2019年02月22日

Vol.4

『「学力」の経済学』ー中室牧子氏ー

思春期真っ只中の悩める中学生・高校生に、そして、その保護者の方、また、教育関係者に向けて、「講演会のプロが選ぶ!中学生・高校生にすすめたい本」をご紹介いたします。

第四回は、「林先生が驚く初耳学!」でも大反響を呼んだ教育経済学者中室牧子先生の著『「学力」の経済学 』 (ディスカヴァー・トゥエンティワン)です。

中学生・高校生にすすめたいポイント

「学力」の経済学 (中室牧子)

データと理論に基づいた教育経済学

教育経済学は、教育を経済学の理論や手法を用いて分析することを目的としている応用経済学の一分野で、一般の誰かの成功体験や主観に基づく逸話ではなく、客観的な科学的根拠に基づいた教育の提案を行う学問です。

この学問の学者である中室先生は、著書の中で「子どもは褒めて育てた方がいいのか?」「勉強をさせるためにご褒美でつっていいのか?」「ゲームをすると暴力的になるのか?」といった世間ではたびたび論争になるような問題に関して科学的根拠を用いて説明しています。

その中でも今回皆さんにご紹介したい情報は、「非認知能力」の重要性です。

データで示された人生を成功に導くための「非認知能力」の重要性

「非認知能力」とは

まず、「非認知能力」とは何でしょうか? 「非認知能力」とは、「忍耐力がある」とか「社会性がある」とか「意欲的である」といった人間の気質や性格的な特徴のようなものをさし、一般的に「生きる力」といわれるようなものであると説明されています。

非認知能力は、将来の年収、学歴や就業形態などの労働市場におこる成果にも大きく影響し、人生を成功に導く上で重要であることが、データ的に証明されているそうです。

人生を成功に導く上で特に重要な非認知能力「自制心」と「やり抜く力」

では、人生を成功に導く上で特に重要な非認知能力とは、何でしょうか? それは、自制心やり抜く力だそうです。

自制心が強い子どもは、自制心の弱い子どもより、SAT(アメリカの高校生が受ける大学進学のための標準テスト)のスコアがより高いことが、コロンビア大学の心理学者であるミシェル教授による「マシュマロ実験」でわかっています。

また、「やり抜く力」に関しては、ペンシルバニア大学の心理学者、ダックワース准教授が、成功する人の特徴は、「情熱」と「粘り強さ」を持つ人で、人生で何か大きな物事を成し遂げることができるかどうかは、才能よりもGRIT(やり抜く力)だと結論づけています。

基本的なモラルを親から教わった人は、教わらなかった人よりも年収が高い

神戸大学の西村教授らが行った研究「基本的モラルと社会的成功」では、ウソをついてはいけない、他人に親切にする、ルールを守る、勉強をするといった4つの基本的なモラルをしつけの一環として親から教わった人は、まったく教わらなかった人と比較すると、年収が86万円高いということを明らかにしています。そして、山形大学の窪田准教授らの「勤勉さの文化伝達ー親のしつけと世界観」という研究では、しつけが子どもの勤勉性に因果効果を持つことを明らかにしました。これらのデータをもとに、子どものころに、基本的なモラルが身につくということは、勤勉性という非認知能力を培い平均的な年収の差につながったのではないかという考えを中室先生は述べています。

「非認知能力」を鍛えることは可能?

では、この「非認知能力」を鍛えることは可能なのでしょうか?
非認知能力は、成人後まで可鍛性のあるものも少なくないということがわかっているそうです。

とくに、重要な「自制心」と「やり抜く力」はどのように鍛えればいいのでしょうか?

「非認知能力」を鍛える方法

自制心を鍛える方法 

自制心を鍛える方法に関しては、
「自制心は、何かを繰り返し継続を行う事で向上。イメージ的には、筋肉を鍛える時のように、継続と反復を繰り返すことが大切です。意識しないとしづらいことを継続的に行うことにより、自制心が鍛えられます。心理学の分野においても自制心を鍛えるためには『細かく計画を立て、記録し、達成度を自分で管理することが有効である』と多数の研究で報告されています。」と著書の中で述べています。

やり抜く力を鍛える方法

やり抜く力を鍛える方法に関しては、 「やり抜く力を伸ばす為には、心の持ちようが大切です。しなやかな心をもつ、つまり自分の元々の能力は生まれつきのものではなくて、努力によって後天的に伸ばす事が出来るという事を信じる子供は、やり抜く力が強いことがわかっています。親や教師から定期的にそのようなメッセージをつたえられた子供達はしなやかな心を手に入れ、やり抜く力が強くなり、結果成績も改善されるという研究結果が報告されています。」と述べています。

「非認知能力」を鍛える手段

そして、非認知能力を鍛える手段としては、「部活動や課外活動に注目が集まっていて、また、他にも社会奉仕活動のように教室で学んだことを地域社会で問題解決のために生かすような教育やアウトドア活動なども有効である」と述べています。

講演会のプロから伝えたいこと

「自制心」「やり抜く力」といった「生きる力」を養い、人生を成功に導いて欲しい

まじめにこつこつ勉強なんてしたくないと思っている人。
掃除なんて、面倒くさいし、汚いし、誰かがやればいいじゃないといってさぼって帰宅してしまう人。
校則なんてだるいから守りたくないとルールを守らない人。
部活動、練習はきついからさぼって、家でゲームをしてる人や帰宅途中でカラオケや遊びに行ってしまう人。
そして、地道な練習は、いやだからさぼるけれど、試合には勝っていい格好をしたい人。いや、負けたら格好悪いからといって、何かと理由をつけて試合にも出たくないと思っている人。

辛いことは、きついし、楽な方が楽しい。まじめにやらずに、何とか手を抜いて、いい結果を収めたい。一生懸命やるのは、格好が悪い。まじめにやったところで、結果がでないこともあるしばからしい・・。
その気持ちは、とってもわかります。

しかし、勉強をすることは、ただ、知識を得るためだけではなく、こつこつやる力を鍛えています。部活動で、努力をすることは、その技術を向上させるためだけではなく、「やりぬく力」や、つらい、きつい、やめたいといったマイナスの欲求を「自制する心」を養っています。

学校や部活での取り組みや地域での活動が、人生を成功に導くために重要であり、「自制心」「やり抜く力」といった「生きる力」を鍛えてくれていることを、そして、それが、人生において最大の武器になりえるということをぜひ皆さんには知って欲しいです。

武器になる「生きる力」は、鍛えることが可能です。ぜひ、「生きる力」を養ってください。

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