小泉里子(こいずみ・さとこ)
ファッションモデル、タレント
- ― 「Cancam」、「Oggi」、「Domani」と、女性ファッション誌の本流を常にトップモデルとして走り続けていらっしゃる小泉里子さん。そもそも、モデルを始められたことが自身の美と向き合うきっかけになったのでしょうか。
- 小泉 モデル事務所に入ったのは15歳でしたから、その当時は分からないことだらけでしたね。最初は水着のキャンペーンで、その後「Cancam」に出させてもらえるようになったんです。学業とモデルの仕事を両立させていた頃は、こう言っては失礼ですが、まだモデルの仕事はアルバイト的な感覚で、ただ楽しいことの延長線上にありました。高校を卒業して、意識が変わりました。「これは私がやっていきたい道」であり、そのためには自分をどうプロデュースしていくかを考えなくてはならないと思い始めたんです。モデルが洋服を着こなすのは当たり前。今はそれ以上に「生き方のモデル」としてモデルを見ている人たちも多い。だから想像力をもって、ほんわかした女性、強い女性、一途な女性… いろんな女性像を演じられないといけないと。実際にOLではないけど、OLの方たちに共感してもらわないといけないわけですからね。
- ― なるほど。その気持ちが多様な表情を生むわけですね。演じ分けるためにはベーシックな「美しく見られる自分」が必要だと思うのですが、それを日々、どんなふうにキープしていらっしゃるのでしょうか。
- 小泉 まず朝起きたら、全部の窓を明けます。朝の太陽の光を入れ、空気を入れ替える。イヌを飼い始めてからますます早起きになりました。そうすると、午前中がとても有意義に過ごせます。そのことで「私って有意義に過ごしてていい感じ」と思えるでしょう(笑)。朝ごはんを食べ、掃除が大好きなので掃除をして。そうやって当たり前の時間にできることをして、夜、ゆっくりお風呂に入って眠る。お風呂には時間をかけます。半身浴を30分、お酒を入れたり、ハーブを入れたりして。ハーブはブレンドしたものを1時間煮立てて、そのカスは捨てて、煮詰めたものだけをお風呂に入れるというのがお気に入りです。煮立てている間、部屋のなかにハーブの匂いがたち込めのがまた浄化されていいんですよ。だけど、その煮詰めたハーブはバスタブに色がしっかりつくので、すぐ掃除しなくちゃいけないんですけど(笑)。そういう当たり前の習慣をひとつずつ時間をかけてやるのが安定につながっているような気がしますね。精神面ではもともと強いところがあって、仕事とプライベートを苦労なくぱっと切り替えられるんですよ。だから仕事で落ち込んだことがあったとしても、自分を自然に保って来られたように思います。それと私生活をきちんと過ごしているのが一番ですね。実はそこが一番「見た目の安定」に影響しているのかもしれません。
- ― そういう安定した生活ができるようになったのは結婚されたという影響も大きいのでしょうか。
- 小泉 25歳で結婚した当初は「家庭も大事ですけど、どんどん仕事もしますよ」というスタンスだったんですよ。その一年後、Oggiの仕事が終わったこともあり、それまで本当にがむしゃらに仕事をしていて、洗濯する時間もないようなときもありましたが、そこで一度じっくり考えたんです。落ち着いて生活をして、落ち着いて仕事をしてという時間が初めてやってきた。そこが考える2年間になりました。「モデル小泉里子」ではなく「一人の女性である小泉里子」になりたいと思ったんですね。私の友人には少し年上の女性が多いのですが、ちょうどその頃「30代に向けて」という会話が増えていて、私も「20代で学んだことを30代で生かす」ということを考え始めたんです。その頃出会ったのが紅茶とテーブル・コーディネートでした。
- ― それはどなたかに師事されたのですか。
- 小泉 いいえ、私は基礎は必要だけれど、その後は自由にできるのが好きなんですね。「こうしなさい」と言われるのはダメなので、本を読んだりして勉強しました。きっかけは義母がお茶の先生だったというのもありました。煎茶にはあまり興味がわかなかったのですが、紅茶とティーカップにはとても興味をもちました。そうするとカトラリーは、リネンは… と、テーブル・コーディネート全体に興味が広がっていったんです。もともとインテリアに関することは大好きだったんです。家の図面を見ながら家具の配置を決めるとか、そういうことも大好き。インテリア本も熱中して見ているから、夕方になって部屋が暗くなってもわからないくらいで。テーブル・コーディネートは資格というものもないし、自分でどんどんアレンジできるのが楽しいですね。最初は趣味のつもりだったのですが、だんだん人に見せたくなってきて、今はそういうお仕事ももらえたりしてとても楽しいです。
- ― 2年間の間にはほかにどんなことをされていましたか。
- 小泉 私は海外旅行が大好きで。行ってみて車を走らせて、たまたま出会ったりするというような旅なんです。アメリカの田舎に行ったときも、ディナー皿8枚とティーセットとカトラリーと… 全部で6ドルでいいよ、というアンティークに出会ってしまいました。さすがにお皿はもって帰れなくて、友達の家に預けて来ましたが。ロンドンに行ったときもアンティークの食器に感激しました。値段ではなくてそれを使った人たちの思いが大切だと思うんです。「大切に使ってね」と言われると、とてもうれしい。心が洗われるような感じがします。そうやって出会った食器がまたテーブル・コーディネートにも生きてくれるんです。そんなことをしていた2年間でした。
- ― それはとても有意義でしたね。小泉さんの気持ちに何か大きな変化は起きましたか。
- 小泉 考えにしろ持ち物にしろ、いい感じでそぎ落とされた気がします。そこで残ったものが自分なのかなと。それから大きく変わった気がするのは「人に伝える」という面白さがわかった気がするんです。それまでの私は他人に相談するということをほとんどしなくて、なんでも自分で解決して突き進んできました。よくしゃべる友達を見ていて「なんでそんなにしゃべりたいのかなあ」なんて思っていたんですよ。でも伝えることによって、自分でわかることもあるし、得るものが多いということがわかってきました。私がずーっと変わらないのは「自分という人間を知ること」への興味なのかもしれません。自分を理解するって本当にむずかしいし、他人のほうがよくわかってくれていたりするでしょう。自分を知り、そんな自分をどう扱っていくか。それをわかった上で生き方を選んでいる女性は美しいと思いますね。そうなりたいものです。
美の逸品
「大きな仕事の前など、この二つ「美肌黄土」と「Sweet honey pack」を混ぜてパックするのが習慣です。私は人に勧められた美容はとりあえず試してみたいと思うタイプなのですが、基礎化粧品も人に韓国のものを勧められてからずっとお気に入りなんです。特にこのパックは4~5年愛用しています。ご飯をつくりながらこのパックをつけていて「おかえり」なんて振り向いて、夫を驚かせてしまうことも(笑)
小泉里子(こいずみ・さとこ)こいずみさとこ
ファッションモデル、タレント
1981年生まれ。神奈川県出身。『CanCam』(小学館)専属モデルを経て、2004 07『Oggi』(小学館)の表紙キャラクターを務める。現在は『Domani』(小学館)などにレギュラー出演するほか…
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