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読む講演会Vol.10

2017年04月28日

No.10 夏まゆみ /“読む講演会”クローズアップパートナー

人生に無駄なことはない。つらいときこそチャンスです!。 No.10 ダンスプロデューサー 夏まゆみ

〜登場と同時に手拍子を叩く夏氏。聴講者も、思わずそれに応えるように手拍子を打つ。開演前はシーンと静まりかえっていた会場も、手拍子を打つ人数が次第に増えていき、夏氏のリズムに乗せられていく。会場が一体感に包まれ、まるでミュージシャンのコンサートに来たかのような雰囲気で講演が始まる。

リズムでコミュニケーションを取る3つの効果

No.10 夏まゆみ

みなさん、こんにちは。夏まゆみです。本日はよろしくお願いいたします。冒頭から言葉もないままに、リズムでコミュニケーションを取らせていただきました。みなさんにご協力いただきました。ありがとうございます。これには、3つの効果があります。一つ目は、体と心をほぐすことです。緊張していると、人の話はしっかり入ってこないし、しっかり受け止められません。できる限りリラックスした状態を作るために、心と体の緊張をほぐします。二つ目は、脳の活性化を図ります。頭を縦に動かしていくと、ドーパミンが分泌されて、脳が活性化します。適度にドーパミンが出るので、脳の活性化が図れます。

もう一つの効果をご紹介する前に、私は今、自分のことを名前しか言っていません。実は15分ぐらい前から、袖でずっと「早くみんなに会いたいな」と思って待っていたんです。まずは、ちょっとだけ自己紹介しておきますね。ダンスプロデューサーという、みなさんあんまり聞き慣れない職業だと思います。みなさんがご存知の、振付師、振付家という、ダンスを作ってダンスを教えるというお仕事もその一部です。また、オーディションで、ダイヤモンドの原石と言われる、可能性と能力と魅力を秘めた人材を発掘して、プロの人材に育成するというのも、私の大きな仕事の1つになっています。

ということで、先ほどの効果。体をほぐす、心をほぐす、そして脳の活性化を図る。三つ目が、今の皆さんの状態を計り知ることができる、ということです。みなさんのことをオーディションしちゃった(笑)。では、ここで合格者発表!私のオーディションの、この鋭い目で、合格者を発表してまいります。・・・・・全員合格です(笑)。おめでとうございます!

オーディションで何を見ていたかというと、4つです。最近の方々は能力をしっかりとお持ちなのに、自分で持っている能力を自覚していらっしゃらない方が多い。今何を見たかというと、急に出てきて、何もしゃべらないうちに何かやり出したのに、一切気後れすることなく、やろうとする吸収力。これが1つ。そして、やることが刻々と変わっていきますが、それをしっかりと集中してとらえようとする集中力。これが2つ。それから、遠い人も近い人も、端っこの人もいますけれども、何をしているのかをしっかり見極める観察力。これが3つめ。

さらに手を叩く以外に、物を叩いたり、足を踏み鳴らしたりしました。これを聴きわけ聞きとる力、これが傾聴力です。これが4つ目。実はこの傾聴力、すごく大事です。ただ耳で聞くだけじゃなくて、傾聴力の聴という字は、ここに耳って書いてあります。耳に加えて、横向きになっているけれど目がありますね。耳だけで聞くのではなく、目と心でも聴く。これすごく大事です。でも意外に難しい。

これから私の経験談や芸能界のエピソードをお話ししていきますが、その時に、もし傾聴力を持って聴かないと、ただの世間話だったり、ただの夢物語だったりって受け止めちゃう。だけどそれを、自分ごとにして「なぜこの人は、こんな話をここでしてるんだろう?」と、受け止められるかどうか。たとえばみなさんも、先輩や上司が突然「君はこれこれこうだよ」って何か話しかけてきたとき、「今この人は、なぜ私にその言葉をかけるんだろう?」と考えられたら、自分にプラスになる気付きがたくさん増えていきます。そこで活きるのが、傾聴力なんです。

成功者とは、能力や魅力を最大限に発揮して輝いている人

私がこうやって、ダンス以外でみなさんとお話ができるようになったのは、『エースと呼ばれる人は何をしているのか』という本を2年半前に出版させていただいてからです。この本には、「芸能人もビジネスマンも、成功する人はみんな同じことをやっている」ということを書いています。もう1冊『夢は、強く思った人からかなえられる』と合わせて読むと、今日の1時間よりもっとお勉強になるかもしれないです。ただ、本を読むことが苦手な人がいたり、読むだけだと心に響かない人もいます。今日は、なるべく本にも載っていないことをお話していこうと思います。

