私のオフィスは、普通のオフィスと全く異なる雰囲気を持つオフィスです。正式名称は、「生井利幸事務所・銀座書斎」。通常、定期的にオフィスに訪問している方々は、この場所を「銀座書斎」と呼んでいます。
「オフィスなのに”書斎”?」、・・・・・銀座書斎に訪問したことのない人は、まず最初に、このような疑問を抱くに違いありません。実際にいらっしゃっていただくとわかることですが、オフィスの中は、まさに書斎そのもの。部屋の中は、私自身が大学講師として学問の研究をしていた頃から使っていた学術書が並び、加えて、たくさんの観葉植物、絵画、天秤などが置かれています。
銀座書斎のコンセプトは「自然との対話」。銀座書斎と他の作家の先生方の書斎と大きく異なる点は、銀座書斎は、「森の中に本が並んでいる」という書斎空間の違いにあるでしょう。
私自身、執筆をするとき、常に「自然との対話」を大切にしています。自然、即ち、植物は、常に、私たち人間に「生きる」を教えてくれます。植物の世話をしっかりとするには、毎日、それなりの時間を必要とします。来る日も来る日も植物の世話をするために相当な手間隙はかかりますが、その分、”物質文明社会に依存した生活スタイル”では決して得ることのできない「心の豊かさ」「心の贅沢」を味わうことができます。
私の場合、「ものを書く」という立場から述べるならば、「自然(植物)との対話」から得る心の贅沢は、直接、私の心の中で、(1)「相当なるエネルギー」、そして、言うまでもなく、(2)「創作意欲」、(3)「創作のためのヒント」となります。
ドイツの作曲家、古典派三巨匠の一人であるベートーヴェン(Ludwig van Beethoven,1770-1827)も、作曲をするプロセスにおいて、「自然との対話」を重要視した人物でした。ベートーヴェンは、ウイーン郊外のハイリゲンシュタット等の”清らかで静寂の雰囲気が漂う森の中”でたっぷりと「自然と対話する時間」を持ち、自身の音楽哲学・精神の中に普遍的なメッセージを挿入しました。その普遍的メッセージは、世界中の文明社会において、”時代の潮流”を超越して、たくさんの人々に対して「より良く生きるための”勇気”と”知恵”」を与え続けてきました。
ベートーヴェンは、その生涯において九つの交響曲を作曲。代表作は、言うまでもなく、交響曲第5番ハ短調作品67「運命」。この曲は、ベートーヴェン自身が、勇気を持って勇敢に、「厳しく、そして、醜い現実」と真正面から向き合い、私たち凡人には想像できないほどの「深遠なる思索」「過酷な創作活動」を介して完成させた作品です。
交響曲第5番においては、最終章の第4楽章に入ると、「長きにわたる辛苦を経験して到達した”歓喜”」が壮大なスケールで表現され、ここに、”唯一無二のベートーヴェンの力強い哲学”が見事に表現されています。私は、幼少時代からベートーヴェン哲学のダイナミズムを自らの魂で捉え続け、長年にわたり、国内外の主要な演奏会にて、世界最高峰の指揮者の音楽解釈に触れてきました。
海外において、芸術家、作家、学者はもちろんのこと、企業経営者、あるいは、ビジネスで大成功を収めた人々の書斎には、大抵の場合、”古典”と呼ばれる書物、例えば、哲学、文学、歴史に関する古い書物が所狭しと置かれているものです。そして、言うまでもなく、本稿で紹介したベートーヴェンの交響曲を始め、音楽史に多大な影響を与えた数多くの名曲が入ったCDも置かれています。
時代の潮流を超越して世界の成功者に長く読まれている名著、そして、長く聴かれている名曲に包含されている哲学・精神には、何らかの普遍的なメッセージが内在しています。文明・文化、そして、時代を超えて世界の人々に影響を与え続けている作品には、”何らかの普遍的な知”がそこにあるのです。人が一度手にした後、ほんの数ヶ月しか読まれない本、あるいは、数ヶ月しか聴かれない音楽は、時代の流行に左右される”その場限りの作品”です。今の自分の能力を磨き上げ、自分に内在してる可能性を大きく引き出すには、「時代を超えて世界中の人々に愛され続けている作品」と向き合う必要があると私は考えます。
現在、銀座書斎では、社会貢献活動の一環として、一般の方々に対して、ベートーヴェンの交響曲の鑑賞会をご提供しております。私の想い・願いは、「銀座書斎を訪れた人々が、ベートーヴェンの交響曲の鑑賞を通して、より良く生きるための”勇気”と”知恵”を得ていただきたい」ということです。銀座書斎における交響曲の鑑賞は一切無料とし、鑑賞中にコーヒーもお出ししています。交響曲鑑賞会の参加方法は完全アポイントメント制となっており、一組につき1名~3名までの人数で鑑賞会を行っていますので、まさに、この活動は”草の根的な社会貢献活動”と言える活動です。
「小さなことを、一つひとつ心を込めて丁寧に」、・・・・・私は、日本に全面帰国し、現在の事務所を設立したときから、常に、このことを念頭において様々な活動を行ってきました。これからも、この信念を少しも変えることなく、”頑固に”、そして、心を込めて丁寧にこの活動を行っていきたいと考えています。
このコラムをお読みになられた皆さんにおきましては、是非、これを機会に、ベートーヴェンの交響曲第5番を鑑賞されることをお勧めします。特に、今現在、日々の仕事において大変なご苦労をされておられるビジネスパーソンの方々においては、交響曲5番の鑑賞を通して、(1)「困難・辛苦を乗り越えることの大切さ」、そして、「その困難・辛苦を乗り越えて得ることができる”最大級の歓喜”」を実体験していただきたいと願っております。あるいは、もちろん、当・銀座書斎で鑑賞・実体験することも可能です。
私は、常に、この日本社会において、困難の面前で逃げることなく、勇気を持って、そして勇敢に、自らの手で、毎日、意気揚々と、困難・辛苦に挑戦し続けるビジネスパーソンが増えていくことを願っています。
目標がある人の前には、常に、「鉄の壁」(iron wall)があります。逆に述べるならば、目標のない人には、何らの鉄の壁もありません。鉄の壁、それは即ち、”困難そのもの”。「困難は、逃げるものではなく、乗り越えていくもの」だと、私は捉えます。
生井利幸なまいとしゆき
生井利幸事務所代表
「ビジネス力」は、決して仕事における業務処理能力のみを指すわけではありません。ビジネス力は、”自己表現力”であり、”人間関係力”そのものです。いい結果を出すビジネスパーソンになるためには、「自分自身を…
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