No.14  竹内薫 / 読む講演会 クローズアップパートナーNo.14 竹内薫 /“読む講演会”クローズアップパートナー

人工知能の時代に、知っておくべきこと。No.14 サイエンス作家 竹内薫

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人工知能で翻訳ができるようになってきた

No.14  竹内薫

最近かなり人工知能が進んできたなと思うのは、画像を見て、文章をつけてくれることです。解説文ですね。これが面白い。例えば、オートバイが走っている。犬が芝生の上を走っている、など書いてくれる。でも、この画像。パックをめぐって2人のプレーヤーが戦っている、というのは違いますね。二人は戦ってない。後ろの人は、遠くにいます。ボケているから、距離が離れているので、二人は争っていない。完全に間違いではないが、間違っている。合っている場合もあるし、間違っちゃう場合もある。こういう段階でもあるんですが、画像を見たとき、そこで何が起こっているかということを、文章化できるというところに、人工知能は来ています。これを見て感じたのは、「あ、これ、もしかして私の仕事なくなる」ということでした。僕は作家で、自分でも書くわけですが、海外の科学書を翻訳する仕事もあるんです。自分で書くよりも収入的にも安定していたりするんですが、それがなくなっちゃうんだな、と思いました。雲の中から飛行機が飛んでいる、という英語があります。この文章が与えられたときに、逆生成もできるんですよ、実は今のAIは。画像化してくれる。それで、画像からも日本語に生成してくれる。

何を意味しているかというと、翻訳ができちゃったということなんです。英語があって、中間段階があって、日本語に、と。まだまだ未熟なんで、まだ僕の仕事はなくなりませんが、中間さえ忘れてしまうと、英語が日本語、日本語が英語に翻訳できるということです。でも昔から機械翻訳はあったじゃない、と言われるかもしれませんが、昔からの機械翻訳は、私のようなプロの作家は使ってないんです。何度も試しました。20年前にも試しました。10年前にも試しました。最近も試しましたが結局、ずっと開発されてきた翻訳のソフトは残念ながら、商業出版には使えないレベルなんです。いろんな理由があるんですが、おそらく真ん中の中間層がなかった。人間の翻訳家は、英語を僕がまず読みますよね。それを直接、直訳的に逐語訳はしてないんですよ。まず英語を見たら、自分の中でそれをイメージ化するわけです。絵である必要はなくて、もっと抽象的な概念かもしれない。音かも知れない。何らかの格好でイメージ化するんです。それから、日本語に落とすんです。それを翻訳家はやっている、その極めて原始的なバージョンが今、どうもAIがやり始めている、ということなんです。もうちょっと進化してきちゃうと、将棋と同じで、ハッと気が付くと、竹内薫訳という本が出なくなって、出版社はコスト削減のために、翻訳家に仕事を出さずに、おそらく自社の英語翻訳ソフトに出すでしょうね。新潮社AI部翻訳、みたいな、そういうことになる。科学翻訳というのはもう15年後にはもうおそらくやらないだろうな、というのが、これを見ればわかるわけです。

AIの開発をする人はどんどん必要になる

じゃあ人間はどうすればいいか。先ほどから言っている通り、人間は意識がある。自我がある。心を持っている。だから、コミュニケーションをやっていきましょう。そういう仕事はなくならない。そういう予測はあるわけですね。学校の先生とか、お医者さんとか、セラピストさんとか、コンサルタントの方はなくならない。会計士の方は失業すると言いましたが、全員が失業するわけではなくて、計算をやる必要はもうなくなりましたよ、という話です。計算はもう人工知能、計算ソフトに任せましょう。ただし、会社の経営って、そんなに単純なものではないわけです。例えば、どこかから資金を引っ張ってくるとか、いろんな話があって、厚生年金とか保険とか、そういうものをどうすればいいか。おかしなことをしようとすると、社員の方の不満が出てくるかもしれない。だから、社労士の方や会計士の方と相談するわけですよね。小さい会社であればあるほど必要です。コンサルタントとして、人間同士で腹を割って話し合う。これは失業しない。常に必要だから。

もうひとつは、おそらく計算科学力でしょう。例えば、僕はフリースクールをやっていますが、マインクラフトにハマっているお子さんがいます。算数の試験中、ボーッとしているわけですね。30分くらいでみんな終わっているのに、ぜんぜん終わらない。辛抱強く見ていたら、1時間半かかっている。なんだろうなぁ、と思ってハッと気づいたら、頭の中でマインクラフトをやっているんです。どういうことかというと、三次元の設計みたいなことを頭の中でずっとやっているわけです。先生が講義しているときに、その子がマインクラフトのことを考えていたら、少なくともその子にとっては、先生の授業よりかはマインクラフトのほうが面白いんです。それは意味があることなので。それはやっていてもいいかな、と思っています。ただ、あまりにやり過ぎた結果、漢字をぜんぜん覚えません、とかはまずいんで、基本スキルは必要ですけど。

