サインの重要性
前回は、まずは“聞く姿勢”の整え方とそのコツをお伝えしました。続いて、“聞くスキル”として大切なサインについてお伝えしてまいります。
どんなに場所や位置をしっかり意識して、相手の言葉に集中しようとしていても、そういった“聞く姿勢”をただ持っているだけで、相手の話しやすさが生まれてくるわけではありません。特に、聞き手の“心”がどこを向いているのかは目に見えないため、話し手には分からないからです。
いくら身体をこちらに向けてくれていても、全く動かないような状態だったら、目の前に人形がいるようなものです。そこにいてもなんの反応もない相手に話し続けるのは辛いですから、途中で切り上げたくもなるでしょう。
話し手が安心して話していられるのは、そこに「聞いてくれている」という安心感があるからです。だからこそ、聞き手は話し手に対し、しっかりと“サイン”を送ることが重要なのです。
特に話しやすさにつながる“サイン”は大きく分けて3つあります。「頷き・相槌・繰り返し」です。それぞれについて少し細かく見ていきましょう。
心地の良い頷き
頷きは、「共感」や「理解」の表れですから、話し手にとっては大きな安心材料です。特別な言葉がなかったとしても、聞き手が頷いてくれているだけで、話しやすくなります。
実際私も講師として様々な場で話をするにあたり、その場に丁寧に頷いてくれる人がいるだけでグッと話しやすくなり、気付いたら予定になかった“ここだけの話”をしていることもあります。そんな自分に気付くと、まさに聞き手の反応によって話が引き出されているということを実感しています。
ただし、頷くといっても、ただ首を上下に振っていればいいということではありません。頷いてくれるのが嬉しいことは確かですが、あまりにもただひたすら頷いていたりすると、適当に軽くあしらわれているように見えることがあります。そうなると話しやすさより不快感を生み出すことがあり、逆効果になりかねません。良いタイミングで程よく自然に頷くのが最も良い状態をうみだしますから、考えてするというより流れに乗るイメージを持っていただくのがおすすめです。
相槌のポイント
「はい」「ええ」を中心に、相槌にはたくさんのバリエーションがあります。同じ相槌ばかりを繰り返すより、様々な言葉を使った方が、より話は弾みやすくなります。
主な相槌の種類には下記のようなものがあります。
- 単純相槌:シンプルな短い言葉を挟む(例:「はい」「ええ」)
- 反復相槌:相手の言ったことを繰り返す(例:「〇〇なのですね」)
- 要約相槌:相手の言ったことを要約する(例:「つまり△△という事でしょうか」)
- 共感相槌:相手の感情に共感を示す(例:「それは嬉しいですよね!」)
- 推進相槌:話を促す(例:「それでどうなったのですか?」)
- 感想相槌:自分の感想や感情を伝える(例:それはよかったです!)
バリエーションを増やしていくためには、まずは「単純相槌」の種類を増やすところから意識していただくのがおすすめです。「はい」「ええ」だけでなく、「あぁ!」「えー!」「おぉ!」といったシンプルな一言を口にするようにしてみるだけでも、聞き方が変わってきます。
そして相手との共感性を高めるためにも、「共感相槌」は特に忘れないようにしたいポイントです。「共感相槌」とは、相手の感情をしっかり受け取るというイメージです。相手が感情の言葉を使ったら、そこは特に丁寧に扱うようにします。例えば、相手が「本当に大変だった」と言ったら、「それは大変だったでしょうね…」と“大変”の部分をしっかり受けとります。「とても嬉しかった」と言ったなら、「それは嬉しいですよね!」と返す。「本当に辛かった」と言ったなら、「それは辛いよね」と返す。相手の感情を丁寧に扱うことで、話し手の喜びにもつながるだけでなく、「分かってもらえている」という安心感が生まれます。
“聞く”とは、表面上の言葉を受け取ることを言うのではなく、相手の心を受け取る事です。“感情”はまさに相手の“心”ですから、そこを受け取れるかどうかが良い聞き手であるかどうかの最重要ポイントであると言えます。
繰り返しのコツ
「共感相槌」も相手の“感情”を繰り返していますから、繰り返しの一つでもあります。繰り返したことが「受け取っている」のサインとなりますから、しっかり大事なポイントは繰り返すことが、安心感を生み出すためには不可欠です。
ただし、「繰り返し」と言っても、全てをそっくりそのまま繰り返していると逆効果になりかねないので注意が必要です。例えば相手が「昨日友達とディズニーランドに行ったんだ」と話した際に、「あなたは昨日友達とディズニーランドに行ったんだね」と繰り返していたら、共感性というより違和感を覚えますよね。
繰り返しのコツは、“キーワード”を繰り返すということです。繰り返した部分に話の焦点が合っていきます。例えば先ほどの例ならば、「友達と行ったんだ?」と繰り返したら“友達”に焦点が当たり、友達の話題が広がっていくことでしょう。一方「ディズニーランドに行ったの?」と繰り返したら、話の焦点は“ディズニーランド”となり、そちらの話が広がっていきます。
つまり、“繰り返し”は単なるオウム返しではなく、自分の聞きたいことや知りたいこと、掘り下げたい部分に話の焦点を合わせていくということなのです。全てをそっくり繰り返すのではなく、「ここを聞きたい」というところをキーワードで繰り返すことで、聴きたいことが聞ける分集中して聞けますし、話の脱線を防ぐことにもつながっていきます。
今回は、“話しやすさ”につながりやすい「サイン」についてお伝えしました。まずは一つ増やしてみることからでいいので、ぜひ普段の聞き方に取り入れてみてください。


山本衣奈子やまもとえなこ
プレゼンテーション・プランナー
<ご本人からのメッセージ> 私は大学時代は演劇を専攻、在学中にイギリス・ロンドン大学のドラマ科に留学しました。演劇というと、ストイックな役作りや身体表現をイメージされることが多いのですが、演劇は総合…
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