No.17 遠藤謙 / 読む講演会 クローズアップパートナーNo.17 遠藤謙 /“読む講演会”クローズアップパートナー

究極の目標は、日常的に使えるロボット義足を作ること No.17 株式会社Xiborg代表取締役 遠藤謙

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義足はまだまだ未熟なテクノロジー

MITでヒュー・ハー先生はロボット技術を使って義足を作っていました。足首の部分にロボットの技術を導入し、歩く姿を自然にしようという研究です。

当時のミッションは、まずは歩行を正常化することでした。義足は、歩いているように見えて、けっこう大変なのです。我々で言うと、ジョギングしているくらいの疲れ方になる。歩いているだけで、です。例えばヒュー・ハー先生とランチを食べに、100メートルくらい歩いてレストランに行く。普通の速度で歩いているように見えても、彼はそれに追いつくために小走りのような感覚で歩いているのです。だから着いたときにはもう彼は汗だく。義足を使っていると、目立たないところで無理をしている…義足はまだまだ未熟なテクノロジーであり、人間側が頑張ってそれを隠しているのが当時の現場でした。

なので、楽に歩けるようにしようというのがプロジェクトのひとつでした。これを博士過程で終え、日本に帰ってきました。

障害、切断患者さんの障害について、個人的にどう思っているか、ここでちょっとご紹介しておきたいと思います。五体満足と言う言葉がありますが、これをひっくり返してみるどうなるか。要するに、五体なければ不満足ということですよね。でも、例えばヒュー・ハー先生は、膝下がない。物理的にないのです。この時点で、日本でいうと障害者に認定され、障害者手帳が与えられる。

日本では、障害者と健常者がきっぱり分かれています。手帳を持っている人が障害者です。なので、彼は障害者にあたる。そういう人物がどういうものを使うかというと、義足か、車椅子か、後は松葉杖みたいなものか。いろいろオプションがある中で、義足は歩行ができるわけです。最も自然に近い形で歩行ができる。まずはここを目指すために義足を使う人が多いのです。

義足がメガネのような存在になりうるか

ただ、もし見た目的にも機能的にも人間の足のような義足があるとしたら、その人は障害者と言えるかどうか。極端な例かもしれませんが、もう障害者とは、言わなくてもいいと思えるわけです。飛躍した考え方だと思われるかもしれませんが、我々の世界ではそうではありません。

例えば、メガネ。かけている人は、かけていないときにはぼやけた状態で見えています。僕も目が悪いのでコンタクトをしてなかったらぼやけています。眼鏡をかけるとピントを合わせて見えるようになります。いわゆる視力を良くするためのテクノロジーです。ただ、数十年前は、まだテクノロジーが未熟で牛乳瓶の底みたいな分厚いメガネやダサイ眼鏡をかけた小学生がいました。コンプレックスになりそうなものだった。しかし、今は眼鏡をかけている人の裸眼視力を、我々は一切気にしていません。コンタクトをしている人の裸眼視力なんて、誰も気にしてない。見えているという前提条件に立っているわけです。

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その前提条件にたどり着く前に、テクノロジーの貢献があったわけです。矯正視力さえあれば、日常生活では誰も気にしていない。それだけメガネは社会に浸透していて、なおかつデザイン性も優れているものがあって、かっこいいとすら思っている。注目してほしいのは、こういうことが、義足の業界であり得るか、ということなのです。まだまだ成り立たないというのが、現状です。義足の人が歩いていると、我々は見てしまいます。義足も気になる。頑張っている、と思ってしまうかもしれない。それだけ義足のテクノロジーは未熟で、社会にもまだ馴染んでいないものだということです。これがメガネのような存在になり得るか、というのが我々のチャレンジです。

