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No.21 おおたわ史絵

インタビュー INTERVIEW/美しい人 No.21 おおたわ史絵 「何かをプラスするより、私はマイナスの発想。普段はノーメイクで、化粧水も自分で作ります。自分に本当に必要なものだけあればいいんです」 Photo:三宅詩朗/ Text:大場祐子/ Edtior:鈴木ちづる

No.21 おおたわ史絵

― 最近、テレビで頻繁にお見受けするおおたわさんですが、そもそも、メディアで活動し始めたきっかけは何だったのですか。
おおたわ いまでは医師臨床研修医制度が改正されて、随分環境は良くなりましたが、私が研修医の頃は、寝る時間は毎日2時間くらい、急患があれば起こされ、お休みもなく、お給料もほぼ出ないような中で働いていたんです。必死でその生活を続けた結果、私はうつ病のような状態になり、半年間休みを取りました。
― 随分と過酷な環境でしたね。
おおたわ その時は、もう医師としてやっていく自信をなくし、やめようと思ったほどでした。でも、少しずつ良くなってきて、いままでの自分は何も作り上げていないと気付いたんです。ちょうど30歳になる年。医師の仕事もきちんとやらなくては、自立しなくてはと思いました。でも、これまでと同じやり方をしていたのでは自分自身が破綻する。だったら違う生き方をしようと、文章を書き始めました。そして、「週刊朝日」の編集部に突然電話をして「文章を書いたから見てほしい」と、いわゆる持ち込み営業をかけたのです。たまたま担当者が興味を持ってくれて、そこから連載が始まり、メディアに出るようになりました。
― すごい行動力ですね。その一歩が、今のご活躍に繋がるのですね。メディアでのお仕事以外に、夏山診療ボランティアや障害者医療にも取り組んでいらっしゃいますよね。
おおたわ 夏山診療ボランティアは、山頂に医務室を設けて登山途中に具合が悪くなった人を診察するものなのですが、最近では毎年行っています。実は、ずっと以前から先輩医師に誘われていたものの、断り続けていたんです。でも、父が亡くなって初めて迎えたお正月にふと「今年は登ろう」と思ったのです。誘ってくれた先輩は「ハイキング、ハイキング!」と言うので、半分だまされたように参加しましたが、実際登ってみたら、ロープを使って道なき道を登るようなこともあり、結構ハードでした(笑)。しかも、山小屋にはテレビもパソコンもない。携帯電話も通じない。使える水も限られているのでお風呂にも入れない。どうしようと。でも、意外にも登ってみたら不自由に感じなかったんですよ。やることがなければ、雲を眺めていればいいし、夜は星を数えていればいい。何もなくても人間は生きていけるんだと分かりました。医療に関して言えば、最低限の治療しかできないのですが、だからこそ、ナースや医学生と協力してがんばれる。患者さんの中には診察の翌朝、わざわざ医務室にやってきて「下山する力が出てきた。ありがとうございました」と言ってくれたり、下山してから書いて送ってくれた手紙が山小屋に貼ってあったりして、行くたびに感慨深い経験をさせてもらっています。
― 障害者医療は同じく医師であったお父様がされていたとか。
おおたわ そうなんです。障害者医療は、父から引き継いだ仕事で、私自身やりたいと思っていた仕事のひとつでした。3歳から20歳までを対象としたろう学校の校医をしているんです。健康状態を看るだけでなく、彼らと触れ合うことで色々と学ばせてもらっていますね。私たちが普段の暮らしの中で忘れがちなことに気付かせてくれるし、どの子もとてもかわいい。この仕事は、父が私に残してくれて本当に良かったと思います。
― お忙しい中、健康や美容のために何かされていることはありますか。
おおたわ 実は、そんなにないんですよ(笑)。いまは情報があふれ、化粧品から美容整形までたくさんの美容方法がありますが、それらは肌に何かをプラスする発想ですよね。私の場合はマイナスの発想なのです。お化粧をすると肌が窮屈な気がするので、普段はノーメイク。何かをプラスすることより、きちんと汚れを落とすことが大事と思うので、外から帰ったら洗顔だけはしっかりと。とは言え、それも通販の洗顔石けん(笑)。美容液なんて10年以上買っていないし、化粧水も自分で必要な成分が入った薬品を購入し、蒸留水で薄めて使っています。私の友達はやはり女医が多いのですが、皆普段のお手入れはシンプルですね。肌がきれいな人は余計なことをしていないものです。食事に関しては、夫の影響が大きいかもしれません。彼はトライアスロンやトレイルランをやっていて、体脂肪が10%以下なんですよ。だから、食に対してもストイック。一緒に生活をしていると自然につられますよね。それと、私自身、子どもの頃肥満体質だったので、夕飯に炭水化物をとらないとか揚げ物を控えるとか、その位は気をつけて太らないようにしています。元々お酒も飲まないから、深酒をして眠りが浅くなることもない。睡眠も大事ですからね。特別なことはしていませんが、シンプルに、自分の生活の中で自然とできることをやっています。
― モダンダンスをされていると聞きましたが。
おおたわ 中・高校生の頃にやっていたのですが、忙しくてしばらく遠ざかっていました。ところが、ダンス教室の前を通ったときに「そう言えば、踊り、好きだったな」と思い出して再開。時間があれば週に3〜4回行くこともあります。疲れていたり、気分が落ち込んでいるときでも、重い腰を上げて行くと、必ず行って良かったとなるんです。踊っているときは、集中するので頭が真っ白になりますからね。美容や健康のためというより、ダンスは私にとって生きていくために必要なもののひとつのような気がします。
― 生きるために必要な存在と言えば、ご主人やワンちゃんも、ですよね。
おおたわ そうですね。実は私がうつ状態で一時仕事を休んでいた時も、何かを言うでもなく、ただそばで淡々といてくれたのが今の主人です。結婚したことも、大きかったかもしれませんね。精神的に落ち着きました。つかず離れずの心地良い関係が続いています。主人は、私にとっては最大の味方で、最大の協力者といえますね。それと、わんこの「ロック」。ロックはね、亡き父にがんが見つかった日に飼い始めたんです。父は元々C型肝炎を患っていたので、私も医者ですから、いつかは癌になるかもしれない、今後どういう末路を辿るかは知っていました。知っているからこその辛さもあるんです。主人に「がんだったんだよ」と話したら、ふと彼が「ドライブでも行こうか」と誘ってきたんですね。で、偶然ペットショップで気むずかしそうな眉毛をしたわんこがいて、それがすごく父に似ていて。まだ子犬なのにオヤジくさい顔で。主人が「連れて帰ろうか」と言い出したのですが、ふたりとも忙しいので、きっと面倒を見られないだろうと私は思い、その場で3時間話し合いです(笑)。彼は「今日連れて帰らないと、一生会えない気がする」と言い、私は「散歩はどうする?」「ごはんはどうする?」と現実的なことが頭に浮かんで。二人で納得するまで話をして、ロックは我が家に来たんです。そんなエピソードもあり、父の代わりではないですが、「ロック」には特別な想いがあります。

