わたしも含めて、講師をしているからって、素晴らしい人間でも何でもない。
泣いたり、笑ったり、やきもちやいたり、失敗したり。伝えたいことがあって、
聴いてくれる人がいるから講師をさせてもらっているだけで、りっぱなわけでも何でもない。
そんなことは分かっている。それでもやっていいことと悪いことはある。
「感謝」とか「マネジメント」なんて話をしている講師に、
「人を出し抜く」などということはやって欲しくない。
なのに、そんな講師もいる。
わが社でも事件は起きた。自分が大切に育てたつもりの講師だった。
「講師になりたい」と、やってきたメンバーを0から講師として稼げるようにした。
彼らのマネジメントをしながら、一緒に成長したいと思っていた。
ところが、リーマンショックで数字を落とした時だった。
彼らは、わが社の顧客名簿に、
「大谷さんの許可を得ているので、直接仕事をください」と、営業をかけた。
わたしは、まったく知らなかった。
お客さんからそれを聞いた時のショック。
何もお客さんを一人占めするつもりなんてない。
わたしから離れたいならそれでもいい。ただ、おとなの離れ方をして欲しかった。
嘘でも自分が講演で話をしているように、「感謝」と「つながりを大切に」を
形だけでも実践して欲しかった。
かなりショックだったわたしは、講師も辞めようかなあと…、思っていた。
「わたしこそ、信望なかったのかなあ」と、真剣に思った。
なまじっか、自分が講師としてのスキルとテクニックを教え込んだだけに、
そんな人たちを講師として世に出したことが、すごく悲しかった。
この一年間、いろんな場所で、彼らが呼ばれて、
そんなことを知らないお客さんたちに、
「やっぱり、大谷さんとこにいた人たちは違うね。良かったよ」
と、言われるたびに、悪口を言うのも嫌だし、つらかった。
だからこそ、自分が、この世界にいることが嫌になった。
そんな中で、わたしを立ち直らせてくれたのも、仲間の講師だった。
自分が「講師塾」で育てていたメンバーだった。
「僕たちは、大谷さんとやって行きたい」「大谷さんのマインドを伝えたい」
そんな言葉をくれた。めちゃめちゃ嬉しかった。
もう一回、自分が信頼できる講師を、売って行こうと思った。
もう一回、自分が大好きな講師が世に出る手伝いをしたいと思った。
これがわたしの本音。講師は、口先だけであってはいけない。
お金のためだけであってもいけない。
これがわたしの信念。


大谷由里子おおたにゆりこ
(有)志縁塾 代表取締役
京都ノートルダム女子大学卒業後、吉本興業株式会社に入社。 横山やすしのマネージャーを務め、宮川大助・花子,若井小づえ・みどりなどを次々と売り出す。 23歳の時には、テレビ番組「花王名人劇場」のプロ…
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