私が成功者と呼んでいるのは、決してお金持ちになった人だったり、大きな会社の社長になった人のことではありません。ひと昔前に、「勝ち組、負け組」なんて言葉もありましたが、勝ち組になることでもない。では、何かというと、自分の能力や魅力を最大限に発揮して輝いている人。これが、成功者だと思います。絶対に幸せじゃないですか?自分の能力、魅力を最大限に引き出せていたら、これほど幸せなことはない。

お金持ちだって、むなしいことがあります。でも、自分の能力、魅力が十分に求められたら、これほどうれしいことはありません。だから、これが今日のテーマです。自分の能力や魅力を最大限に発揮するために。この話をするために、今日はやってきました。本の中では、3つのワードで書いています。自分の能力や魅力を最大限に発揮するために、いったい何をすればいいのか。「自己を確立して、自信を持って、前に進む」。この3つです。でも、すごく簡単そうに思えて、実はすごく難しいですよね?

一つ目の自己の確立で、もうつまずく人もいるでしょう。自己確立って、どんなものなのか。それは、自分は何を目指していて、そのためには何をやるべきか、ということを明確にすることです。今、若い子たちの中では、「特に何も目指してないんだけど、どうしようかな、と思っているんです」という人もたくさんいます。そういう人たちは、「自分は今、何ができて、何をするときが楽しいのか。どんなときに生きがいを感じるのか」ということを明確にしていくと、自己確立のきっかけになります。自己確立して、自信を持って前に進む。ただ、じゃあ、自分だけ良ければいいのか、というと、実は自分だけ良ければいいわけではないんですね。これでは実は本当の意味での成功者にはなれない、ということをぜひ知っておいてほしいと思います。

何を送り届けているのか?を認識するべき

ホワイトボードに書いていきましょう。私の仕事は、ダンスプロデューサーと人材育成、指導者。どこで働いているかというと、エンターテインメント業界、音楽芸能業界。誰に教えるのかというと、グループやユニットのメンバー。何をしているのかというと、ダンスや歌。ミュージカルならお芝居。応援してくれるファンの人、テレビを見ている視聴者さんに向けて発信する。じゃあ、今日ここにお集まりのみなさんは、どうですか。大きな飲食の会社に所属して、飲食店で働いている。立派です。みんな知っている会社。どこで働いているのか。飲食業界、外食業界ですね。何をしているのかというと、お店で働いている。でも、一人でやっているわけではないですね。お店のみんな、チームで力を合わせて頑張っている。でも、実はこんなことを私はしています、だけで絶対に終わっちゃいけないんです。

一番大事なのは、何を送り届けているか、です。私はモーニング娘。の例えば『LOVEマシーン』でもAKB48の『会いたかった』でも、楽曲を送ることで、見ているファンの人たちや視聴者の方々に、明日への活力だったり、「僕も頑張っていこう」という勇気だったり、「もしかして自分にもできるかもしれない」という希望だったりを送り届けたいと思ってやってきました。では、みなさんは何を送り届けていますか。それが問われるということなんです。安心の食材だったり、価値ある商品を扱って、さて何を送り届けているのか。

私は食べることが大好きだから、おいしいものを食べると「幸せだな」って思うんです。おいしいものを仲間と食べている笑顔は最高だし、幸せな気分になれる。みなさんが届けているのは、もしかしてこれじゃないですか。ただ、食材を届けているんじゃないですよね。さっきお伝えした傾聴力があれば、こういうことがわかっていきます。まったく違う世界の話なのに自分ごととして捉えられる。自分の成長につながっていく。自分が鍛えられる。理解も早まります。

例えば、お店はチームでやっている。最近、こうした講演会でお声がかかるのは、チームビルディングやチームワークがテーマになることが多いんです。でも、チームワークって、そもそも何だかわかりますか。簡単に「チームワーク」「協調性を持って」「一致団結して」なんて言われますけど、私には少し違和感が残ります。

