報を提供できるよう努めていきますので、よろしくお願いします。
このコラムでは、「変化」をキーワードに、環境問題、エネルギー問題の現状、今後予想される事、具体的な対策、新たな動き、あるべき理想的な姿などを考えて行きたいと思います。

さて、昨年3月11日に発生した東日本大震災と、それによる東京電力福島第一原子力発電所の大事故は、政治、経済、市民生活、エネルギーのあり方など様々な面で大きな変化をもたらしましたし、今も変化が求められています。3.11以前と以後は、戦前・戦後が引き合いに出される程の大きな節目となっています。
それらの具体的な内容には、この欄で順次触れていくとして、まずは自己紹介も兼ねて、私の講演活動と、3.11以後の変化から書くことにします。

■3.11以降、求められる内容が変化

私は、中学生の頃から環境、エネルギー問題に関心があり、「このままいくと大変な事になる」という危機感を持っていました。そこで、環境、エネルギー問題について情報発信したいという思いからメディアを目指し、テレビ朝日系列の名古屋テレビ放送にアナウンサーとして入社しました。スポーツ、情報番組など通常の業務と並行して、環境、エネルギー問題に関する様々な企画を立ててはニュースで放送したり、番組にしたりしていました。10年間アナウンサー、1年半記者をした後、ライフワークとして取り組むため独立し、環境ジャーナリストとなりました。

番組制作や文章執筆とあわせ、直接語りかける事ができる講演活動も大切な活動の柱となっています。
環境に優しい生活というと、我慢が必要、不便、というイメージがありますが、私は、数多くの実践や取材をもとに、「誰でもできるエコライフ」をメインテーマにして、便利さ、快適さをできるだけ失わず、しかも環境への負担をできるだけ抑える新たなライフスタイルを提案してきました。
また、企業や団体向けには、無理なく取り組め、コストダウンにも繋がる環境対策などをお話ししてきました。

しかし、3.11以降は、求められる話の内容に変化が見られます。特に東京電力、東北電力管内で顕著ですが、多少不便であったり、コストがかかったりしても、とにかく節電になる方法を教えて欲しいという、より実践的で効果が大きい内容が期待されるようになりました。この動きは原発が再稼働できずどんどん停止していくにつれ、全国的な傾向となってきました。
原発に依存する事への不安や、電力不足への警戒感から、多少我慢してでも、節電、省エネを進めたいという市民、企業が増えているのです。

■原発を推奨してきた団体の講演を引き受けたら…

また、再生可能エネルギーについて知りたいというご要望も増えています。以前から地球温暖化対策の切り札として、様々な種類の再生可能エネルギーをご紹介していましたが、太陽光発電以外は、「まだまだ先のエネルギー」という反応が多かったのが事実です。しかし、3.11以降は、皆さん、前のめりになって熱心に聞いて下さるようになりました。

先日、こんな事がありました。
3.11まで原発を推奨してきた団体から講演のご依頼がありました。原発推進を言う事が要件になっている講演は以前からお断りしてきましたが、今回は、これからのエネルギーや省エネについて話して欲しいという事でしたので引き受けました。
例え四面楚歌になろうとも、これまで「原発は安全」「原発は必要」「再生可能エネルギーは頼りにならない」と信じ込まされてきた人々にこそ、バイアスのかかっていない、本当の情報をお伝えする必要があると考えたからです。

この講演は、一般市民も参加可能ですが、昨年までは関係者以外の姿は、数えるほどしか見られなかったそうです。しかし、今回は違いました。一般の方が大勢お越しになり、会場は満席。
私は、原発で懸念される巨大なリスクをはじめ、ドイツでは夏のピーク時、すでに電力の20%前後が太陽光発電や風力発電で賄われていて、夏の電力ピークの問題はほとんどなくなっていること、中国ではあくまで最大出力での話ですが、原子力や火力の大型発電所18基分に相当する、1800万kWもの風力発電所が、昨年一年間だけで設置されたこと、地熱発電や太陽熱発電、バイオマスエネルギー、海流発電など、安定供給や出力調整ができる再生可能エネルギーの資源量も豊富にあること、などをお話しました。
結局、四面楚歌どころか、エネルギー問題に関心が高い市民の熱気に押されるような講演になりました。

3.11以降の変化の話はもう少しあるのですが、長くなりそうなので次回にします。

富永秀一

富永秀一

富永秀一とみながしゅういち

環境ジャーナリスト

私はアナウンサー時代から、環境に関する番組を制作してきました。現在は“無理なく続けられるエコライフ”をメインテーマに、テレビ番組制作、ネット放送、書籍・記事執筆等により情報発信中です。講演では、環境・…

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