2016年02月01日

Vol.1

人生最大の危機 ~フジテレビとくダネ!気象キャスター・天達武史~

人生最大の危機を教えてください。

とくダネ!に入ってすぐの頃、本番5秒前に突風が吹き、用意していた原稿が全部飛んで行ってしまった。

その時の状況や危機が発生した原因を教えてください。

まだとくダネ!に配属されてすぐの頃、それまでテレビ未経験だった私は、毎回、自分で書いた天気原稿を用意し、何度もリハーサルをして本番に挑んでいました。その日はぽかぽかの小春日和だったと思います。本番が近づき緊張がピークに達するころ、いきなり予想外の突風が吹いて手元に用意していた原稿が空高く舞い上がってしまいました。あっという間に手の届かないところまで行ってしまった私の天気原稿、本番まで5秒前!さぁ、どうする?

危機とどのように向き合い、乗り越えたのですか?

本番5秒前に飛んでいってしまった私の天気原稿。どのように向き合ったか?って、正直もうどうにもならなかったです。直後に小倉さんから「アマタツー!」って呼ばれてしまいましたから。もうそこからは本番、全国何百万人?の皆さんがみています。最初はあわわわ・・・してしまいまいたが、幸いなことにやるしかないスイッチ!が作動してくれました。頼りになるのは目の前にあるモニター一つ。モニターには視聴者が観ているのと同じ画面が映っています。もうその画面にある天気マークを食い入るように見ながら一生懸命しゃべりました。ただ、あとで見たら10秒に一回くらい噛むし、言い回しとかめちゃくちゃでした。

でも、私はこれで気象キャスターとしてひとつレベルアップしました。原稿を丸読みするとスムーズかもしれませんが、天気予報が終わったあとに印象に残らないんですよね。「結局、あした晴れるんだっけ?」みたいな・・・自分の言葉で伝えれば、多少詰っても相手に伝わると思います。原稿が飛んでいってしまったことで私は、天気予報をハートで伝えることの大切さに気づかされました。私にとってあの風は神風だったんです。

最大の危機に直面したご経験から、どのようなことが得られましたか?

一言でいうと臨機応変に対応できるようになったことです。天気予報ってライブですから、今起きていることが刻々と変化していきます。お天気キャスターってその変化を言葉にして伝え、今後どんなことがおこるのか?想像力も大切です。いちいち一言一句原稿にしていたら、大型台風の接近時や異常気象時など刻々と変化する現状にとても生で対応できません。

私もあの神風以来、基本的に原稿を読まなくなりました。そのおかげというか、あるとき間違った天気予報の画面が出てしまったことがありました。原稿を読んでいたら気付かなかったと思いますが、画面をみながら自分の言葉で話していたことで用意した画面と違っていることに気付いたんです。そこですぐ訂正できましたし、天気予報ってふつう番組の最後のほうじゃないですか。なので、直前で予定していた時間より短くなったり長くなったりするんです。原稿を書かずに伝えることだけを整理しておけば、臨機応変に対応できて、小倉さんのツッコミにも対応できます(笑)。

最後に、人生の危機に直面している人へ向けてアドバイスをお願いします。

皆さんそれぞれの危機がありそうですから一概には言えませんが、ひとつ私の経験から言えるのは、危機って本当の意味で自分の力が分かるときだと思うんです。それまでの過程をどう過ごしてきたか?もちろんそこで危機を乗り越えていければいいですが、乗り越えられないこともあると思います。でも、それはそれでいいと思うんです。

私も原稿飛んでっちゃった事件のときは乗り越えられたと思いましたが、乗り越えられなかったこともたくさんあります。ちょっと自分にとってハードルが高すぎたとかね。そんなときは自分を素直に受け入れてあげればいいと思います。ハードルを低くしてひとつひとつ乗り越えていけば、時間はかかってもクリアできるはず。きっと自分にとってプラスになるはずです。