No.17  遠藤謙 / 読む講演会 クローズアップパートナーNo.17 遠藤謙 /“読む講演会”クローズアップパートナー

究極の目標は、日常的に使えるロボット義足を作ること No.17 株式会社Xiborg代表取締役 遠藤謙

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子どもたちが義足を試せる「義足の図書館」

こういうことをやっていると、パラリンピックを盛り上げるためにはどうしたらいいか、といった相談が寄せられるようになりました。その中で形にできたもののひとつが、豊洲にある新豊洲Brilliaランニングスタジアムという施設です。60メートルのトラックとラボスペースが併設され、2016年の12月にできました。

これは東京ガスが作った施設で、中身の制作に結構自由を与えられましたので、取り組みを進めたのが、子どもたちが義足を試せる場所にすること。クラウドファンディングで「義足の図書館を作りたい」と伝えると、1753万3000円もの寄付をいただきました。競技用の義足は約100万円で簡単には買えないものなのでレンタルできるようにしました。

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しかし、義足の図書館はパラリンピックのスポンサーや財団は興味を持ってくれませんでした。でも自分たちでお金を集めて作ったことを、ロイターが動画のメディアにしてくれて、それをオリンピックチャンネル、オリンピックの公式チャンネルが取り上げてくれました。映像が残っています。子供たちのインタビューも上がっています。すると、世界各国のメディアが取り上げてくれるようになりました。ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト。そうなると日本のメディアも手のひらを返したように取り上げるという現象が起こりました。

月2回、義足の図書館ではクリニックをやっています。図書館を開放して義足装具士さんを呼んで、義足の子たちが集まって走り方を学んだりする。佐藤選手はじめ選手たちが遊びに来てくれて、子供たちと遊んでくれる。ここに来れば、義足の子供たちは自分で持っていなくても走り方を楽しむことができる場ができつつあります。また、北海道や大阪で義足の図書館の出張のようなイベントも行っています。義足の図書館は、今はXiborgからスピンオフしてNPO法人になり、ラオスでも活動しています。

渋谷のど真ん中で義足のアスリートの賞金レース

最後になりましたが、2017年に初めて企画したイベント「渋谷CITY GAME」をご紹介します。いろんな人と協力して作ったイベントです。ポスターのキャッチフレーズは「世界最速への挑戦」と書きましたが、パラリンピックや義足という言葉はありません。これは、ある意味での、アンチテーゼです。要は、義足だろうがなんだろうが、速いものが強いということです。義足だから盛り上げようとか、パラリンピックから盛り上げようとか応援しようとかではなく、速いものが強い、それが義足のアスリートじゃないかというメッセージを込められないかなと思って、こういうタイトルにしました。

選手が一番輝くのは、本気で走っているところです。だったらレースを渋谷の街中でやったら面白いと思いました。渋谷のど真ん中、タワーレコードの前の通りを60メートル、Xiborgがこれまで培ってきた世界中の速い選手のネットワークを使って日本に招待して、賞金レースをやりました。世界記録保持者も来ました。我々がサポートしている全米チャンピオンの選手もきました。これがめちゃくちゃ盛り上がったのです。ものすごい人が来た。義足のイメージが変わった人も多かったと思います。パラリンピックだからとか障害者だからとかじゃなく、面白い物を見せられると、人は惹かれるのです。

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大成功したイベントを、2018年にも開催しました。本気で走るレースは、前回は3人しか呼ばなかったところを、日本人も含めて9人のアスリートを招待して予選から行い、予選とレースの間に「義足の図書館」で走り始めた子供たちが、自己記録に挑戦するというアットホームなイベントもやりました。

テクノロジーと付き合うことで、幸せになっていく

日本では、障害者手帳を持っている人が障害者です。実はみんな歳をとって身体能力は衰えていきます。いずれかのタイミングで義足じゃなくても歩けなくなるタイミングが来る人もいる。身体能力は、実は白黒分かれているわけじゃなくてグラデーションになっていて、それは健常、障害、関係なく歳を取ると、どんどん衰えていくのです。みんな健常者のほうにいると思っていますが、もしかしたら1週間入院すると歩けなくなってしまうリスクもある。それは我々全員が持っているリスクで、障害とは関係ないものなのです。

そしてテクノロジーにできることは、障害の色合いを薄くすること、健常者の上にまた違う色合いをつけるという行為なんじゃないかと思っています。眼鏡をかけたら目が悪い人も社会的な活動ができるようになるのと同じように、グラデーションの黒いところから白いところに移動することが可能になる。これは特別なことではなく今でも起こっているし、これからどんどん増えていくと思っています。

なので、グラデーションを意識したら、障害とか健常という感覚すらなくなっていくのではないかと思います。これが僕たちが将来望んでいる社会のあり方です。いろんな人がいるけれど、テクノロジーと付き合うことによって、自分の社会的欲求を満たしていく、幸せになっていく。そんな社会になっていくといい。大きな風呂敷を広げた時に、言っていることなのですけれど。

僕の究極の目標は、最初に紹介した後輩が、日常的に使えるロボット義足を作って、彼に届けることです。それは、まだできていない。これは、エンジニアとしての最大のモチベーションのひとつです。

今日はご静聴、ありがとうございました。

(文:上阪徹)

プロフィール

遠藤謙/ 株式会社Xiborg代表取締役

慶應義塾大学修士課程修了後、渡米。マサチューセッツ工科大学メディアラボバイオメカトロニクスグループにて、人間の身体能力の解析や下腿義足の開発に従事。2012年博士取得。一方、マサチューセッツ工科大学D-labにて講師を勤め、途上国向けの義肢装具に関する講義を担当。現在、ソニーコンピュータサイエンス研究所アソシエイトリサーチャー。ロボット技術を用いた身体能力の拡張に関する研究に携わる。また、途上国向けの義肢装具の開発、普及を目的としたD-Legの代表、途上国向けものづくりビジネスのワークショップやコンテストを主催するSee-Dの代表も務める。2012年、MITが出版する科学雑誌Technology Reviewが選ぶ35才以下のイノベータ35人(TR35)に選出された。2014年ダボス会議ヤンググローバルリーダー。

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