2019年05月13日

Vol.7

『弟子・藤井聡太の学び方』ー杉本 昌隆氏ー

思春期真っ只中の悩める中学生・高校生に、そして、その保護者の方、また、教育関係者に向けて、「講演会のプロが選ぶ!中学生・高校生にすすめたい本」をご紹介いたします。

第七回は、藤井聡太さんの師匠である杉本昌隆さんの著『弟子・藤井聡太の学び方』 (PHP研究所)です。

私たちは藤井聡太から何をどう学ぶか?

『弟子・藤井聡太の学び方』 (杉本昌隆)

本書は、「藤井さんはどんな学び方をし、強くなっていったのか。」そして、「杉本さんは、師匠としてどのように学びの環境を整えたのか。」さらには「藤井さんの母親はどんなふうに見守っていたのか。」等、「藤井さんとの出会い」や「師匠と弟子という関係性」から生まれた具体的なエピソードを交え、師匠の指導方針、考え方を示すとともに、師弟というかなり身近な立場で藤井さんを見てきたからこそわかるその才能について記述されています。

将棋が強くなるためには、「集中力」「想像力」「忍耐力」「思考力」を養うこと、さらには「闘争心」「冒険心」「自立心」「平常心」を身に付けること、「気持ちの切り替え」「発想転換」といった要素が必要だそうです。それらの要素は将棋にとどまらず、私たちが人生を豊かに生きていくためにも必要なことでもあります。将棋が強くなる要素と、人生を豊かに過ごすために必要な要素には共通する部分が多々あります。

では、私たちは杉本さん、藤井さんから何を、どう学ぶことができるでしょうか。いくつか中高生におすすめしたいところをご紹介します。

中学生・高校生にすすめたいポイント

「勝つ力」は好きと悔しさから

才能を十分に伸ばすには、「教育環境」とともに、「いかにそのものに情熱を持ち続けられるか」が大事です。

幼いころの藤井さんは対局で負けると将棋盤にしがみつき、大泣きしたそうです。そのたびに待機している母親の裕子さんが連れていくのですが、決して叱ることはありませんでした。藤井さんも負けたからそこでやめるのではなく、泣くことで悔しさを発散させて気分をリセットし、次の対局に臨みました。

この挫折→浄化→再起を何度も繰り返し経験したことが、藤井さんが短期間で強くなった秘訣の1つだと杉本さんは述べています。

また、藤井さんは将棋の好きさの程度が尋常ではないそうです。空き時間が少しでもあれば、スマホでプロの対局の中継を観たり、詰め将棋の本を読むなど、将棋が生活の一部といってもよいほどです。藤井さんの強さの根源はそこにあるのではと杉本さんは感じているそうです。

機会の少なさが集中力を鍛える

藤井さんは愛知県瀬戸市に暮らし、決して周りに強い対戦相手がいるわけではありません。有段者と対局するためには東京、大阪にある将棋会館に行かなければならず、決して恵まれた環境ではありませんでした。

では、なぜ藤井さんは強くなれたのでしょうか?

それは、「一局一局に対する思い入れが他の人たちよりあった」からではないかと杉本さんは考えています。機会が限られているからこそ、集中力が鍛えられ、濃密な時間を過ごすことができたのでしょう。

師匠の杉本さんも名古屋から大阪に通っていたそうで、「たとえ不利な環境であっても一局への臨み方次第で補える部分があるのではないか」と綴っています。

「聞く耳をもつこと」は大切だが、大人の言葉を鵜呑みにせず、自分で選ぶこと

「『こういう勉強をしてみたら・・・』、『こういう場面ではこうした方がいい』などアドバイスを受けることがあると思います。実際にやるかどうかはもちろん本人の判断です。大事なことは「聞く耳をもつこと」。聞いたうえで明らかに必要がないと思えば、実行する必要はありません。ただそういう考えがあるということは理解しておくことが必要。一番怖いのは、聞いて何も考えずに受け入れてしまうこと。その意見が正しいのか、正しくないのか。自分に合っているのか、合っていないのか。従うかどうかといったある種の信念を持つことが大事だ」と杉本さんは述べています。

講演のプロから伝えたいこと

【中高生の皆さんに】いろいろ思い悩む経験が後の財産となる

藤井聡太さんのように10代で自分が情熱を注げられる何かを見つけ、才能を発揮するというところまで到達することはとても難しいことです。中高生のみなさんにはぜひ、自分が面白いこと、ワクワクすることを見つけてどんどん挑戦していってほしいと思います。 たとえ、今挑戦していることで失敗したり、挫折したりしたとしても決して無駄なことではなくて、この先どこか思わぬところで生きてくるはずです。 大事なことは自分自身で悩み、考え、挑戦してみるということです。これを繰り返していくうちに、自分自身への理解が深まってくるのではないでしょうか。

【保護者の方たちに】子どもの自主性を尊重し、温かく見守ってあげることが大事です。

子どものやりたいことに対しては、自主性を尊重し、とことん邪魔しないことが大事であるということが本書を通して伝わってきます。師匠の杉本さんだけでなく、藤井さんのお母様もそのようなスタンスだったそうです。

藤井さんがここまで活躍できているのは藤井さんの才能、努力はもちろんのことですが、良い環境をつくっていることが大きいです。子どもに成功体験を積んでもらうことも大事ではありますが、力を伸ばすには「悔しい環境」「本気になれる環境」を用意してあげることも非常に大事です。

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