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コラム 環境・科学

2015年05月08日

環境マネジメントシステム認証制度

 企業が環境に配慮することが社会常識となっておりますが、環境マネジメントシステム認証を取得することにより、企業が環境への十分な配慮を行っていることを第三者に認めてもらうことが出来ます。今回は日本におけるいくつかの環境マネジメントシステムについてふれてみます。

■国際規格ISO14001
ISO14001は国際標準化機構が定めた国際規格の環境マネジメントシステムです。企業の活動、製品およびサービスによって生じる環境への影響を持続的に改善するためのシステムを構築し、そのシステムを継続的に改善していくPDCAサイクルを構築します。こうして、有害な環境影響の低減、有益な環境影響の増大、組織の経営改善および環境経営が実現されます。
なお、PDCAサイクルとは、計画(plan)、実行(do)、評価(check)、改善(act)の4段階を順次行って1周したら、最後のActを次のPDCAサイクルにつなげ、螺旋を描くように1周ごとにサイクルを向上させて、継続的に環境管理の業務を改善していくサイクルです。

■簡易型環境マネジメントシステム認証制度
環境マネジメントシステムとして国際規格であるISO14001が有名で、日本においても大企業や行政機関を中心に導入されています。しかし、ISO14001は経営規模が大きな組織を対象とした規格で、その取得費用は300~600万円近くかかります。その金銭的、人的コストは、中小企業には大きな負担になり容易に取得できるものではありません。
中小企業むけの簡易型の環境マネジメントシステム認証制度として、エコアクション21、KES、エコステージ、グリーン経営認証制度などがあり、それらの取得費用は数十万円程度です。以下にいくつかの簡易型環境マネジメントシステム認証制度について紹介します。

■環境省策定のエコアクション21
エコアクション21はISO14001規格をベースとしつつ環境省が策定し、持続性推進機構が運営する中小企業向けの環境マネジメントシステムです。必ず把握すべき項目として、二酸化炭素排出量、廃棄物排出量及び総排水量が規定されています。さらに、必ず取り組むべき行動として、省エネルギー、廃棄物の削減・リサイクル及び節水の取組が規定されています。

■京都で始まったKES
KESは京都議定書で有名な京都で2001年に始まった環境マネジメントシステムで、NPO法人KES環境機構とその協働活動組織が審査と登録を行っています。KESはわかりやすく、かつ低コストで取り組むことができるため、中小企業や地域における環境改善活動の認証制度として人気があります。登録の種類には、環境問題への取り組みを始めたステップ1と、将来的にISO14001の認証取得を目指すステップ2の2段階があります。

■5つの段階があるエコステージ
エコステージでは、環境経営システム導入のステージ1からCSR実現のステージ5まで、5段階のステージが備えられています。企業の体力や目的に合ったステージからチャレンジでき、PDCAサイクルを着実に浸透させ、段階的にレベルアップも図れます。エコステージは旧UFJ総研を中心にした民間組織で運営されています。

■運送事業者むけのグリーン経営
グリーン経営は、国土交通省と全日本トラック協会の協力をえて交通エコロジー・モビリティ財団が推進する認証制度です。一般の認証制度はあらゆる企業や組織を対象にしているのに対して、グリーン経営はトラック、バス、タクシー、旅客船、内航海運、港湾運送、倉庫業等の事業者を対象にしています。たとえば、トラック事業の場合に環境負荷の削減を図っていくために、1.環境保全のための仕組みと体制の整備、2.エコドライブの実施、3.低公害車の導入、4.自動車の点検と整備、⑤廃車と廃棄物の排出抑制、適正処理及びリサイクルの推進が図られます。
ISO14001やエコアクション21などの認証制度では環境改善のための手法や体制の確立が重要で、環境パフォーマンスの評価に関する具体的な取決めはなく、企業は自主的にできる範囲で評価を行います。それに対して、グリーン経営認証制度では環境改善の取組み結果(環境パフォーマンス)を審査します。

■環境マネジメントシステム認証取得のメリット
認証取得により次のようなメリットが得られます。

1.環境改善に取り組む企業として社会に認められる
2.認証取得が取引の条件になっているケースでは条件のクリアになる
3.行政や金融機関から支援や融資を受ける場合に有利になることがある

 世界的な環境規制の強化、また自由貿易の推進により経済のグローバル化が進んでいます。国内はもちろんのこと国際的にも取引において環境マネジメントシステムの認証取得が益々重要になっています。中小企業において国際規格ISO14001の取得が難しい場合は、まずは簡易型の環境マネジメントシステムの認証取得をされてはいかがでしょうか。

進藤勇治

進藤勇治

進藤勇治しんどうゆうじ

産業評論家

経済・産業問題、エネルギー・環境問題、SDGs、コロナ問題をテーマとした講演実績多数! 経済・産業問題やエネルギー・環境・災害問題、SDGs、コロナ問題などについて最新の情報を提供しつつ、社会…

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