2015年10月01日

女性の初心者向けスクールを作りたかった

――青柳さんが資産運用の専門家になったきっかけって、何だったんですか?

 私は24歳から株式投資を始めましたが、実は最初に大失敗をしちゃったんです。100万円以上、損をしてしまいまして、20代の100万円って、大きいですよね。もちろん今も100万円は大きいですが、これが本当にショックで、大学は経済学部を出ていましたし、当時すでにファイナンシャルプランナーの資格を持っていましたから、お金にはちょっと自信があったんです。だから、あまり勉強することなく、独学でなんとかできるだろう、と株を始めてしまいました。

 最初はうまくいきました。ところが途中で管理ができなくなってしまい、最終的に大損をしてしまって、これが本当に悔しかったんです。負けず嫌いですから、ちゃんと勉強して取り戻そうと思いました。適当にやったから、いけなかったんだと思いました。

――それで、株式投資や資産運用の勉強をされるんですね。

 はい。どうすれば大損をするようなリスクをとらずに資産が増やせるか、もう猛勉強して、ずっと研究していきました。それで30代になって、ようやく安定して利回りが出せるようになっていきました。年間だいたい20%くらいの利回りです。私自身の経験も含めて、勉強してきたことをいろんな人に伝えていったらどうだろう、と思ったんですね。

――初心者向けの資産運用スクールを開かれたのは、どういう理由からだったのでしょうか?

 自分が経験した投資のやり方を、最初は個別相談という形で、ファイナンシャルプランナーとして、お客さまの相談に乗りながら一人ひとりに伝えていたんです。でも、すでに投資で損をしたりして、悩みを持たれているお客さまが多かったのです。そもそも損をしてしまった状態だと、取り戻すのが大変なんです。悩みを持たれていても、その解決ができないわけではありませんが、もっと前の段階、損を出したりして悩みを持つ前に来てもらえたほうが、解決策はやっぱり優しくなるんです。

「もっと早く来てもらえていたら」「何か問題が発生する前に来てもらえていたら」という人が多かった。しかも、30歳くらいになると、みなさん資産設計について漠然とした不安を持つようになるんです。そのときに事前準備として学びができたり、相談ができたりする環境を作りたいと思って、初心者向けの投資スクールを始めたんです。

――今は700人以上の生徒さんがいらっしゃるそうですね。しかも、女性ばかり、という。

 女性の初心者向けのスクールを作りたかったんですよね。女性向けの投資スクールって、おそらく今も他にないと思います。投資スクールはたくさんあって、特に男性向けということにしているわけではないと思うんですが、投資というものに女性が苦手意識がある分、他の投資スクールを見ても、生徒さんは男性が多いんです。しかも40代以上の中高年が多い、会場に行ったら、わーっと男性ばかりなんです。

――なるほど、それでは女性は行きにくいし、だから女性向けにしたかったのですね。

 ただ、そんな状況が一般的ですから、女性からすると投資スクールに馴染みがないわけです。ですから、立ち上げ当初は本当に大変でした。女性向けスクールといっても、最初は男性が多かった。また、人数も集められなくて、一回の講義に5人しか集まらない、なんてこともありました。ところが、今はありがたいことにインターネットが普及していますから、いろいろ紹介してもらったり、SNSの口コミで広がったりして、どんどん生徒さんが拡大していきました。卒業していった人が家族を連れて来てくださったり、会社の同僚を連れて来てくださったり、なんてこともありました。

――今は世界中に生徒さんがいらっしゃるとか。

 インターネットを活用できる環境がどんどん拡大していきましたから、とりわけ動画を世界に配信できるということが大きかったです。今は世界中に投資が学べる動画を配信しています。それで、世界中に生徒さんがいらっしゃるようになったんです。海を越えて、便利な時代になったことで、スクールが広がっていくことができたのだと思っています。

投資にまとまったお金は必要ない。月々少しずつから

――すごく基本的なことを聞いてしまいますが、貯蓄をうまくやる方法というのは、あるのでしょうか?