障害だから、ではなく、困っているから助ける

今の話は、欠損した人間が健常者のレベルまで追いつくか、という話です。ここでもっと言うと、欠損にテクノロジーを使えると、めちゃめちゃ足が長いこともあり得るし、足を速くすることも可能です。生身の人間にはないテクノロジー、カーボンとか金属とかバッテリーとか、我々の生体の条件に当てはまらないものも、使えるようになるからです。将来的には、人間ができないことができるようになる可能性が大きいのは、実は欠損患者さんの方だともいえるわけです。

そんな考えが見えてきて、骨肉腫で足を失った後輩はかわいそうだ、という思いが少なからず変化していきました。海外に行き、ヒュー・ハー先生とも接して「これは未来だな」と思ったのです。足がないという感覚を皆が受け入れていて、自然に振る舞っている。

あえて義足に触れないけれども、困っていたら助ける。それは障害者だからではなく、その人が困っているからという感覚で接している。それがものすごく未来だと思ったのですね。

では今、何が足りてないのかというと、まず圧倒的にテクノロジーが機能補完できていないという根本的なところに加えて、社会に受け入れられていない、ということを強く感じています。二つとも、世の中に圧倒的に足りない。なので、エンジニアですからテクノロジーの部分を補いつつ、どうやったら社会に受け入れられるか、ということを考えながら活動しています。

ロボット義足のテクノロジーはまだ難しい

今は競技用義足がメインですが、ロボット義足も研究しています。骨格筋の数え方はいろいろあるのですが、人間の身体には、500以上の筋肉があります。脳みそがこれを動かしているのですが、ロボットでいうと100、200以上の<

モーターを同時に動かすコンピューターの制御はかなり大変です。それだけ人間というのは複雑な運動をしているわけですね。しかも動かすだけではなく、連動したりして巧みな運動をする。歩行ひとつとってみても、筋肉の連動を置き換えるのはとても困難です。足ひとつだけでも、100個同時にモーターをコントロールするくらいの動きです。そもそも100本を足の中に埋め込んだら、かなり重くなってしまうので現実的ではありません。

では、どういうロボットが人間の姿になり得るか。まず、歩行がメインではない、ということで、完璧な歩行ができる義足はなんだろう、と考えました。それがロボット義足です。日本には、2012年に帰ってきたのですが、2019年までずっとこのプロジェクトを続けています。

サイバスロンという競技大会が、2016年にありました。これはパラリンピックとはちょっと違い、テクノロジーを使った障害者しか出られない競技大会です。ブレーンコンピューターレース、義足、電動義手、電動車いすなど、6つの競技がありました。この時、膝の部分にロボットの技術を導入した義足を作りました。世の中に出回っている義足のほとんどには、モーターが入っていません。モーターをつければ機能的になるのですが、重くなるし、価格も高くなる。まだまだ技術的には未熟です。サイバスロンでは、大会直前まで試行錯誤して出場をしました。一通りのことはできる、とも思いましたが、競技としては惨敗。負けたのはロボット義足を使っていた選手でした。仕上がりが遅くなって、選手がトライアルをする時間が少なかったのもいけなかった。

電動にすることで扱いも難しくなります。ロボット義足のテクノロジーが難しいところは、ものさえよければいいと言うわけではなく、身体の一部にならなければ意味がないと感じました。

プロフィール

遠藤謙/ 株式会社Xiborg代表取締役

慶應義塾大学修士課程修了後、渡米。マサチューセッツ工科大学メディアラボバイオメカトロニクスグループにて、人間の身体能力の解析や下腿義足の開発に従事。2012年博士取得。一方、マサチューセッツ工科大学D-labにて講師を勤め、途上国向けの義肢装具に関する講義を担当。現在、ソニーコンピュータサイエンス研究所アソシエイトリサーチャー。ロボット技術を用いた身体能力の拡張に関する研究に携わる。また、途上国向けの義肢装具の開発、普及を目的としたD-Legの代表、途上国向けものづくりビジネスのワークショップやコンテストを主催するSee-Dの代表も務める。2012年、MITが出版する科学雑誌Technology Reviewが選ぶ35才以下のイノベータ35人(TR35)に選出された。2014年ダボス会議ヤンググローバルリーダー。

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