2007年06月05日

事務所選びはクリエイティブ?

 私ごとで恐縮ですが、このたびはじめて「作業場」なる場所を借りることにしました。
 これまでは、「そんな、お金がもったいない」、「家でやればいいよ」と、思っていたのですが、気持ちを引き締める意味でもいいかと思い...。
 なのでいままでは「なんちゃって事務所」でしたが、これからはちゃんとした「事務所」です!(エヘン)。

 で、今回事務所の物件選びのプロセスで学んだこと。それは「自分にとって何が大事なのか」ということ。
 住む家、仕事、または彼女選び...。そのつど人は迷い、悩むもの(エッ、あなたはお悩みにならない?うらやましいです)。今回は、迷えるあなたのご参考になれば。


●日当り、駅近、築浅?
 せっかく事務所を借りるのですから、どうせならとことん納得して選びたい。そこでネットで検索開始!場所は京王線聖蹟桜ヶ丘駅周辺です。夢はどんどん膨らみます。

 「カッコイイところがいいな」「駅から5分以内の商業地域がいいな」
 しかし、予算もあるので、結局次の2件に絞りました(家賃はほぼ同じ)。

【物件1:Kビル】
 築30年近い赤レンガ張りの古びた雑居ビル
 エレベータなし5階(最上階)。室内にはハリ突き出しあり
 駅徒歩3分。方位:真南
 バイク駐輪場なし

【物件2:Nビル】
 総世帯数100以上の分譲マンションタイプ。
 外壁は白タイル張りでカッコイイ。
 6階建の3階
 1階エントランスはオフィスロビーの雰囲気
 駅から歩7分、方位:南西
 バイク駐輪場あり

 さっそく下見です。まずはKビル。不動産屋の兄ちゃんに案内されるその先は、ビルとビルの谷間の、幅1メートルもない暗い通路。いきなりガッカリです。そしてその先には、ストッパーのこわれたガラスのドア。「壊れてるし...」(ブツブツ)。そして中に入ると、なぜかいきなり洗面台が!(なんでこんなとこにあるんだ!)。そこはなんだか昭和のレトロな雰囲気。そして急な階段を上り、やっと5階へ。中に入ると思ったより狭い。ワンルーム6畳の広さなのですが、突き出したハリのせいで余計に狭く感じる。部屋は元々和室だったのを無理矢理フローリングにした、なんちゃって洋室。その証拠にふすまもある。案内の兄ちゃんも「まあ、それなりですから」と一言。

 駅から近いのと、日当りと眺めだけはいいんですが、いかんせん「雰囲気」がねえ...。

 次にNビルの下見です。こちらは駅から少し離れるものの、ガラス張りのエントランス、オフィスロビーみたいな受付、そしてエレベータ。4階で降りると、床はカーペット張り、そして部屋のドアがざーっと並び、ちょっと閑静なオフィスフロア風。ここだけ千代田区って感じです(笑)。部屋は本当の洋室でふすまもなし。小さなバルコニーもついている。ただこちらはペット不可。もしこの先、うちのりゅうを連れてきたくなっても無理そうです。


●そんなの見ちゃダメ!
 さあ、どちらにしようか。
 できれば駅のそばのKビルがいいのですが、ビルの雰囲気がどうも納得いかない。思わず、不動産屋のオヤジ、ハシヅメさんに相談。
 「あの入り口の雰囲気、どうにかならないスかねえ。それにあのハリ、邪魔だなあ」
 するとハシヅメさん、こうおっしゃる。
 「川村さん、そんなのは見ちゃダメだよ。用は自分にとって何が大事かだよ」
 そんな、見ちゃダメだって、毎日いやでも目に入るじゃないすか!薄暗い通路、ストッパーの壊れたドア、そしてワケのわからん洗面台...。
 でも、彼の一言で、僕のもののみかたがスコーンと変わったのです。

 なぜ、自分が事務所を借りようと思ったか。
 それは、自分だけの隠れ家的な空間で、落ち着いて仕事や創作活動をしたかったから。
 別に人からどう思われるかとか、見栄や体裁をはるためじゃなかった。

 そう思ったとき、僕の記憶にパッとよみがえってくるものがありました。パリ郊外で訪れた、あのゴッホが晩年を過ごした「オーベル・シェル・オワーズ」のラブー亭。そこの二階の屋根裏部屋で、ゴッホは間借りをしていたのですが、その部屋のイメージが浮かんだのです。
 「そういえば、あの部屋の天井も斜めだったよなあ」
 【ゴッホ=屋根裏部屋=クリエイティブ】と、そんな公式が勝手に僕の頭に...。


●クリエイティブの文字が見方を変えてくれた
 そう思うと不思議なもので、これまでいやだったあの突き出したハリが、あのハリがあるからこそ屋根裏部屋の雰囲気がある、ともののみかたがガラッと変わったのです。

 ・屋根裏部屋、隠れ家、うーんカッコイイ。ならば5階だからこそ意味があるぞ。
 ・最初はボロい雑居ビルだからいい。だって、HISの澤田さんだって「机二つ、電話一本からの冒険」だったって言ってるし。そのほうがその後のストーリーがおもしろい。
 ・不動産屋のオヤジも言ってた。「あのビルに入った人は出世して出て  行く」って。

 僕は「クリエイティブ」って言葉にめちゃくちゃ弱い。この言葉が、僕の中でそれまで「ボロ雑居ビル」だったのを「夢の屋根裏部屋」に変えてくれたのです。

 こうして川村事務所は新たなスタートを切ったのであります。

 感想はどうかって?
 ハッハッハ、いやーもう気分は最高ですよ。真南で目の前が窓っていうのはチョー気持ちイイ。斜めに突き出したハリは屋根裏部屋の雰囲気十分。仕事場に来るのが楽しくなりました。
(注:入り口の洗面台は相変わらずそこにありますが、目をくれないようにしています)

 何かを決めるとき、つい周りの価値観に惑わされる。
 そのとき、自分にとって何が大事なのかに立ち返ること。
 そうすれば、おのづと答はみえてくるものです。

 もしお近くにお越しの際はお寄りください。
 ただし、5階まで階段を上がる覚悟があれば、ですが(汗)。

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▲我が屋根裏オフィスより多摩の丘陵をのぞむ。