 私が勧めているのは、収入の20%を貯蓄することです。これだけ、と決めてしまうことなんですね。

 そうアドバイスすると、結婚されている方や、お子さんがいらっしゃる方は、貯めないといけないという意識があるので、ちゃんと貯まっていくんです。ところが、独身の方が難しいです。お金を使うということに、あまり意識が向かない方が多いので、どんどん使ってしまう。実は独身こそ、20%の貯蓄が大切なんです。というのも、貯めやすいのは独身時代だからです。独身時代から20%、さらにはそれ以上、貯めておいて、結婚して子どもができてお金がたくさん必要になる頃に備えておくというのが、とてもいい形だと思います。

――そもそも、どうして貯蓄をしておかないといけないんでしょうか?

 やはり老後のための備えが一番大きいですね。昔と大きく違うのは、今は退職金がもらえる人が少ないということです。また、年金も昔ほどもらえません。そうなれば、自分で準備するしかないです。

 このときに知っておかないといけないのは、退職間際になって、今からなんとかしよう、というのはかなり難しくなるということです。大きなリスクに挑まないといけなくなります。だから、早く始めることが大切なんです。事前の対策をしておけるかどうかで、将来の安心を作れるかどうかが大きく変わってくるんです。

――貯蓄と投資のバランス、というのは、どうなんでしょうか。
どうなったら投資を始めていいとかあるんでしょうか?

 収入の20%を貯めるというのは、将来のために取って置くお金が20%という定義です。ですから、実はここには貯蓄も投資も含まれています。貯蓄のお金と投資のお金を合わせて20%です。20%の中で、貯蓄も投資もするんです。今は貯蓄をしても、金利がまったくつきませんから、ただ現金を置いておくともったいない、という状況が生まれてしまいます。そこで私がアドバイスしているのは、生活費の6カ月分の貯蓄ができたら、それ以上の貯める分は投資に回す、という方法です。

毎月2万円でも、30年で約3000万円が作れる

――なるほど、まずは生活費の6カ月分の貯蓄を作れば、あとは投資に挑んでいいのですね。

 はい。ある程度の貯金ができたら、毎月の20%を投資に回していくイメージです。ただ、いきなり全額を投資に回さなくてもいいです。

 例えば毎月3万円ずつ貯金している方なら、最初は3万円のうち2万円を貯蓄に回し、1万円を投資に回す。少し投資に慣れてきたら、3万円のうち1万5000円を貯蓄に回し、残り1万5000円を投資に回す。こんなふうに徐々に投資の割合を上げていくのがいいと思います。

――投資というと、まとまったお金が必要なイメージがあります。

 よくある誤解なんですが、投資するときに、まとまったお金がなければいけない、なんてことはないんです。

 実際、私がお勧めしているのは、毎月2万円、3万円をコツコツと投資していく積み立て投資です。そんなわずかな金額で、と思われるかもしれませんが、もし10%の複利運用ができれば、毎月2万円でも30年で約3000万円になるんです。そうすると、退職金がわりといいますか、老後のための蓄えにできるわけですね。月2万円でできるんです。ポイントになるのは、時間を味方につけることです。もし30年を20年にしようとしたら、毎月の金額はもっと大きくしないといけない。また、複利運用の効果は、時間が長ければ長いほど大きくなりますから、その意味でもできるだけ長期で投資していく意識が欲しいんです。

――毎月コツコツ投資していく、なんて方法があるんですか?

 はい。月々の積み立て投資は、それこそ500円からできるんですよ。500円貯金と変わらない気軽さで始められるんです。投資というと、100万円、200万円というまとまったお金が必要なのではないか、というイメージを持っている人は少なくありませんが、いらないです。

 仮にあったとしても、いきなり100万円を一気に初心者が投資をするのは、リスクが高すぎます。だから、どんなに投資するお金があっても、まずは月々1万円くらいから始めてください、と私はアドバイスしています。そうすることでリスクを避けられますし、不安も抑えられる。投資はやっぱり残高がマイナスになることもありますから、そのときの不安を減らしていくには、まずは小さく始めて慣れていくことが大事なんです。まずは月1万円、2万円から始めて、徐々に額を増やしていきます。そうすると月に10万円くらいに挑める人も出てきます。もし月10万円を10%の複利で積み立てたら、30年で約1億円になるんです。大事なことは、早く始めること。今すぐにでもスタートすることです。

投資信託には、選び方のポイントが5つある

――初心者は、何から始めればいいのでしょうか?

