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コラム 教育

2015年04月21日

「まじめな子」の落とし穴

 進学や進級時、子どもたちにはそれまでと違った学習環境、人間関係がはじまります。新しい友達作りに欠かせないのが自己紹介、最近はお互いのメールアドレスを交換し、すぐにSNS仲間になることができます。

 たくさんの友達と簡単にコミュニケーションできるという点では便利ですが、なかには「落とし穴」にはまってしまう子どもがいます。それは、優しく素直な性格、まじめでがんばり屋さん、そんな子どもたちです。

 もちろん、優しさやがんばりはとても大切なもの、すばらしい長所です。ただし、ネットの世界ではそれが裏目に出て、どんどん追い詰められてしまう場合も少なくありません。

 たとえば、新しくできた友達全員と仲良くならなくてはという思いが強すぎて、送られてきたメッセージすべてに丁寧に返信します。相手のメッセージがたいした内容でなくてもスルー(やりすごす)できずに、ひとつひとつ律儀に対応することもあります。
 
 当然ながら多くの時間を費やすので、勉強や睡眠など、自分の生活に影響が出てしまいます。疲れていたり、別の用事があったりしても、「返信しないと相手に悪い」という責任感から逃れられず、どんどん無理を重ねてしまうのです。
 
 また、優しい子どもは、人に対する純粋な信頼感を持っています。これも本来はすばらしいものですが、ネット上では悪用されやすく、思わぬ被害を呼ぶ場合もあります。自分の個人情報を安易に伝えたり、相手の言うことをそのまま信じてしまったり。なんらかのトラブルに巻き込まれても相手との関係を切れず、かえってドロ沼化することもあります。特に、新学期がはじまって1、2ヵ月くらい経ったころから問題が出やすいので、この時期は要注意。私はこうした状態を「ネット5月病」と呼んでいます。

 リアルではすばらしい性格や長所だとしても、ネットでは「切り替え」が必要です。他者を尊重するのは大切ですが、同時に自分の身を守る術も知っておいてほしいと思います。

 イヤだと感じたらはっきり「NO」を言っていい、無理して相手に合わせる必要はない、そんな対応策を子どもにしっかりと伝えましょう。そして、人への優しさと同じくらい、自分自身への優しさも持つように教えてあげてください。

石川結貴

石川結貴

石川結貴いしかわゆうき

ジャーナリスト

家族・教育問題、青少年のインターネット利用、児童虐待などをテーマに取材。豊富な取材実績と現場感覚をもとに、多数の話題作を発表している。 出版のみならず、専門家コメンテーターとしてのテレビ出演、全国各…

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