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2010年01月15日

フレッチャリズム

今回は食事をよく噛むことによってストレスを解消できる「フレッチャリズム」についてお話しします。

昔、アメリカにホレス・フレッチャーという大富豪の青年実業家がいました。お金はあり余っているものの体重は100キロを越える肥満体で、高血圧、肝臓病、糖尿病、痛風などの生活習慣病を抱え込み、常に肩こりや腹部膨満感、便秘や下痢、精神の不安定といった症状で悩んでいました。持っていないのはガンくらいという「病気のデパート」であった彼は生命保険には加入を断られ、病院に行っても「もう手の施しようがない」と言われていました。

フレッチャーはお金があることにまかせ、アメリカ中の名医はおろかヨーロッパの名医をもたずねて診察を受けましたが、病状は好転せず自暴自棄になっていたところ、ある人から「よく噛めば、健康になれる」という話を聞き、早速実行することにしました。

まず、フレッチャーは食事の時に一口に50回以上噛むことを心がけました。すると、長いこと忘れていた気持ちよい空腹感と食事に対する楽しみがわいてきました。さらに不思議なことに、それまで好きだった肉、コーヒー、アルコールなどが欲しくなくなり、次第にパン、野菜、牛乳がおいしく感じられるようになったと言います。そして驚いたことに、腹部膨満感や便秘、下痢などの胃腸の不快症状が改善され、食物の量も少なくて済むようになりました。

また、除々に体重も減り始めました。体重減少とともに、血圧や糖尿もよくなり、痛風の発作も解消し、もちろん肩こりもなくなり、75キロの体重になった時、生命保険の審査も簡単にパスをし、完全な健康体になったのだそうです。外見も以前よりずっと若々しくなり、動作も活発になり、心身ともに「若返り」を自覚したとのことです。ここから「よく噛んで健康になる方法」を、「フレッチャリズム」と言い、欧米では健康法のひとつとして、今でも根強い人気があります。

しかし、なぜ「噛む」ことが心身を若返らせ、病気を駆逐する原動力となるのでしょうか。

「噛む」と唾液の分泌がよくなり、胃液や腸液の分泌もよくなり、消化・吸収の効率がよくなり、食物の栄養効率があがり、少食でも済むようになり、体重減少につながっていくわけです。また、「よく噛む」と、唾液腺からパロチンというホルモンが分泌され、老化の予防・若返りの効果を促してくれることがわかっています。さらに、「よく噛む」ことで、消化管ホルモンであるセクレチン(インスリン分泌を促し、糖尿病を予防・改善)やメラトニン(不眠や老化防止)、コレチストキニン(イライラを抑えて、気持ちを安定化する)などの分泌を促進し、糖尿病、老化、ストレスの予防・改善に役立つこともわかっています。

このように、よく噛むことが病気を治し、若さの維持につながるという「フレッチャリズム」は一番てっとり早く簡単なストレス予防法です。みなさんも、お金や手間のかかるストレス解消やリラクゼーション法をいくつも試すより、こんな身近なところで自分の「生活習慣を整える」ことによってストレス管理に努めてみてはどうでしょうか。

次回は「あんがとノート」という話をしたいと思います。

キティこうぞう

キティこうぞう

キティこうぞうきてぃこうぞう

職場のメンタルケアコーチ

1964年、名古屋生まれ。名古屋大学経済学部経営学科にて、「産業組織心理学」、「マーケティング心理学」を専攻。1987年に卒業後、株式会社名鉄百貨店入社。子供服売場、法人外商を担当し、顧客心理学を実践…

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