No.17 遠藤謙 / 読む講演会 クローズアップパートナーNo.17 遠藤謙 /“読む講演会”クローズアップパートナー

究極の目標は、日常的に使えるロボット義足を作ること No.17 株式会社Xiborg代表取締役 遠藤謙

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義足を履いたら、世の中が一番驚く人って誰だろう

いずれ、このロボット義足を当たり前にしたいと考えています。これが当たり前の社会になるには、テクノロジーが適切に動かなければいけないというのは最低条件なので、研究活動はもちろん必須ですが、もうひとつ、「どうやったら世の中の人に伝えられるか」が問われてきます。最初にお話した情報伝達ですね。機能を伝えるにはどういうデモンストレーションがあり得るか。PRやマーケティング部分の大切さです。

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そこで、制限をとっぱらって自由に考えてみることにしました。思い浮かんだのは、義足を履いたら世の中が一番驚く人って誰だろう?こう考えて、最初にパッと浮かんだのが、乙武洋匡さんでした。彼が福島の地震の後、野球の始球式に出ていたのをテレビで見たことがありました。マウンドには電動車椅子は行けないので、電動車椅子を使わず、自分の足でマウンドに上がっていたのです。

それを見て、足が残っていて運動神経もあるなら、義足を使って歩けるんじゃないかと思ったのです。義足プロジェクトを強いインパクトと共に知ってもらうために、乙武さんに歩いてもらいたい。それで、本人に会うチャンスがあったのでお話したところ、ノリノリになってもらえて始まったのが、Ototake Project(乙武プロジェクト)と呼ばれているものです。乙武さん自身、義足を使って歩いたことはありませんから、簡単なことではない。試行錯誤を続け、2018年11月の段階では膝を伸ばしきった状態で歩くのが精一杯でした。

これをなんとか自然に歩くために、どうすればいいか、さらなる試行錯誤をしながらやっています。数日前の歩行の運動では、膝に制御を入れ、遊脚時に膝が曲がるようになって、ずいぶんスムーズに歩けるようになってきた。インターネットを利用されている方は、映像をご覧になったことがあるかもしれません。

壮大なケーススタディ、Ototake Project(乙武プロジェクト)

このプロジェクトは、乙武さんが頑張っているだけではなく、いろいろな社会課題に対して、提言ができるものだと思っているんです。例えば、テクノロジー部分。人間の足のように自然に動く義足を作るためにどうしたらいいか、というアカデミックなチャレンジがひとつ挙げられます。また、今プロジェクトのスタッフの写真を掲げましたが、右上の人はデザイナーです。自然に見えるために、どんなデザインがありえるのか、デザイン的にも大変なチャレンジをしている。四肢欠損の方が後天的に歩くためのリハビリテーションプロセスを考えた理学療法士さんのチャレンジもあったり、義足をフィッティングする義肢装具士が歩けるようになるために、どういうプロセスを踏むか、ここにもチャレンジがある。壮大なケーススタディがここで行われているのです。

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そして乙武さんは、やっぱり発信力が凄い。もちろん、その反応にはポジティブ、ネガティブがあるのですが、広がることに意味があると考えて、彼に発信してもらいました。

その結果、メガネのOwndaysの経営者とキングコングの西野さんとがクラウドファンディングをやってくれて、2000万円ほど集め、乙武さんを援助してくれたのです。

これは国のプロジェクトでもありますが、こんなふうに社会を巻き込みながらものを作っていくというプロセスは、今までになかったと評価されています。

ビジョンは、障害者に対する考え方の変革

こういうことを競技用義足でもやっています。やっぱりビジョンは、障害者に対する考え方の変革です。もし、義足をつけた障害者のほうが足が速くなったら、我々はその人のことを障害者と思うだろうか、ということがパラリンピックや障害者の競技に対する問いなのです。もっというと、障害者=社会的弱者という障害者に対する考え方が、それだけじゃないよね、ということが何となく見えてきたということを示すためのプロジェクトでもあります。

2008年、オスカー・ピストリウスという。南アフリカの義足のアスリートがパラリンピックではなく、オリンピックに出たいと裁判を起こしました。彼は歴史上初めて、オリンピックに出た義足アスリートになりました。この裁判は日本ではほとんどニュースにならなかったのですが、我々の業界では大ニュースになりました。義足の人って速いね、こんなに速く走れるんだ、ということが世の中に広がったのです。実際、競技人口が圧倒的に増え、ニュースが広がって彼が負けるようなすごいアスリートが生まれ始めました。またさらに凄いニュースになったのが、義足の走り幅跳びのアスリートでした。記録は8メートル48センチ。これはオリンピックに出てしまったら金メダルを取れる記録です。彼ももちろんオリンピックに出たいと言ったのですが、出られなかった。義足だからと言う理由で。

ここに内在している問題は、健常者というのはこのぐらいのレベルだとしたら、やっぱり障害者ってことだよね、という何かしらの先入観があるということです。それは、テクノロジーのせいだよね、という論理が働いたんだと思うわけです。

でも、これはちょっとおかしいと言われ始めている。なぜなら、テクノロジーを使わない人間はいないからです。テクノロジーを使って健常児レベルになっているのなら、その人の能力も認められるべきなんじゃないかということです。こういった議論が広がり始めたこと自体が、世の中が変わっている証拠だと思っています。こんな議論が巻き起こるようなことを、やっていきたいとずっと思っています。

世界陸上、200メートルの金メダリストの義足

競技用義足の種類は、5、6種類ぐらいあり、体重で選びます。レースで使われる義足は、ドイツのオットボクとアイスランドのオズール。特に男子はほとんどオズールが使われています。逆に言うと、2社以外の義足は、ほとんどパラリンピックでは使われていない。そんな中で、我々が作った義足が2016年に初めて世界大会で使われました。

我々がサポートしている日本人の佐藤圭太選手が、リオのパラリンピックの日本代表に選ばれたのです。まだトップの選手に比べれば1秒ぐらいは遅いですが彼はこれでアジア記録を出しました。そして、2社以外の義足が現れた、ということで引き合いがたくさんやってきました。我々も小さなベンチャーだったので全員をサポートできません。そこで、全米チャンピオンで、テクノロジー好き、日本好きの選手と契約をして組むことになりました。

契約をしたのは2017年の5月。その年、ウサインボルト選手が引退した世界陸上があり、彼が我々の義足をつけて走ってくれたのです。100メートル世界3位の選手が我々の義足をはいてくれた。そして200メートルでは金メダルを取ってくれました。

プロフィール

遠藤謙/ 株式会社Xiborg代表取締役

慶應義塾大学修士課程修了後、渡米。マサチューセッツ工科大学メディアラボバイオメカトロニクスグループにて、人間の身体能力の解析や下腿義足の開発に従事。2012年博士取得。一方、マサチューセッツ工科大学D-labにて講師を勤め、途上国向けの義肢装具に関する講義を担当。現在、ソニーコンピュータサイエンス研究所アソシエイトリサーチャー。ロボット技術を用いた身体能力の拡張に関する研究に携わる。また、途上国向けの義肢装具の開発、普及を目的としたD-Legの代表、途上国向けものづくりビジネスのワークショップやコンテストを主催するSee-Dの代表も務める。2012年、MITが出版する科学雑誌Technology Reviewが選ぶ35才以下のイノベータ35人(TR35)に選出された。2014年ダボス会議ヤンググローバルリーダー。

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