2019年03月26日

Vol.17

朝倉祐介著『ファイナンス思考 日本企業を蝕む病と、再生の戦略論』(ダイヤモンド社)

講演依頼.com営業部の土橋です。

「話題のビジネス本」第十七回目は、朝倉祐介さん著『ファイナンス思考 日本企業を蝕む病と、再生の戦略論』をご紹介します。

朝倉祐介著『ファイナンス思考 日本企業を蝕む病と、再生の戦略論』(ダイヤモンド社)

Facebookの日本上陸により、かつて日本におけるSNSの代名詞ミクシィは大きな打撃を受けました。2013年、上場以来初の赤字転落期にミクシィの経営を任された朝倉さん。その後事業再生に従事し、劇的な業績回復を牽引しました。今回はそんな朝倉さんの近著をご紹介致します。

「売上を増やせ。利益は減らすな」
「減益になりそうなので、マーケティングコストを削ろう」
「うちは無借金なので健全経営です」
「黒字だから問題ない」

こういった発想が日本を失われた20年、30年にする大きな要因だと筆者は指摘します。

なぜ日本には、アマゾンのような大きく成長する企業が生まれないのか、なぜ勤勉で真面目なはずの日本人が停滞企業を作ってしまうのか。それはバブル期以前の過去の成功体験に縛られた考え方(PL脳)から抜け出せていないからです。

PL脳とは、目先の売上や利益を最大化することを目的視する、短絡的な思考態度のことと説明します。

売上・利益を引き上げることこそが経営の目的という主張は一見するとそれらしく思えます。ただし、その考えに固執することで大きなリスクをとって未来のために投資する姿勢を欠き、どんどん時代の変化に取り残されていっている、といった状態が今の日本企業。

ミクシィの回復は、PL脳から脱却し、ファイナンス思考へと転換しないことにはあり得ませんでした。ファイナンス思考は、GAFAを始めとする今の世界をリードする企業のスタンダードな思考方法となっています。

では、ファイナンス思考とはどういうものなのでしょうか?

それは、会社の企業価値を最大化するために、
A)事業に必要なお金を外部から最適なバランスと条件で調達し、
B)既存の事業・資産から最大限にお金を創出し、
C)築いた資産を事業構築のための新規投資や株主・債権者への還元に最適に分配し、
D)その経緯の合理性と意思をステークホルダーに説明する
という一連の活動です。

この考え方で成功した企業として、下記の具体例も本書にまとめられています。

アマゾン…赤字、無配続きでも積極投資を可能にしたIR
リクルート…得意分野に特化し、M&Aで海外市場を開拓
JT…ジリ貧の危機感から、グローバル化へ一直線
関西ペイント…資本力と地道なIRで、自動車1本打法から脱却
コニカミノルタ…背伸びせず、事業ポートフォリオ経営を徹底
日立製作所…「ラストマン」の下、不退転の構造改革を断行

学術的な側面と経営者としての実績の両面があるからこそ、非常に説得力のある内容です。企業の経営層にはもちろんのこと、これから予測不可能な時代を生き抜くビジネスパーソン全般の必読書といえるお薦めの一冊です。

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