これからは当然、計算科学力、例えばAIの開発をする人はどんどん増えていくじゃないですか。メンテナンスする人も必要です。各社でチーフデジタルオフィサーという職種が増えてきていると言われますが、こうなると、チーフテクノロジーオフィサーではなく、デジタルは全部その人が統括する。そういう職種が増えてくる。だとしたら、デジタルに秀でた人には、今からいい時代が来る。プログラマーの方も、普通にプログラムを書いていると、徐々に自動化されてくる部分も出てきます。AIも当然、プログラムを書くようになるわけです。そのときに、AIではできない部分がある。コンサルタントと同じで、プログラムも独創的なもの、クリエイティブなもの、自分がゼロから考えるものがすごく重要になる。これができるプログラマーにはいい時代が来るわけです。

英語でクラークというと、パターン化された事務作業をする人です。会計計算とかもこの事務に入ります。そういう仕事は全部、機械がやるので、消えていく。マネージャーは臨機応援にやる人です。全体を見ながら、人間コミュニケーションの問題も出てくるし、お客さんからのクレームもくるし、そういうものをクリエイティブに解決していく。それがマネージャーなので、これはどうしても必要です。消える職業は、単純な事務作業をやっている仕事。これはもういらなくなっちゃう。ほぼ明らかです。ここでちょっと、しばらく余興を楽しんでもらいます。超計算社会を生き抜くためには、クリエイティブにならないといけないということで、少し問題に挑んでもらおうと思います。

やってはいけないのは、昔ながらの暗記学習

今日、僕がみなさんに最初にお伝えしたかったことは、人工知能時代は来るということです。これは当たる予測に入っている。大変です。ただし、シンギュラリティみたいなものは、専門家は来ないと言っているので当分平気でしょう。それを前提とすると、人間というのは、人工知能にできないことをやるべきなんですね。だから、ひとつの手としては、人間コミュニケーションみたいな部分を磨いていくことです。もうひとつは、人工知能を制御する側に回ることです。プログラマーとして人工知能の開発、メンテナンス、そういうものに関わっていく。これが、生き残り策でしょう。

子どもの教育も同じです。ずっと数学とプログラミングみたいものに特化して伸ばしてあげるのか、人間コミュニケーションや芸術みたいなものを強くしていくのか。それが15年後に大きな力になってくる。やってはいけないのは、昔ながらの受験のための暗記学習です。暗記というのは基本的に、これさえ暗記しておけば試験に通る、一生安泰です、みたいな考え方です。それはもう崩れていきます。受験システムもどんどん変わってきています。すでに変わってきたのは、世界では探求型の学習がどんどん増えていることです。もう探求を続けるしかないんですね。

では、万が一、自分の仕事がなくなったらどうするか。次の仕事に移るわけです。そのためにはもう一回、勉強しないといけない。そのときも、ワンパターンの暗記ではないんです。自分で考えて、次の仕事に必要とされるものは何か、常に模索していく。探求していく。それが必要です。だから、小さい頃から探求のクセがついているお子さんは心配ありません。何が起きて、人工知能がどれくらいの職業を奪っても、常に探求していく子どもは新しい挑戦として楽しめると思います。大人もそうです。暗記のいい点はあります。スキルが効率よく身に付きます。暗記を否定はしませんが、いったん暗記した知識を自分で探求していくことによって、初めてそれが使える知識になるんです。組み合わせることが必要です。そして、最後に数学の問題。数学の問題で、クリエイティブな思考とは何かが、明らかになると思っています。与えられた公式でプログラムするのではなく、最初のところから自分で楽しんで、うまくプログラムとして完成させる。それは人工知能にはできないことです。それがまさに今後、生き残りをかけた技能として、必要なことなのでは、と思っています。

(文:上阪徹)

プロフィール

竹内薫/ サイエンス作家

情報番組のコメンテーターとして、広い知識と視野が評判の講師。
東京大学教養学部教養学科(専攻、科学史・科学哲学)・東京大学理学部物理学科卒業。マギル大学大学院博士課程修了(専攻、高エネルギー物理学理論)。大学院を修了後、サイエンスライターとして活動。物理学の解説書や科学評論を中心に100冊あまりの著作物を発刊。2006年には「99.9%は仮説~思い込みで判断しないための考え方」(光文社新書)を出版し、40万部を越えるベストセラーとなる。物理、数学、脳、宇宙、・・・など幅広い科学ジャンルで発信を続け執筆だけでなく、テレビ、ラジオ、講演など精力的に活動している。また大の猫好きでもあり、著作物の中に猫(シュレディンガーの猫)も度々登場する。講演では、具体的な数字や話題を解説しながら、今後社会や聴講者自身がどう歩んでゆくべきかという未来を提示する。その解説の分かりやすさから聴講者の理解度には定評があり、もっと勉強したい気持ちになるとモチベーションアップにも最適と評判が高い。

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