話の組み立て
前回までに「言葉選び」と「話し方」について確認しましたので、今回は「伝え方(組み立て)」についてお伝えしてまいります。
皆さんは、話をする時に、どのくらい“組み立て”を意識していますか?
あまりそこには意識を持たず、頭に浮かんだものをそのまま話しているという方も少なくないかもしれません。
もちろんそれでも相手が理解できていれば全く問題ないのですが、よりしっかりと“届く”伝え方をするならば、やはりもう少し“組み立て”を意識することが大切です。
組み立てにもいろいろな種類があります。いわゆる「話法」を言われているものでもたくさんの形があり、いったいどれを選んだらいいものかと悩んでしまいますよね。
ここでは、中でも最も一般的で汎用性の高い、「PREP法」をご紹介します。
PREP法
「PREP法」は“説得話法”とも言われている、相手に分かりやすく説明し、理解と行動を促す伝え方です。要点をしっかり伝えることで、説得力のある伝え方を実現していくことができます。
具体的にいうと、次のような構成で組み立てていきます。
- Point(結論):伝えたいことの要点と結論を簡潔に伝える
- Reason(理由):理由や根拠を説明する
- Example(具体例):具体的な事例やデータを示す
- Point(結論):要点と結論を再度まとめて伝える
PREP法に限らずですが、話は結論から話すことで、相手の理解につながりやすくなります。どこに向かうのかわからない話ほど、聞きにくいものはないですし、理解も追いつかないからです。
例えば、相手が何の前置きもなく、いきなり地図を広げて道順の説明から始めたら、きっと「ちょっと待って、そもそもどこへ行こうとしているの?」と言いたくなると思います。「何の話をするのか」が予め共有されていることが、理解と納得において必要不可欠なのです。
また、理由をしっかり伝えることで、相手の行動を促すことにつながりやすくなります。例えば、ただ「もっと急いでくれる?」と言われても、「いやこっちにも準備があるし」など言い返したくなるかもしれませんが、「5分後のバスに乗りたいから、もっと急いでくれる?」と言われたら「5分後?確かに急がなきゃだね」と協力姿勢が生まれやすくなりますよね。
「PREP法」は、これらのポイントをしっかり押さえた構成となっており、様々なシーンで応用できます。
例えば会議で新しいシステムを提案するというシーンでは、
Point(結論):私はこの新システムの導入をすべきだと思います。
Reason(理由):理由としては、現システムでは情報共有がきちんとされておらず、対応の遅れや重複によるトラブルが頻繁に起きているからです。
Example(具体例):例えば先日もA社より対応の遅さを指摘され、大きな苦情となったケースがありました。対応にあたったメンバーは徹夜で対処せざるを得ませんでした。
Point(結論):新システムの導入により、こういったトラブルを減らすことで、社員のストレス軽減にもつながると思います。導入を考えてみませんか。
という言い方をすることで、説得力のある伝え方ができます。
プライベートで旅行の提案をするというシーンでも、
Point(結論):今回は北海道に行ってみない?
Reason(理由):というのも、今ちょうど期間限定のフェアが行われていて、そこでしか食べられないものもたくさん出店しているんだって。
Example(具体例):北海道は広いから全てを回るのは難しいけれど、こういうフェアに行けば一気に色々味わえるからお得なんじゃないかな。あのアーティストの野外ライブも見られるらしいよ。
Point(結論):季節的にも北海道がちょうど気持ちがいい頃だし、どうかな。
という伝え方をすることで、理解や共感が得やすくなるのではないでしょうか。
“何を言うか”<“どう伝えるか”
同じ内容でも、どの言葉を使い、どういった組み立てで伝えるかで、伝わりかは大きく変わってくるのです。
ただ頭に浮かんだままに話をすると、場合によっては意図が伝わらなかったり、誤解されてしまったりするようなことが起こりやすくなってしまいます。
もちろん、全てを話法に当てはめればよいということではないですが、特に大切なことを伝える時や想いをしっかり届けたい時は、“組み立て”にも少し意識を持って、少しだけ準備をしてから伝えると、より伝わりやすくなりますよ。
山本衣奈子やまもとえなこ
プレゼンテーション・プランナー
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