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2008年07月02日

アメリカ人の"立ち話好き"をどう捉えるか

日本人がアメリカを訪れてまず第一に感じることといえば、
「アメリカ人は本当に良く話をする」ということではないでしょうか。

日本人旅行者が、成田からロサンゼルスやニューヨーク行きの飛行機の中で、
近くの席で2、3人ほどのアメリカ人が喋っている姿を見て、
「よくもまー、あんなに話すことがあるものだ!」
と感心することはよくあることでしょう。

アメリカ本土では、アメリカ人の話し好きは、
ありとあらゆる生活シーンにおいて目にすることができます。
人々が住んでいるコミュニティーはもちろんのこと、
職場においても、人々は本当に良く喋ります。

ここで一つ考えてみましょう。アメリカ人はどうして話が好きなのか、ということを。

アメリカ人は、歴史的に、人とのコミュニケーションを
大切にする国民性を持っています。
アメリカ大陸は、西洋文明社会におけるその潮流においては、
名実共に、”新大陸”(new continent)という位置づけであり、
その新大陸に居を構えるアメリカ社会は、
様々な人種・民族、文化、習慣、宗教などが交錯する
“複雑極まりない多民族社会”です。

一般的に、アメリカの人々は、
「自分たちの社会は”複雑極まりない多民族社会”である」
という事実をよく認識しています。
そのため、多くのアメリカ人は、「相互に関わり合う他の人々と十分に話をして、
相互に理解し合おう」という”コミュニケーション・スピリット”を大切にしています。

さらに、アメリカには、ワンランク上のコミュニケーターが存在します。

それはどんな人かといいますと、
「”立ち話”をコミュニケーションのツールとする」と考える人です。
私自身、アメリカでの立ち話の経験といえば、
今すぐには思い出せないほどの数々の経験をしました。
ニューヨークのビジネス街はもとより、
大学のキャンパス、ショッピングモール、映画館、ガソリンスタンド、
その他の商業施設など、私は、ありとあらゆる場所で様々な立ち話をしてきました。

立ち話といっても、アメリカ人の立ち話は
非常に長い時間をかけて話し込みます。
日本では、”挨拶”という意味合いで、
せいぜい2、3分も立ち話をすれば十分という感覚があります。
しかし、アメリカでは、人々は、10分でも20分でも、”平気な顔”をして立ち話をします
(場合によっては、30分以上もの間、永遠と話し込む人もいます)。

実は、アメリカ人が立ち話をする理由はたった一つです。
それは、アメリカ人にとって、長い時間にわたって立ち話をするという行為は、
1)「相手に対する心からの愛情」、そして、
2)「相手とのコミュニケーションを望んでいる」
ということを相手に伝えるためのツールであるのです。

良く考えるとわかることですが、アメリカ人でも、
20分もの間、立ちっぱなしで喋っていたら、結構、体も疲れます。
しかし、アメリカ人は、体が疲れようとも、あるいは、少しばかり足が痛かろうとも、
お互いに話したいことが終わるまで話し続けます。
アメリカには、そうすることで、「自分の”誠意”が相手に伝わる」
と考える人が多いように感じます。

国際社会においては、通常、アメリカの大統領は
世界一のグレートコミュニケーターである、
という見方がなされることは周知の事実です。
しかし今、私たちは、アメリカでは、普通の社会においても、
「体を張ってより良いコミュニケーションを図ろうとする人々が大勢いる」
という事実を忘れてはならないようです。
アメリカでは、まさに、街の至る所で、
グレートコミュニケーターが意気揚々と闊歩しているのです。

日本にも、時間の長さは別として、立ち話が好きな人がいます。
あなた自身、何かの機会で、ある人と立ち話をしているとき、
「この人、話が長いな!」と感じたら、
その相手が一体どのような心境で長話をしているのか考えてみましょう。
「相手の心理を読む力」を磨けば、必ずや、
ビジネスコミュニケーションにおいても役に立つに違いありません。

生井利幸

生井利幸

生井利幸なまいとしゆき

生井利幸事務所代表

「ビジネス力」は、決して仕事における業務処理能力のみを指すわけではありません。ビジネス力は、”自己表現力”であり、”人間関係力”そのものです。いい結果を出すビジネスパーソンになるためには、「自分自身を…

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