2006年03月08日

人生を楽しく生きるための健康法

-東海林さんはリポーターとして数々の事件現場や芸能人の結婚式、
お葬式を訪れていますが、リポーターという仕事について少し教えて頂けますか?

 そうですね、リポーターという職業を理解してもらうのは、なかなか難しいですね。ニュースだと皆さん納得をされるのですが、ワイドショーは批判されることも多い。何でそこまでやるのか、なぜ悲しんでいる人の所に行くのか、失礼だとか、ね。でもキャスターは現場に行かない。現場に行く人は、リポーターなんですね。私は現場を見ることが凄く大事だと思っているので、私はこれからもあえてリポーターです。と皆さんには名乗ろうと思っています。

それに、ワイドショーは目線が一般の方と近いところがあります。だから、ニュースでは伝えきれない部分をお伝えすることが出来ると思うのです。日々起こっている様々な事件、実は私は身近に起きた事件の方を取材することが多かったですね。犯罪など、身近なものだからこそ、あったことだけを伝えるのではなくて、警告したい、という気持ちが胸にありました。現実の社会を分かって欲しいと…。

-現実の社会ですか・・・そんな取材を重ねる中で、東海林さんが感じられてきたことは何ですか?

そうですね、今まであらゆる取材を重ねてきましたが、世の中には色々な境遇を持つ人がいて、それぞれがまた違う生活をしていて、様々な人間が社会を構成しているのだという事をつくづく感じました。だから、想像を越えた事件も起こるのだと。

結婚式などの明るいネタはいいのですが、少年犯罪だとか、恨みや怨恨などで起きる事件などは物凄く神経を使いました。ただそんな仕事を重ねていく中で、私は人に対して優しくなったんですよ。いろんな人を理解してあげよう、一人一人が持つ物を凄く大切に受け止めようとしてね。1人の少年が事件を起こしたときに、取材の中でその子の境遇や人生が分かるじゃないですか。そんな時、事件の凄惨さで断罪する前に他に責めるべき部分も見えたりして。周りにいる大人達に対してとかね。リポーターは無理矢理突撃していくイメージがおありかと思いますが、私は相手の気持ちを大切にしようと思って、取材に神経を使いました。

-やはり暗い事件の現場に行く時は、自分の気もしっかり持たないと引きてづられてしまいますよね。

そうですね。でも私は家族に助けられていた部分も多々あったと思います。子供がいることで気持ちの切り替えができました。独身で事件を取材していたら、相当滅入ってしまうと思いますが、家に帰ると全然別世界ですからね。勿論、子育てに追われていた時は、ご飯を座って食べられないぐらい忙しくて台所で済ませてしまったり、その時は大変だったのですが、過ぎてみれば忘れてしまうものですね。子供が健康だったこともだいぶ救いだったのかもしれません。そして、主人には随分助けられました。

-ご主人はどのような方ですか?

東海林のり子まだ男女共同参画という言葉も出てこなかった時代でしたが、私が突然の取材で1週間あける時などは、子供にお弁当を作ってくれたりして、いろいろと助けてくれました。

実は、子供がまだ小さい時に、「子供もいるし大変なのに、ずっと仕事を続けていくつもりなのか?」と聞かれたことがあったんです。その言葉のおかげで、自分の仕事を見つめることが出来たのですが、凄く考えた結果、やはりやめる事は出来ない、という結論になった時、夫がまた言ってくれたんです。
「分かった。だったら協力する。そのかわり日本一のリポーターになれ。」ってね。
今考えれば、少々オーバーな言い方かもしれませんが、そう言われたら、家に帰ってきた時、「疲れた」なんて言えなくなったんですよ。主人の給料だけでやって行ける訳だから「やめてもいいんだよ。」と言われていましたので、疲れたって言ったら、すぐやめてくださいって言われてしまうでしょ。それが良かったのかもしれません。

それで前向きに仕事に取り組んでいると、そこで出会った人や考えさせられたこと等が、最終的には自分の為になったということが幾つもあるんです。勿論現場は緊張もしますけど、そういう意味では家族の力も借りながら、心の切り替えが出来ていましたね。

-ご家族の協力は大きいですね。ご主人の器の大きさもすごく伝わりました。では、仕事のストレスというのは溜まることはありませんでしたか?

あまり溜まらないですね。フリーになって1人で仕事をするようになって尚更。忙しくても全部自分の責任で取ってきた仕事だから、文句は誰にも言えません。他人が何かをしてくれるはずだ、という風に思うからストレスって生まれると思うんですよ。他人に楽しませてもらおうって思ったら間違いだし、自分で楽しんでしまえばいいと思うんですよね。自分の人生は他人が責任を持ってくれるものではないのに、うまく行かないことを他人のせいにしたり、自分の境遇のせいにしたりするのは駄目だと思います。1人でも楽しい事はいくらでもあるんですよ。全ては自分次第ではないでしょうか。強いですね、ってよく言われるんです。その位でいいのかな、と最近は思います。

-. 東海林さんは71歳に見えないぐらい元気ではつらつとされていますが、健康などで気をつけていらっしゃることはありますか?