チームというものに甘えず個を輝かせる

No.10 夏まゆみ

もう40年くらい前、私は学生時代にバスケットボール部に所属していました。バスケットボールは、5人でやるチーム競技です。担当の先生が私にくれた成績表には、協調性のところに五重丸がついていました。これは最高点なんです。私の友人で陸上部に入っている友人がいました。協調性の欄に×がついてた。でも、正直に言います。私はまったく協調性がありませんでした。

バスケットボール部では、私は48点中36点くらい自分で入れられるポイントゲッターでした。だから、人にパスして他のチームメイトがシュートを逃すより、自分で決めたほうがいいから絶対にパスしなかった。そうしたら、バスケット部のコーチに怒られちゃった。そのくらい私は協調性がなかったのに、成績表は五重丸。陸上部のお友だちはすごくいい子で、協調性はバッチリだったのに、協調性は×。そのくらい協調性というのは、曖昧なものなんです。そんな曖昧なものをワードに使って、多くの人数を引きつれて、チームを作って前に進んでいくことはできない、ですよね。ではどうすればいいのか。目的を共有することです。明確な目的を、必ずチームメイトに伝えるんです。それがあれば、みんな方向を間違えずに進むことができる。

かつてモーニング娘。に新メンバーが入ってきたとき、彼女は新加入だから、まったく萎縮しちゃって、前に出ない。でも、センターで歌って、しっかり目立つように、ということで振りを付けました。ところが、全然前に出てこない。そのとき、私は言いました。「なんで遠慮しちゃうの。センターに抜擢されたお前が遠慮してたら、モーニング娘。の力が弱っちゃうよ。先輩たちに遠慮せずにもっともっと前に出なさい。遠慮しなくていい。楽屋ではしっかりと先輩たちに敬意を払っても、ステージに出たら、上下関係は関係ない」芸能界では、上下関係かなり厳しいです。でも「ステージに立ったら、そんなのいい。先輩を食ってしまいなさい」と言ったんです。

それまでモーニング娘。をしっかり支えてきた先輩メンバーには、新人が入ってきたことで、少し引いちゃったり、ちょっと落ち込んじゃったりした子もいます。そんな彼女に対しても言いました。「何やってんだ。お前が引いちゃったり、遠慮しちゃったりしたら、モーニング娘。じゃなくなっちゃうよ。モーニング娘。の顔は、これまでもこれからも、お前なんだ。変わらずに引っ張ってってくれ」

また、端のほうを担っていたメンバーは、背も高くてモデル体型で、手足もすごく長かった。だけど「私端っこだから」と、遠慮して小さくなって踊っていたので、言いました。「なんてことしてるんだ、もったいない。誰よりも背が高くて、誰よりも手足が長いのに、なぜそれは映らないんだ。全部みんなに見せてやりなさい。『誰よりも私、手長いでしょう。誰よりも足、長いでしょう』と見せるようにして、踊ってごらん」

与えられたポジションで、自分の魅力を思い切り出す潔さ

何が言いたいのかというと、チームには上限の点数がない、ということです。チームだからって、「チームで100点取れればいいや」ということではない。チームにいるから満点は果てしないんです。みんなチームにいると、チームで100点だから僕は30点くらい、私は20点くらい出せばいい、となる。みんなで仲良く「10人いれば、10点ずつ取りましょう。そうしたら100点満点だ」と思ってしまう。そうじゃないんです。チームの全員、チームの一人ひとりが100点を取らないといけないんです。そうしたら、5人寄れば500点になる。10人いたら1000点になる。チームの点には、上限がありません。だから、モーニング娘。では、一人ひとりが野球でいう4番バッターになりなさい、という指導をしました。『LOVEマシーン』を始め『恋愛レボリューション21』や『ザ☆ピ〜ス!』等たくさんの楽曲もミリオンセラーになって、みなさんに希望や勇気をたくさん届けることができた。国民的アイドルと呼ばれるまで成長しました。

AKBだって同じ。女の子の世界、他の業界と同様、妬みや嫉妬はもちろんある。センターの重圧、メンバーからの目線、自信がなくなって、緊張と不安で負けそうになる時もある。そういうときにはこう言います。「ここに立てるのは、選ばれた人間だけなんだ。努力した人間がここに立ったとき、努力した以上の力が発揮できる。すごい場所なんだよ。自信を持っていいんだよ」

