No.14 竹内薫 / 読む講演会 クローズアップパートナーNo.14 竹内薫 /“読む講演会”クローズアップパートナー

人工知能の時代に、知っておくべきこと。No.14 サイエンス作家 竹内薫

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世界を驚かせた、2012年の「グーグルの猫」

No.14  竹内薫

そもそも人工知能って何でしょうか。1958年、もうちょっと40年代からいろんな芽生えはあったと思いますが、よく本に出てくる説明図は58年ですね。図にしましたが、一番左が入力層と言われるもので、一番右が出力層と言われるもの。左から数字が入ってきます。そして回路があります。右から数字が出ていきます。これが人間の脳がやっていることのシミュレーションです。ちょっと乱暴ですけど。左から画像が入ってきます。数字のデータです。デジカメとか、画像、数字の羅列。数字が入って来ると、回路を通って、別の数字が出てくる。それだけの話です。ちょっと飛躍しますが、将棋の盤面が数字として数値化されて左から入ってくる。そうすると、次なる一手の数字が出ます。それが今や、名人に勝てちゃうわけですね。将棋の名人もびっくりの次の一手が出てくる。そういうところまで来ちゃったわけです。その理由は、中間層というのが、どんどん増えていって、加工が変わっていったからです。それだけなんです、極端な話。

昔、僕が書いていた、あまり役に立たない、何をやっているかわからない人工知能のプログラムと、現在いろんなことができて、将棋の名人に勝っちゃうようなプログラム何が違うかというと、真ん中の層が厚いわけです。だから、深い層。ディープラーニングということになるわけです。数字が入ってきて、数字が出ていく。じゃあ、学習は何をやっているか。途中の回路の部分ですね。その通りやすさを調整していくわけです。水道管だと考えてください。左から水が入ってきます。水道管を通って右から水が出ていきます。この水道管の太さを調節するわけです。全部を微調整して、ほとんど水が通らないところと、すごく通るところ、みたいなのがたくさんあったりする。それを全部、最適化してやると、将棋の名人に勝てるようになるよ、と。わかりやすくいうと、そういうことです。もちろんこれだけじゃないですが、基本的な原理はそういうことなんです。

人工知能は、これまで何度もブームがありました。第一次、第二次ときて、毎回、頓挫してしまった。僕の友人たちも人工知能の研究に入っていった人、けっこういますが、毎回、研究費をたくさん使ってガチャガチャッとやって、結局何も出ません、ということが多かった。ところが2012年、「グーグルの猫」が出てきます。これを見たときに、「あっ」と思いました。グーグルの研究所で、動画から切り出した画像を1000万枚、機械学習させたんです。そうしたら、猫を認識するようになった。その画像は、ランダムな画像なので、人間の顔もあれば、動物の顔もあって、犬もいるし、いろんなものがいる。そのときに、猫の画像を見せると、さっきの経路で、ある経路が反応しました、と。つまり猫を見せると、ある経路が反応する。猫を認識する回路ができたということです。これは、けっこうショッキングで、それまではなんとなく、猫というのは耳が尖っています、ヒゲが生えています、にゃーと鳴きます、毛が生えています、みたいな特徴みたいなものをデータとして教えていました。それを一切、何も教えていないのに、ただただ流しているうちに、勝手に学習しちゃったって話です。これはもしかして使えるんじゃないか、と僕が初めて思ったのが、この2012年です。

なぜ人工知能は、東大受験ができなかったのか

No.14 竹内薫

東ロボくんの話をします。東大の受験をするロボットです。これは、センター試験などの受験をしていって、偏差値が57まで上がったんですね。そこで、研究はいったん終わりました。東大受験は断念しました。なぜ東ロボくんはダメだったのか。過去問を学習していったんです。英単語も穴埋め問題も、ネイティブよりもできちゃう。歴史の年号も、歴史学者より知っている。数学の計算も数学者よりも早い。そんな状況なのにも関わらず、ある問題が解けませんでした。

問題 「彼は報告書をまた出し忘れた。おまけに会議に遅刻した。」
この文章に続く文章は次のどれですか?

1.私は寝坊した
2.会議には報告書が必要だ
3.彼は社会人として自覚がない

この問題、難しいですか。そんな難しくないですよね。自然に続きそうなのは3番ですよね。でも、3番がぴったりくる、というのが東ロボくんにはわからないんだそうです。東ロボくんには例えば、遅刻、という言葉に反応して1番を選んだり、報告書に反応して2を選んだりする。3はどうして選べないのか。我々が3を選べる理由は、会社で実際にこういうことやった経験がある。やった人がいるのを見ている。その人がどんな目にあったかを知っている。あるいは学校で宿題を忘れたとき、どうなったかがわかっている。そういう体験、経験値があるからです。それが、常識ということ。社会常識があるんです、我々は。学校とか、いろんなところに行って、人とコミュニケーションを取っていった中で、体験として自分が持っているものがある。東ロボくんの世界は過去問の世界なんです。過去問の世界には、宿題を忘れて怒られるというデータがない。こういった普段、我々があまり意識していない社会常識はたくさんあります。それをどうやって教えるんだ、という話なんです。知らないと、東大の入試の問題で、解けない問題が出てしまう。これが発見できた、という面白い研究だったんです。

これは現状のAIがどういうものを学習して、どこに秀でて、という話と、逆に彼らの弱点みたいなものも明らかにしたんですね。人間が今後15年、2045年くらいまでおそらくシンギュラリティは来ないので、それまでどうやって生きていけばいいのか。そのヒントでもあると思います。これがわかればいい、ということです。東ロボくんは空気が読めない奴なんです。我々は空気が読める。読めない人もいますが、いちおう読める。そうすると、東ロボくんよりベターになれます。コミュニケーションができる、というのは、人間の特権で、重要なことなんです。だから子どもの教育でも、過去問ばかりやらせて、受験受験、とやっていたら、もしかすると東ロボくんに近くなっちゃうかもしれません。できれば、もうちょっと人間同士というか、子ども同士、先生とのやりとり、人前で発表するとか、議論するとか、そういった経験値が必要だと僕は思うので、このへんはけっこう未来のヒントであると思います。

プロフィール

竹内薫/ サイエンス作家

情報番組のコメンテーターとして、広い知識と視野が評判の講師。
東京大学教養学部教養学科(専攻、科学史・科学哲学)・東京大学理学部物理学科卒業。マギル大学大学院博士課程修了(専攻、高エネルギー物理学理論)。大学院を修了後、サイエンスライターとして活動。物理学の解説書や科学評論を中心に100冊あまりの著作物を発刊。2006年には「99.9%は仮説~思い込みで判断しないための考え方」(光文社新書)を出版し、40万部を越えるベストセラーとなる。物理、数学、脳、宇宙、・・・など幅広い科学ジャンルで発信を続け執筆だけでなく、テレビ、ラジオ、講演など精力的に活動している。また大の猫好きでもあり、著作物の中に猫(シュレディンガーの猫)も度々登場する。講演では、具体的な数字や話題を解説しながら、今後社会や聴講者自身がどう歩んでゆくべきかという未来を提示する。その解説の分かりやすさから聴講者の理解度には定評があり、もっと勉強したい気持ちになるとモチベーションアップにも最適と評判が高い。

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