 はい。一番いいのは、投資信託の運用から始めることだと思っています。投資には、株式、債券、不動産など、さまざまありますが、それぞれメリット、デメリットがあって、どれが一番いいというのはないんですね。投資で何より一番危ないのは、一点買いです。ひとつにリスクが集中してしまうことです。その点で、投資信託がいいのは、リスクが分散されていることなんです。しかも、いろんな種類のものに投資ができます。

 株式でも、海外のアメリカ、インド、アジアの株式を組み込んだ投資信託もありますし、アメリカの不動産を組み込んだものもある。投資信託の仕組みを使うことで、世界中で地域を分散したり、投資対象を分散したりすることができるんです。もうひとつは少額から始められることです。積み立てからでも始められる のが特徴です。

――たくさん種類がありますよね。投資信託を上手に選ぶ方法はあるんでしょうか?

 投資信託を選ぶ判断基準があります。多くの人は、ここを学ばずに選んでしまうから失敗するんですね。まさにこれが、私がスクールで教えたり、講演でお話していることです。ポイントが5つほどありまして、これさえ押さえておけば、長期的に見て利益を出しやすい投資信託を選ぶことができます。

 ちゃんと学んでいただければ、だいたいの人はできます。私のスクールの生徒さんでも、一年くらいきちんと学んで実践すると、年間10%くらいの利回りを投資信託で出せています。運や勘で選ぶんじゃないんです。理論的なルールにのっとる。そうすれば、みなさん選ぶことができますよ。 

――一生涯、収入が得られるマネープランがあると聞いたのですが、それはどのようなものですか?

 いわゆる不労所得ですね。わかりやすいところでいえば、不動産収入。不動産を得て、そこから賃貸収入などを得るものです。そしてもうひとつが、運用利益です。資産の運用ができるようになれば、運用利益を生み出すことで一生涯、収入を得ることもできます。

 例えば毎月2万円、30年かけて年10%の利回りでコツコツ作った3000万円の資産が60歳時点であるとしましょう。これを元手にして10%の利回り運用をすると利益が年300万円入ることになります。これを生活費にあてます。100万円ほどの年金と合わせれば、働かずに年間400万円の収入になります。

 しかも、300万円は運用利益ですから、元手の3000万円は基本的にそのままです。翌年もそのまた翌年も、これを元手に300万円を手にできる。もちろん、毎年10%の運用益は難しいかもしれない。8%の年もあるかもしれません。でも一方で、12%の年もあるかもしれない。いずれにしても、3000万円をただ引き出して食いつぶしていくよりは、長く資産を保てるし、収入も得られるわけです。

少しずつ、をコツコツ継続することが成功のコツ

――これから資産活用をする上で、大切なこととは、どのようなことでしょうか?

 やっぱり、きちんと成功している人のやり方を謙虚に学ぶことが必要だと思います。そして過信しないことですね。日本人は投資に対して積極的ではありませんが、誰かが投資で儲かった、株で儲かった、と聞くと、急に信じて、ほとんど勉強せずに手を出してしまって痛い思いをしたりすることがあるんです。そうではなくて、きちんと勉強して、お金のふやし方を学んで、自分に合った運用の仕方をきちんと採り入れていくことが大切です。

 あとは冷静でいることが、大事です。投資をしていくと長期的には必ずマイナス局面があります。ずっとプラスというのは、プロでもありえません。だから、マイナスのときにパニックにならずに冷静でいられるか。それが、長期的に資産を築けるかどうかのポイントだと思います。大事なことは、コツコツ長期で続けることです。これまでの経験から、資産を築ける人は、少ない利益でもコツコツと長期で続けられる人だと感じています。最初は恐る恐る始めたのに、利益が出てくると急に高いリスクを取り出す人がいます。儲かるならと、どんどんエスカレートしていく。そうではなくて、ミドルリスク、ミドルリターンを継続していくことです。私は10%くらいを目指すのがいいと言っていますが、これをコツコツ継続することが資産形成の成功のポイントだと思っています。

――本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。

取材:一瀬裕司 /文:上阪徹 /写真:鈴木勝彦 /編集:竜田直樹
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