東海林のり子これはとっておきの方法ですが、「私は凄く健康なんです。」と言うようにしています。特にフリーになってからは、風邪を引いて誰かに代わってもらうことができないので、健康なのが一番のプロモーションになるんです。たとえ頭が痛かったとしても、演技でも良いから元気だという演出をしていると、本当にだんだん元気になってくるから不思議です(笑)。

不幸などもそうですが、「何でこんなに私ばかりが大変な思いをしなければならないの。」と言ってばかりいる人は、いつまでたってもそこから逃げられないと思いませんか?でもまあ、本当のところ、自分で「健康です。」と言っていると、元気な自分を見せなければならないので、倒れられなくなるんですよね(笑)。

それでもみんなのイメージの中で、「あの人はいつも元気で羨ましい」となると、素晴らしいですね。その羨ましさは、結果的に幸せそうに見えてくる。幸せってお金の問題ではないんです。そういうところに仕事も舞い込んでくるし、人も集まってくる。だからね、心を元気にしていることが一番だと思います。

-心を元気にするために何か東海林さんが実践されている方法はありますか?

何でも良いと思いますが、私は音楽やお芝居を見に行きます。ちょっと疲れてきたなって時に、そういうものを見に行くんです。お芝居は、舞台の上で体をフルに使っていて、底知れないパワーを感じるし、音楽のバンドなんかも若い子達が汗だくになって、ステージを降りたら抜け殻になるほど一生懸命だったりする。何か物を書いている人でも何でもいいと思うのですが、一生懸命やっている人のそばに行くことが、一番だと思います。そういうのを見ていると、自分ってまだまだだなぁ、って実感するんですよね。まだ自分一生懸命やってないな、まだまだだなって思うと、急に楽になるじゃないですか。限界だと思っていた部分が一気に広がってくれる気がして。もっと頑張れるはずだ、ってね。

-確かに誰かの一生懸命頑張っている姿を見ると、元気をもらって、自分も頑張らなきゃ、と前向きに思えたりしますね。

そうなんです。それに最近小さいことでも嬉しいことがあったら、うんと喜んでしまおう、と思っているんです。例えば、外に出たら空が真っ青に晴れていたら、「なんて良い天気なんだろう、<ラッキー>。」そう思う。あとは一生懸命育てている花が小さなつぼみを付けたら、<ラッキー>ってね。当たり前だとか、偶然だからって思うと見過ごしてしまうことも多いですが、そういった小さなラッキーを積み重ねていくと幸せになれるんじゃないかな、と思います。そうすると、嬉しいことが一日のうちに一杯感じられるんです。

そして<ラッキー>と感じた時には、いつも同時にありがとう、と言うようにしています。宗教だとかそういうものではないんですが、何かラッキーが起きた時には、自分の力だけではなく、誰かが守ってくれているように思えるんです。だから素直に感謝する。そういう気持ちになる。そんな積み重ねが人生を豊かにしてくれると、私は実感しています。

-そういう生き方、素敵ですね。最後になりますが、今後東海林さんが挑戦したいことはありますか?

東海林のり子 そうですね、私の場合、毎日が挑戦かもしれません。実は、【東海林のり子のイエスの法則】というのを実行しているんです。仕事を頼まれるうちは自分を必要としてくれる人がいるわけですから、幸せですよね。だから、スケジュールを見て空いている時にお仕事を頼まれたら、絶対受けるという決まりを自分の中で持っているんです。だからと言って変に縛られているという意識はないんですが、「NO」と言ったらその先は始まらないですよね。だから、たとえ今までやったことがないものでも、もし頼まれたらまずは挑戦しようと思っているんです。そうやって今までやって来て、後悔したことは一度もないんです。

というのも、今までは現場取材がほとんどだったので、今のようにお約束をして講演をすることが出来なかったんです。何かが起こったら、1週間拘束などで現場に行かなければならなかったので。それが出来る今は、現場取材に追われていた時とはまた違う役割を自分がしているような気がしています。テレビのように伝えるだけではない何かを。

ある時講演後に手紙をもらったんです。その手紙にはこう書かれていました。
「がんの手術後で前向きになれない自分がいましたが、また頑張れる気がします。」と。
その時に思ったんです。日々頼まれたことは精一杯やりたいな、と。

そして、やはりどんどん年を重ねていきますから、今まで一緒に生きてきてくれた主人と高価な旅をしてみたいですね。主人が新聞を見ている時に言うんですよ。「ここに行ってみたいね。」って、北海道の列車の旅とか。「いつかね。」って言うんですけど、まだ実現していないので、いずれは一緒に行ってあげたい、と思います。それが今思いつく挑戦したいことでしょうか。

-北海道の列車の旅、素敵ですね。それに東海林さんの仕事に対する真剣さがとても伝わりました。気持ち良く仕事をして、気持ち良く生きる。幸せに生きるコツは身近なところにあるんですね。 素晴らしいお話をありがとうございました。

文・写真 :鈴木ちづる   (2006年3月8日 株式会社ペルソン 無断転載禁止)