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2012年07月13日

ピークカットの夏が来た (1)

■重要なのはピークカット

7月に入りました。梅雨が明けると、いよいよ”ピークカットの夏”がやってきます。国や電力会社は、7月2日から早くも節電要請をはじめ、マスメディアも”節電の夏”だと危機感を煽っています。

しかも、関西電力管内は15%、大飯原発がフル稼働後は10%の節電だとか。まったく非科学的でナンセンスな要請です。
原稿を書いている7月5日時点では、梅雨明け前で、関西電力の週間電気予報を見ても、その日のピーク時供給力に対する予想最大電力は82~85%と十分な余裕があります。それなのになぜ、15%もの節電を求めるのか、理解に苦しみます。

もちろん、節電自体は悪い事ではありませんが、合理的なお願いをしなければ、本当に重要なのはどんな事なのか分かりにくくなってしまいます。
大切なのは、猛暑の日の午後1時から4時といった、電力の使用量が増え、供給力が足りなくなりそうな時に、消費電力のピークを抑え、大規模停電を防ぐことです。極端な話、そういう時以外は、普段通りの省エネを心がけていれば良いのです。

電力会社は、翌日の電力需給状況が厳しくなりそうな時、どの時間帯にどの程度の節電が必要か適切な情報を出し、当日もできるだけリアルタイムに状況を伝えていく、そんな方法が効果的なのです。
そして、個人や企業、行政は、電力の需給の厳しさに応じて、段階的にスピーディーに消費電力をカットできるよう、あらかじめ準備しておけば良いのです。だらだらと、必要のない時まで大雑把に節電を要請していたのでは、本当に必要な時に緊張感を持って、適切な対応ができなくなってしまいます。

■日射を防ぐ

ピークカットに最も効果的なのは、冷房を止める事ですが、対策をしていない家やオフィスで、猛暑の昼間に空調を止めると、すぐに暑くなってしまいます。
あらかじめ、日射を防ぐ対策をしておきましょう。

庇(ひさし)を深くしたり、南や西側に落葉樹を植えたりすると大きな効果がありますが、新築、改築時でもないと難しいでしょう。
アサガオやゴーヤなどのツル性植物を育てて、緑のカーテンを作るのも効果的ですが、今からでは間に合わないかもしれません。

すぐにできるのが、「すだれ」を垂らしたり、「よしず」を立て掛けたりする事です。
カーテンやブラインドでも日射しは防げますが、日射によって熱くなった空気は、部屋の中にとどまります。
それに対し、「すだれ」や「よしず」なら、部屋の外で日射を防ぎますから、熱い空気は大気中に拡散し、部屋には入りません。これらの方が室温の上昇を抑える効果が大きいのです。
オフィスなどで、「すだれ」や「よしず」が使いにくい場合は、「オーニング」という日よけなら、違和感なく使えるのではないでしょうか。突っ張り式の簡易型は1万円程度からあります。

■断熱性を高める

もう一つ効果の大きい対策が、断熱性を高める事です。本当は、壁から放射される熱も影響が大きいのですが、これも新築、改築時でないと対策は難しいので、まずは窓の対策をしましょう。

現在1枚ガラスで、窓の近くに立つと外の暑さを感じるような状態であれば、内窓を付けると効果的です。多くの内窓はペアガラスになっていますから、断熱性の高い空気の層が、従来のガラスと内窓の間、そして内窓内と、二層できる事になり、断熱性が劇的に高まります。空調の効きが良くなって、少ない消費電力で室温を保つ事ができるようになるでしょう。

内窓ほどの効果は期待できませんが、窓やサッシに貼り付ける断熱シートも売られています。ただし、日射を反射したり、遮断したりするタイプは、取り外せるものでないと、冬は寒くなってしまう可能性がありますので気をつけましょう。

我が家は、十分、断熱性、気密性を高めてあり、梅雨が明ければ日射対策もするので、深夜から朝までに28度に下げておけば、日中はエアコンを入れなくても、大抵夕方まで30度以下に保てます。

ここまでではなくても、日射対策、断熱対策をしておけば、日頃から電気代を抑えられますし、イザ電力需給が厳しくなった時、冷房を止めても、ある程度室温が保たれますから、不快感や業務効率の低下を抑えながら、消費電力を抑えられます。

電力ピークカット対策はまだまだありますので、また次回。

富永秀一

富永秀一

富永秀一とみながしゅういち

環境ジャーナリスト

私はアナウンサー時代から、環境に関する番組を制作してきました。現在は“無理なく続けられるエコライフ”をメインテーマに、テレビ番組制作、ネット放送、書籍・記事執筆等により情報発信中です。講演では、環境・…

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