ご相談

講演依頼.com 新聞

コラム 環境・科学

2011年03月25日

事業所における廃棄物の削減

 3月11日に東日本で大地震が起きました。また福島の原子力発電所では地震が原因で大事故が起きました。4日経った現在も、原発事故については緊迫した状況が続いております。大震災とエネルギーや環境については別の機会に触れたいと思います。

 今回は前回に続きゴミの減量や廃棄物の削減の方法について、いくつかの具体的な事例を上げて考えてみます。

【オフィスの紙ゴミの減量】
 オフィスでのゴミ減量において、一番のポイントは紙ゴミをいかに減らすかです。その方法を考えてみます。

 (1)紙ゴミを減らす
 例えば、会議資料等の両面コピーを徹底する、専用のゴム印などを利用してFAX送信票を省略する、誤操作を防止するためにコピー機使用後は必ずリセットする、縮小コピーを積極的に活用する、資料は数人で共用管理する、電子会議を実施する、コピー機に裏紙専用のトレイを設けるなどがあげられます。
 一枚だけコピーが必要なのに、数枚コピーされてきて慌ててストップ操作をしたり、1面のコピーの予定が両面コピーで出てきたりということがあります。次に使う人のためにリセットボタンをしっかりと押しておきましょう。
 社内で使うプリントには余った用紙の裏側にコピーする事はもう一般的になってきているでしょうか。社内もしくは部署内で使う文書にはなるべく裏紙を使いましょう。

 (2)古紙の分別例
 オフィスにおける古紙の分別例として、段ボール類、新聞類、雑誌類、OA紙類、封筒等その他の紙類の5つで回収すると良いでしょう。
 紙は何度も再生使用していますと繊維の長さが段々短くなり、用途も限られて来ます。一番最後に使われるのが段ボールということになります。繊維が一番長いのは牛乳パックの紙です。牛乳パックは回収されると、人の肌に触れる柔らかいティシューやトイレットペーパーに再生されます。
 尚、紙コップなどワックス加工紙、防水加工紙、 プラスチック、 油紙、 感熱紙、 粘着物の付いた封筒等などは再生には向いていませんので、これらはゴミとして処分しなければなりません。

 (3)機密文書の取り扱い
 個人情報保護法が制定されるなどして機密文書が増加していることと思います。増え続ける機密文書の対策として本当に機密扱いが必要かどうか、書類の機密性を見直して出来るだけ機密文書を減らすこと、溜まった機密文書を製紙メーカーへ直接搬入して立ち会いのもとに溶解するなど、リサイクルできるような処理を行うこと、カット幅の大きいシュレッダーで処分して再生紙の原料となるようにすること等があげられます。
 シュレッダーにかけて細かく切り刻みますと再生資源として使えず、ゴミとして処分するしかありませんが、 一般にカット幅6mm以上のうどん状のカットであれば再生が可能だと言われています。

【様々な事業所でのゴミ減量・廃棄物削減】
 (1)ホテルにおけるゴミ減量例
ホテルの客室のシャンプー・リンスは詰め替え式を使用し、容器包装ゴミを減らすと良いでしょう。また、客室からは様々なゴミが出ますが、ペットボトル、キャップ、びん、スチール缶、アルミ缶、軟質プラスチック、硬質プラスチック、可燃ごみ、吸殻、生ごみ、廃油、紙類に細かく分別すると資源・有価物となります。

 (2)スーパーチェーンにおける例
 店舗から大量に出る段ボールを一ヶ所に集めて売却すると効果的です。大量に出る段ボールは各店舗で個別に売却するよりも集めて売却した方が経済的です。自治体により発砲スチロールが一般廃棄物になったり産業廃棄物になったりしますので、会社で一括して一次処理を行って、プラスチック原料として売却すると経済的です。段ボールや発泡スチロールの輸送には従来空荷であった配送帰り便を利用すると良いでしょう。また、各店で発生する生ゴミを堆肥化するとよいでしょう。

 (3)建設業における廃棄物の削減例
 建設資材の容器や養生材を減らす為に、「通い箱の採用」「簡易梱包」「プレカット」「ユニット化」などの対策を実施する、数多くの分別容器を配置することで現場での分別を徹底し、建設副産物の再生利用に極力努める、発生した木材は分別してパーティクルボードに再生するなどが考えられます。

 (4)工場などにおける削減例
 第一に製造方法や工程を改善して廃棄物の発生を少なくすることが大切です。さらに、金属混合材からアルミ箔・金物類を分別する、 IPA、メタノール、キシレンなどの廃溶液・廃油を外部で蒸留してその再生品を使用する、プラスチックを再ペレット化してバージン材に混ぜてリサイクル使用する、余剰蒸気を利用して汚泥の含水率を10%以下になるまで乾燥処理する、従来金属粉と共に廃棄されていた切削油を分離回収し再使用する、木製パレットより軽量で耐久性に優れた樹脂パレット化によりパレット使用回数の向上を図る、雑芥の分別徹底により、紙、プラスチック資源の回収を増進する、などの実施が廃棄物の削減に効果があります。

 今回上げました事例を参考に、皆様におきましても職場等でゴミの減量や廃棄物の削減に努められる事をご期待致します。

進藤勇治

進藤勇治

進藤勇治しんどうゆうじ

産業評論家

経済・産業問題、エネルギー・環境問題、SDGs、コロナ問題をテーマとした講演実績多数! 経済・産業問題やエネルギー・環境・災害問題、SDGs、コロナ問題などについて最新の情報を提供しつつ、社会…

  • facebook

講演・セミナーの
ご相談は無料です。

業界21年、実績3万件の中で蓄積してきた
講演会のノウハウを丁寧にご案内いたします。
趣旨・目的、聴講対象者、希望講師や
講師のイメージなど、
お決まりの範囲で構いませんので、
お気軽にご連絡ください。