2012年04月02日

強い想いを継続するからこそ、できることがある

 職場や学校で新しい社員、入学生を迎える時期が今年もやってきました。フレッシュマンだけの話しではなく、何らかの組織に属する方々にとっては活動の中身も新年度の始まりとなるので、気持ちがキリッと引き締まるいい時期だと思います。

というものの、私といえば自分のお仕事の内容的に、そういった区切りとなる4月のようなものがなくなって久しいので、気持ちの切り替えはセルフサービスでしなければなりません。そのため、「スーツを新調した」とか、「制服の採寸が」などの楽しくなるような話題を耳にすると、この歳で既に懐かしさを感じてしまい、自分で「いかん、いかん」と奮い立たせているところであります。

 その延長線上のお話しですが、最近、嬉しかったことがありました。関わっているシンクロの子供たちの中に受験生が何人かいたのですが、その全員が第一志望校を合格することができたんです。なかなか無いことですよね。シンクロの練習以外にも習い事を掛け持ちでしていたりするので、それぞれとの両立を彼女達なりにとても頑張ったと思いますし、何といってもこれは親御さんの献身的なサポートの上に成り立つことだと、本当に頭が下がる思いです。

発表の日には「コーチ!受かりました!」と報告の声が弾んでいました。「あ~。勉強が大変になる~!」と言いながら、新しい学校生活を思い描いて知らず知らずにニヤニヤが止まらないところとか、「休んだりしてご迷惑をおかけしましたが、大会に向けて心おきなく頑張ります!」と絵つきで練習日誌に宣言を書くところなんか、身長が大人並みに高く成長していても、まだ中身は十代前半。そんな素直な感情表現にとても可愛さを感じました。

私自身、あと2カ月ほどで初めての出産という、人生の中でも大きなイベントを迎えますが、これから生まれてくる命には、是非そんな風に素直に感情表現豊かに育ってほしいですし、全ての子供たちのために「夢を大声で語ってもいい社会」を大人の責任として作っていかなくてはと、改めて思います。本当に子供たちの未来は近くにいる"大人"次第だと痛烈に感じています。

 一方で、目をやれば、3・11から1年という月日が流れました。被災地の皆さんはどんな思いでこの1年、そして4月という時期を迎えられたのでしょう。新聞・ニュースで記者の方々、番組の制作スタッフの方々が現場で取材を続けられ、その膨大な記録の中から切り取られたごくわずかな部分を私は拝見するばかりですが、瓦礫の処理の問題、原発の問題...ほとんど動かないまま膠着している現状があります。戻りたくても故郷に戻れない、人がいなくなって産業が興らない、働き場所がない、また人が離れる、そんな負の連鎖はもう始まっていて、大切な人を亡くされたご家族は、思い出せば昨日のことのように胸の痛みがよみがえり、込み上げて来てしまう感情はいつ癒えるのだろうと思います。

 とにかく、今を生きている私たちができることは、3・11直後のあの衝撃の感情を風化させないことかと思います。そういえば、前回にも触れたG1サミットのセッションの1コマで、あるデータを聞いて印象深く残っているものがあります。海外からの募金額の推移ですが、3・11からとある期間までは莫大な額の寄付が集まりましたが、ぱたっと50日目頃を境に推移しなくなったのだそうです。人の噂も七十五日と言いますが、それよりももっと短い訳です。

募金を頂けなくなったことへの指摘とかでは全くなく、人間心理を突いたデータだと思います。ボランティアの人数もしかり。5月のGWの時がピークで、お盆、そして、年末・年始の休みと、時が経過すればするほど、ボランティアの人員確保が困難だと聞きます。震災のあの惨状を目の当たりにして、「何とか役に立ちたい!」という想いが強い直後はその想いに突き動かされ行動が伴います。ただ、想いが薄れて行くと行動は鈍化します。これは私の自戒も込もっています。強い想いを継続するのはとても難しいことですが、その難しいことに取り組まなければ東北の復興や、子供達が胸を張って夢を語れるような日本の社会の実現はできません。

 新しい生活環境にも精一杯取り組み、また日本という社会の一員としても精一杯取り組む。そして家族も大切にする。それぞれの皆さんが2足も3足も草鞋を履くことになりますが、私なりの拙い経験で語るに、人間は自分が思っているよりはるかに図太くてタフだと思います。もう駄目だと思ってからでも、何度でも挽回できると思います。大人だと自覚のある皆さんには、今こそ、面倒くさそうな、やっかいなことに、率先して首を突っ込みましょう!そして2足でも3足でも草鞋を履いてやり抜きましょう!心を強く奮い立たせられるのも、心機一転を図れるこの時期こそのチャンス。そう感じ思わず今回のコラムで文字にさせて頂きました。