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『人は、なぜ他人を許せないのか?』-中野信子氏著-

中野信子

脳科学者

思春期真っ只中の悩める中学生・高校生に、そして、その保護者の方、また、教育関係者に向けて、「講演会のプロが選ぶ!中学生・高校生にすすめたい本」をご紹介いたします。

第17回は、脳や心理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に行っている、東日本国際大学教授の中野信子氏著『人は、なぜ他人を許せないのか?』 (アスコム)です。

『人は、なぜ他人を許せないのか?』(アスコム)

中学生・高校生にすすめたいポイント

誰でも「正義中毒」に陥ってしまう可能性がある

SNSが発達した現在、有名人の不倫スキャンダルが報じられるたび「そんなことをするなんて許せない」と叩いたり、不適切な動画が投稿されれば、対象者が一般人であっても本人や家族の個人情報をインターネット上にさらしてしまう…など、いわゆる「炎上」を目撃した経験はありませんか?

人間の脳は、「社会のルールから外れた人といったわかりやすい攻撃対象を見つけ、攻撃すると快感を覚える」という仕組みになっているそうです。この快楽にはまってしまった人のことを本書では「正義中毒」と名付け、いろいろな事例や研究結果に基づいてわかりやすく紐解いていきます。

許せない仕組みを知ることは、穏やかに生きるためのヒント

多様な社会において人は、自分とは違う文化や習慣、意見を持つ人と必ず出会い、誰とも関わらずに生きていくことは決してできません。また、歴史的な視点からみても、多様性を狭めた集団は急激な環境や条件が変化した場合適応しきれず滅亡に向かっています。

もし他人の言動に強い拒否感をもったとしても、「自分と異なるものをなかなか理解できず、『許せない』と感じ、わかりやすい攻撃対象を見つけ、攻撃すると快感を覚える」という人間の脳の仕組みを知っていれば無意味な争いに参加して消耗したり、仕返しに誰かを傷つけたりせず、楽な気持ちで見守ることができると思いませんか?

脳の成人年齢は30歳

どのような相手に対しても共感的に振る舞い、人間として尊重し、認めていく機能はとても高度で、司る前頭前野が静粛するのは大体25歳~30歳。ようやく成熟してもアルコールの取りすぎや、睡眠不足によって簡単に衰えてしまうそうです。ただ脳は、経験によって進化できるようにできています。特に若い時に鍛えれば鍛えるほど、脳は成熟して衰えにくくなります。筋肉などと一緒です。

脳を鍛えるための有効なポイントをここでは3つ紹介します。

1.慣れていることをやめて、新しい経験をしよう

おおげさに聞こえるかもしれませんが、いつも通っている通学路を変えるだけでもOKです。(いつも曲がるところを直進する。乗っている車両を変えるなど) これだけで、脳には刺激になります。他にもいつも食べているご飯を変えてみたり、違う髪型に挑戦してみたり、普段の生活で行うことを変えれば変えるほど効果が出てきます。

2.本を読んでみよう

いつもだったら絶対に読まないような本をなるべく選んでみてください。まずは立ち読みでも十分です。数冊読むだけでも「この世にはいろいろな考え方が存在する」と意識するようになります。

3.簡単にレッテルを貼らないようにしよう

何かの事象があったとき「知ってるよ、Aって××なんでしょ」とレッテルを貼りがちな人は要注意。脳が楽をしています。脳の弱さがあるという背景を知っておくことが大切です。

講演のプロから伝えたいこと

「人を許せない自分」を自分の力で解放できるようになってほしい

人を許せない自分や他者、相手を馬鹿にしてしまう自分や他者は、脳の仕組み上、仕方がありません。訓練や考え方によって一時的に正義中毒から抜け出しても、心身の疲れなどから元に戻ってしまう可能性が大いにあります。

戻らないためには、常に自分を客観的に見る習慣が大切です。また若いときにどんな人に出会って、どういう影響を受けたかが非常に大切なカギになっています。

この本が、皆さんの日常を見直すきっかけとなり、皆さんが、積極的に人との出会いを求めて行動し、明るい未来に繋げられることを切に願っています。

中野信子

中野信子

中野信子なかののぶこ

脳科学者

人間の行動パターンだけでは無く、国際問題から、流行やカルチャーの分野まで分かりやすく説明する人気脳科学者。コメンテータとしてのメディア出演実績も多数。講演では、ビジネスに活かせる行動、恋愛・ビジネスス…

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