新年明けましておめでとうございます。”Time flies like an arrow.”(光陰矢の如し)、…私にとっての昨年は、本当に短い一年となりました。このような思いもあり、本稿においては、2013年を迎えるにあたり、今再び、「時間の価値」について考えてみたいと思います。
かつて、古代ギリシアにおいて、「学問をするにはスコレーが(暇)が必要である」という考え方がありました。これは、当時のギリシアにおいて、所謂、「学問をするにはそれ相応の自由な時間が必要である」という意味として捉えられたものです。例えば、古代ギリシアの代表的な哲学者の一人であるアリストテレスは、著書『形而上学』にて「人々が閑暇(スコレー)を持った土地にて、はじめて快楽のためでも必需のためでもない学問が発見されたのだ」という旨を述べています(スコレーは、中世には”スコラ”と呼ばれるようになり、後に”スクール”と呼ばれるようになった語です)。
現代社会においては、「暇は人間を堕落させるもの」という捉え方が一般的です。私自身も、「暇は、自分を堕落させる」と考え、日々の生活においては、たとえ一分一秒でさえ、時間を無駄にすることなく超・過密スケジュールをこなしています。
私は、人間の人生には、大きく分けて3つの財産があると考えています。財産と言っても、それは不動産や現金を指すわけではありません。私にとっての3つの財産とは、(1)「命」、(2)「健康」、(3)「時間」を指します。
概して、「命」と「健康」は、その概念を混同されがちですが、世の中には、命があっても健康がない人が大勢います。わかりやすい例で述べるならば、例えば、病院には入院患者がたくさんいます。言うまでもなく、それぞれの患者には「命」がありますが、それぞれの患者は何らかの病気と闘っているわけです。
つまり、人間が、自由意思で、健康な状態で自分の「生」を謳歌するには、「命」と「健康」を備えているという大前提の下、生を謳歌、あるいは、全うするための十分な「時間」が必要であるという捉え方ができるわけです。私自身、今現在、確かに生きていますが、では、”優良な健康”を持ち得ているかと考えると、実際はそうではありません。私の体は、残念ながら、完全なる健康体ではありませんが、それでも、とにかく、毎日、一個の人間として「生きる」を続けています。
巷では、人と会う約束をして、その約束の当日、例えば、約束の時間まで一時間程度の時間が余ると、「時間が余ったので、カフェにでも行って時間を潰そう!」という言葉を発する人がいます。言うまでもなく「人間の生」には限りがあるわけですが、「『限りある生』における『限りある時間』を安易に潰す」という時間の捉え方に<洗練されたセンス>を感じることはできません。
時間は、本来、潰すためにあるのではなく、理性的存在者として上手に使うためにあるものです。このような観点を踏まえ、私にとっての2013年は、既に決まっている過密スケジュールから「さらに新しい時間を生み出す一年」にしたいと考えています。
「時間は、探すものではなく、作り出すもの」、…読者の皆さん、是非、このような時間の捉え方の下で、「毎日の一秒一秒」を刻んでいってください。人間の人生の行く末は、「毎日の一秒一秒をどのように捉え、その一秒一秒をどのようにしっかりと刻んでいくのか」で決まるのだと私は考えます。
生井利幸なまいとしゆき
生井利幸事務所代表
「ビジネス力」は、決して仕事における業務処理能力のみを指すわけではありません。ビジネス力は、”自己表現力”であり、”人間関係力”そのものです。いい結果を出すビジネスパーソンになるためには、「自分自身を…
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