ガザ軍事衝突開始から10月7日で2年を迎えました。ガザ領内の犠牲者は少なくとも6万3700人。国際司法裁判所(ICC)と国際ジェノサイド研究者協会(IAGS)はイスラエル軍によるガザ住民への攻撃対象拡大がジェノサイド(大量無差別殺戮)を引き起こしていると指摘。イスラエルに対する戦争犯罪通告を発表しました。さらに国連安全保障理事会はイスラエル軍によるガザ食料搬入封鎖が飢饉に結びついておりイスラエルによる戦時下の人災と警告しました。この採択には安保理構成15カ国のうち14カ国が賛同。イスラエル支持のアメリカは否決を突きつけています。世界食糧計画(WFP)はガザにおける食糧飢饉が人口約220万人のうち50万人規模に達し栄養失調で100名以上の幼児が死亡したことを発表しています。
軍事衝突を巡ってはエジプトとカタール仲介のガザ停戦条件をイスラム組織ハマスが承認する動きがありました。要件として60日間の戦闘停止と拘束する人質の一部解放を提示しましたがイスラエル側は呼応しませんでした。というのもこの発表直前にガザ北部最大都市ガザ市完全制圧計画を宣告し人質の完全解放とハマスの兵力解除を絶対条件とした停戦内容を明確にしていたからです。
イスラエル軍ガザ市完全制圧作戦の第一段階ではガザ市郊外はイスラエル軍が既に包囲。ガザ市への空爆を拡大させ1日だけで40名以上の犠牲者が確認されました。ハマス壊滅は不可避の状況となっており100万人都市であるガザ市での大量虐殺が引き起こされることは避けられません。ガザ南部ハンユニスでは地域最大のナセル病院が爆破され少なくとも21名が死亡しました。犠牲者のうち5名はロイター通信社や衛星テレビ局アルジャジーラのカメラマンや記者であることが判明しイスラエル軍による情報発信者の追跡殺害が多発していることを裏付けました。
戦闘の激化を受けアメリカトランプ政権の中東特別特使ウィトコフ氏が発した年内までの戦闘停止とガザ戦後復興体制の包括的な計画に注目が集まりました。この発言はイスラエルのネタニヤフ首相によるガザ併合に向けたガザ市完全制圧作戦に連動したものであり、その中身は事実上のガザ併合を意味しています。ガザ軍事衝突から2年という歳月を経て、戦闘の停止どころか民間人犠牲者は増え続けています。イスラエルが開戦当初から掲げてきたガザ完全併合がいよいよ現実味を帯びてきています。
渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
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