目次
いよいよこちらのコラムも最終回を迎えました。
ここまでの11回を通して、コミュニケーションの基本から、発信(伝え方)と受信(聴き方)について、コミュニケーション力を高め信頼関係を築いていくための具体的なポイントをお伝えしてまいりました。
最終回となる今回は、ここまでのおさらいとまとめとしまして、コミュニケーション不全を招く要因となりやすい“コミュニケーションの誤解”について、改めて考えていきましょう。
コミュニケーションの誤解その1「コミュニケーション力は能力のある人にしかない」
“コミュニケーション力が高い”“コミュ力おばけ”なんて言われている人が、あなたの周りにもいらっしゃるのではないでしょうか。確かにそういう人たちを見ていると、その人たちだけが特別なスキルやテクニックを持っているかのように感じさせられ、生まれ持った能力があるように見えることもあります。
けれども、コミュニケーション力は決して、限られた能力の高い人にしか備わっていないものではありません。コミュニケーション力が高いと見える人たちは、言葉や行動を他の人たちよりもしっかり丁寧に表現しているだけで、特別なことをしているわけではないのです。
例えば、何かをしてもらった時に、消え入るような声で「ありがとうございます…」と言っているのか、笑顔ではっきり「ありがとうございます!」と言っているかだけでも、その人の気持ちの伝わり方が変わってきますよね。
こちらが話している時に、スマホばかりを気にしている人より、手を止めてこちらを向いてくれる人の方が、聞いてもらえている=コミュニケーションを大事にしているという気持ちが伝わってきますよね。
同じ行動をしていても、くっきりはっきり感じられる方がより分かりやすいのです。つまり、コミュニケーション力が高く見える人たちは、行動や言葉への意識が高く丁寧なのだと言い換えることができます。
ですから、私たちはいつでも、自らのコミュニケーション力をもっと高めることが可能です。“なんとなくしていること”を“意識的に丁寧にする”ようにするだけでいいのです。話す時も聞く時も、まずは相手の方に体の向きを向けるとか、内容や言葉に合わせて表情をもう少しだけ動かすようにするとか、言葉をはずみで使わず一息入れながら選ぶようにするとか、物を渡す時に片手より両手にしてみるとか、そういった小さなことからでいいのです。
そういった行動や態度から見える“気持ち”がコミュニケーション力の正体です。あなたの中にもある温かい気持ちを、もう少しだけ丁寧に表現するようにしてみてください。
コミュニケーションの誤解その2「失敗したら取り返しがつかない」
コミュニケーションで失敗することが怖くて、コミュニケーション自体を苦手と感じてしまっている人も少なくありません。確かに、できれば相手に嫌な思いをさせたくないし、ましてや怒らせたくないし、誤解されて大変な思いをすることは避けたいものです。
けれども、人は全員違う生き物、行き違いや勘違い、すれ違いが全く生まれないことなどあり得ません。どんなにコミュニケーション力が高いと言われている人でも、失敗したり後悔したりすることを重ねてきているのです。
人間関係に臆病になってしまう人ほど「失敗したらおしまいだ」と思い込んでいる方が多いようです。だからといって、いつもおっかなびっくり恐る恐る相手に接していては、深い関係性を築くことはできませんし、何より本音で付き合えるような人はなかなか出てこないでしょう。
コミュニケーションにおいて大事なのは、失敗しないことではありません。例え失敗するようなことがあっても、誤解が生まれるようなことがあっても、相手との関係性を諦めないことです。諦めさえしなければ、修復や回復の方法はいくらでもあります。もちろんすぐにとはいかず、時間がかかることもあるかもしれません。けれどもあなたが望むなら、その人との関係を少しでも良くしていくことはできるのです。
失敗を恐れる気持ちが、余計な遠慮や恐怖となって、相手との関係づくりを阻んでしまいます。ただ誤解しないでいただきたいのは、「諦めてはならない」ということではないということです。先に述べたように「あなたが望むなら」というのが良いコミュニケーションの大前提です。その相手との関係が、あなたにとって苦しいものであるならば、無理して続ける方法を探すよりも、適度な距離感を探した方がいいこともあります。
その相手との関係性があなたの心が喜ぶものであるならば、例え失敗してしまうようなことがあっても、まずは「あなたは大事な人だ」ということを言葉と態度でしっかり伝えることを諦めないでください。その上でできることを探せばきっと見つかります。
コミュニケーションの誤解その3「スキルやテクニックをうまく使いこなさなければならない」
世の中には様々な情報が溢れ、いわゆるコミュニケーションスキルやテクニックというものもたくさん紹介されています。このコラムでも、その一部をご紹介してきました。これらはもちろん、根拠や理由がはっきりしているものも多く、コミュニケーションのサポートになることは確かです。
ただ、やはり忘れてはならないのは、相手も人間であるということです。人は心を持ち、皆違う価値観や感性を持っています。全てのスキルやテクニックが、誰にでも同じように有効であるはずはありません。
人はロボットではありませんから、理屈やノウハウではなく、感情や感覚に動かされる部分が多いものです。つまり、どんなに高いスキルを持っていても、それがそのままコミュニケーション力として活かされるわけではないということです。
となると、そこばかりを磨いても、望む形を作ることができるとは限りません。スキルやテクニックがうまく使いこなせなくても、そこに思いやりや気遣い、相手に向ける愛情といった根っこがきちんとあれば、それが自然に言葉や態度に含まれて伝わっていき、相手に届くものになっていくのです。
スキルやテクニックはあくまでも方法の一つであり、唯一の正解なのではありません。もちろんだからといって無駄なのではなく、必要に応じて使えるようにしておけば、きっとあなたを助けてくれる道具になってくれます。
だから、ここまでにお伝えしてきたことは、ぜひあなたの引き出しの一つにしていただきたいのです。必要な時に開けられる引き出しがあれば、コミュニケーションへの苦手意識や恐怖心は和らぎますし、人付き合いに対して前向きな気持ちを持つことができます。
人が人に求めるものはそんなに難しいものではありません。難しく考えるのではなく、うまく引き出しも活用しながら、あなたの良いところをもっと表現して、良い関係作りのお手伝いができれば幸いです。
ここまで読んでくださり本当にありがとうございました!
「コミュニケーションは楽しいものかも」そう思えるきっかけになれたらという思いを込めて書いてきました。あなたの笑顔をこれからも応援しております!


山本衣奈子やまもとえなこ
プレゼンテーション・プランナー
<ご本人からのメッセージ> 私は大学時代は演劇を専攻、在学中にイギリス・ロンドン大学のドラマ科に留学しました。演劇というと、ストイックな役作りや身体表現をイメージされることが多いのですが、演劇は総合…
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