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― 充実した日々を送られているようですね。さて、健やかに美しく生きるために、今後チャレンジしたいことはありますか。
おおたわ 実はそんなに大きい目標はないんです(笑)。富とか名誉とかにも興味がない。目に見えて欲しいものはなくて、目に見えないものが実は大切だといまは思うんです。毎日1分でも多く笑って暮らせたらいいな、健やかに楽しく生きられたらいいなと思っています。そのために必要なのが、いまやっている活動の全てだと思います。いま思うと、一度医者の仕事を休んで、どん底を経験したり、大切な父を失ったりしたときに、ふとヒントが見えてきたような気がするんですよね。夏山診療ボランティアやわんこの「ロック」との出会いも、そんなときに偶然出合ったものです。探して、探して、もがいたりしなくても、きちんと自分と向き合っていれば、人生の節目節目で自然とヒントが見えてくるし、自分に必要なものがわかってくる。そうすると、きっと、幸せが近づいてくるんじゃないかと思います。自分に本当に必要なものだけが残るのかもしれませんね。今あるものを自分らしく続けていくことがある意味今後のチャレンジかもしれません。
― 忙しくしている現代の人に、何か健康のアドバイスはありますか。
おおたわ 今、結局は自分に必要なものが残る、という話をしたと思うのですが、それとも通じてて、「人間の体にあるものは全て必要なもの」ということですかね。四足歩行の時は尻尾でかじを取っていたわけですが、二足歩行になって手でバランスが取れるようになったら、尻尾は退化してなくなりましたよね。だから今人間の体に残っているものは必要なものしかないんです。だからこそ、全てを使って生きましょう、と。人間の機能としてちゃんと備わっているのに、意外と使っていないということが往々にしてあるんです。世の中便利になった分、歩いていけるのに、歩かないでエスカレーターに乗ったり、車に乗る癖がついていたり。適度に使わないと悪くなるんです。意外と脳も使っていなかったり(笑)。耳も使おうと思うと、普段聞こえていなかった色々な音が聞こえたりもするんですよ。今の生活だと腕の可動範囲が狭い事が多いので血が滞って肩や背中がこったりもします。使い過ぎは良くないのですが、体の使っていない部分があったら、ちょっと動かしてみて、血が巡るようにすると体は自然とバランスが取れるようになってきたりしますよ。習慣ですから、一日で大きくは変わりませんが、続けることで少しずつ自分の体の変化が感じられると思います。

美の逸品

私を美しくしてくれる一品

「どんな場所にいても、愛犬のロックに会いたいから帰ります。そして、ロックとぬくぬくしながら一緒に添い寝して自然と眠りにつくのが何よりの幸せです。毎日、いてくれてありがとう!と感謝するほど愛おしい存在です。実はペットに癒される、という時、脳内にオキトシンやセロトニンといった幸せを感じるホルモンが分泌されるんですよ。私自身の話題よりも、ロックの写真を載せたときの方がブログの反応が良く、それをチェックするもまた楽しいんです」

おおたわ史絵 (おおたわ・ふみえ)

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おおたわ史絵 (おおたわ・ふみえ)おおたわふみえ

総合内科専門医

筑波大学附属高等学校、東京女子医科大学卒業。内科医師の難関 総合内科専門医の資格を持ち、多くの患者の診療にあたる。近年では、少年院、刑務所受刑者たちの診療にも携わる数少ない日本のプリズンドクターである…

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