2019年10月18日

イマドキのキャリアアップと転職

「今の若い人は、入社すると同時に転職サイトに登録する」

 入社早々に転職を考えることを嘆く企業の声を聞きますが、これは海外や外資系企業では普通のこと。若手は、長く働くイコール1社で、とは思っていないようです。自分のキャリアアップにつながる環境であれば、1社で働き続けますが、そうではない場合は、転職でキャリアアップを考えるようになっています。今時の働き方、キャリアアップは、どのように変化してきているのでしょうか。

 転職を身近に感じている人とそうでない人がいます。キャリアカウンセリングや研修を実施していると、その差を感じます。まず、転職が身近ではない人は、大手企業に勤務、特に中高年の男性です。この方たちは、就職ではなく、“就社”と言われているくらい、一生勤め上げるのが当たり前と思ってスタートしている方です。一方で、中高年の女性はというと、多くが結婚退職しているため、働き続けている人は、少数です。そんな中、今も働き続けている中高年の女性は、「入社当初は20代で寿退職するのだろうと思っていたので、キャリアアップとかは意識してこなかった。こんなに長く働いている予定ではなかった。」とおっしゃります。

 私は17年ほど前、転職エージェントでコンサルタントに従事していたことがあったのですが、当時、大手企業もこれからは人の流動化が必要と中途採用を試みて、マネジャー層の採用に乗り出したところもありました。しかし、せっかくいい人材の採用ができたものの、その方が短い期間で退職されるケースが多かったのです。辞められた当人にお伺いしたら、「新卒からの生え抜きのパワーが強すぎで、外の人を受け入れる体制が整っていなかった。マネジャーとして受け入れてもらえず、辛かった。」とのこと。

 実際、大手企業の研修にお伺いすると、管理職層は、お互い新人の頃からの知り合い同士。そして、彼らは定年退職まで今の会社にとどまることを当たり前のように考えています。

 さて、転職市場は今になって突然活性化したわけではありません。以前から転職する人は、していました。冒頭で触れたように、外資系企業は、転職しながらキャリアアップを目指していくので、職務経歴書を拝見すると、数社渡り歩いているのが普通。転職理由には、キャリアアップだけでなく、日本からの撤退ということもありました。ちなみに、あまりにも短期間に転職を繰り返していると、キャリアアップとはみなされないこともあるので注意が必要です。

 外資系企業とは別に、以前から転職するのが当たり前の人たちがいました。それは、中小企業勤務の人たちです。キャリアアップを考えての転職という方もいますが、業績不振による会社都合もありました。その中でも、狭い人間関係で風土が合わない、経営者の方針と合わないという理由が非常に多く目立っていました。

 さて現在、キャリアカウンセリングに来られる20代~40代前半女性の相談で転職を考えている方の理由として、「今の組織ではキャリアアップが見込めない」といったものが増加しています。辞めたいきっかけは人間関係や仕事内容だったりと目の前のことが多いのですが、そもそも、将来を考えると、上が詰まっている、女性にはなかなかチャンスが巡ってこない、頑張り方が男性主体、それに合わせないと認めてもらえないなどの理由が多いのも事実です。

 ちなみに、若手男性も大手企業に就職したものの、辞めたいと早々に思う人は、20代~40代前半女性と同じような理由が多いことが気になります。

少しまとめてみると、
大手企業には、転職を考えていない中高年と、転職をキャリアアップとして捉えている若手男性と20~40代前半女性がいます。

外資系企業や中小企業(ベンチャー含める)は、誰もが転職をキャリアアップや環境や条件のいいところにいくため、当然のことと捉え、一生一社とは考えていません。

 そんな状況の中でも、大手企業の中には、中途入社社員を受け入れることに慣れてきた企業も増えています。うちの若手社員は中途も多いんですよ、との声もよく聞くようにもなりました。

 ダイバーシティ推進=女性活躍、外国人登用というイメージがありますが、中途採用を積極的に行うこともダイバーシティ推進です。今後は、大手企業から中小企業、中小企業から大手企業、また、派遣社員から正社員と自分のキャリアアップと働きやすさから流動的に選択できるようになるのではないでしょうか。

 今後は、よりよい人材が流れてくるように、企業は、文化の異なる人を受け入れることに慣れること、そして、新卒優遇にならないようにすることが、選ばれるポイントになりそうです。