一方、ステージの端で「センターは別の子だし、私はいいかな」と目立たないところで踊っている子は「どうせ端っこだし、お客さんも見てないし」みたいな雰囲気なんです。そういうときは、こう言っていました。「何やってんだよ。チャンスだよ。真ん中にいたら、全体を見て踊るしかない。でも、端っこにいればいるほど、お客さんに向いて踊れる。こんなに近くにお客さんが直接いて、近いコミュニケーションが取れる。お客さんは、僕を見てくれている、と思う。そうしたら、すごく強いファンになる。コアなファンになる。そういうお客さんを獲得できるベストな場所なのに」

センターからちょっとずれた、2列目、3列目の子たちには、こう言っていました。「やった。ベストポジションだ。だってセンター、射程距離だよ。お客さんのことも冷静に見られるよ。センターにいる子もしっかり把握できる。自分は今後どうやっていけば、このお客さんたちの心を掴むことができるのか、十分に学ぶことができる位置だね」どこにいても、自分のポジション、与えられたポジションで、自分の魅力を思い切り出せるようにしたんです。AKB48。今も人気のアイドル、ユニットになりました。

本当につらいときにしか、底力くんは出てきてくれない

No.10 夏まゆみ

まずは目的をきちんと共有して、こんなふうに強いチームを作り上げてほしいんです。これができると、みんなが自分の魅力を最大限に発揮しようと努力するようになる。実際、モーニング娘。もAKBもそうでした。自己を確立して、自信を持って前に進んでいる人が、それぞれのチームにいて、すべてのメンバーがそうなったら、必ずモーニング娘。やAKB48になれると思うんです。

もちろん、人生は意外につらいこともある。けっこうある。そんなとき、どうやって乗り越えていったらいいのか。これまでもきっといっぱいいろんなことがあったと思うし、これからも、もしかしたらあるかもしれないけど、人間にはすごい底力があるんです。底力って、怖いイメージがあるから、私はいつも「くん」付けにすることにしています。底力くんというのが、みんなの身体の中にはいるんです。底力くんは、すごい大変なときや、すごくつらいときにしか、ムクムクって出てきてくれない。でも、みんな持っているんです。

本当につらいときこそ、底力くんに会えるチャンスです。そして底力くんに会えるときは、成長するチャンス。底力くんに会えた自分は、絶対に自信が持てる。だから、つらいときも、大変なときもチャンスと思って頑張り続けることが大事。みんな底力くんを持っているから。きっといろんな人から「頑張れ」って言われていると思います。頑張っているのはわかっている。でも、もっともっと自分の底力くんに会いに行くことが大事なんです。

残念だけど、一生懸命生きてるとき、ガムシャラに頑張ってるときって、わからないんです。自分の能力があるのかどうか。逆に「あれ、もしかしたらダメなのかもしれない。向いていないのかもしれない」って思ったりする。でも、そんなときこそ、チャンスなんです。底力くんに会えるチャンス。本当に頑張ったときに出てくる、底力くんに出会うために少し落ち込んだとき、ちょっと壁にぶつかったとき、あえて一歩を踏み出してほしいんです。

みんなにいるんだから。底力くんはちゃんといるんだから。ぜひ、底力くんに会いに行ってほしい。人生、無駄なことはないんです。本当なんです。こんなことがありました。モーニング娘。を手掛ける随分前に、吉本印天然素材というユニットがありました。ナインティナイン、雨上がり決死隊などなど、ものすごいメンバーが所属していました。今や彼らは超売れっ子ですが、当時はまだまだ駆け出しの頃、私は20代後半。彼らに振り付けをして踊ってもらわないといけないプロジェクトでした。

つらい時に、一歩踏み出したおかげで

当時のみんなは、言うことを聞かない、やんちゃな男の子たちですよ。10代後半から、20代前半。もう本当に泣かされました。まして私は関西弁に慣れていない。「ちゃんとやってよ!」なんて東京弁でお願いしたら、「うっさいダアホ!!」なんて返ってくる。ドアホのアホが少し愛情も含まれている言葉だなんてことも知らなかったので、関西弁がきつくて、もう本当に悲しくてつらくて。言うことも聞いてくれないし、私を困らせることばかりするし、苦しかった。

東京駅から、新大阪に向かう新幹線に乗るとき、「新幹線止まっちゃいました」という理由で大阪に行かずに済まないかな、といつも思っていました。でも、舞台が年2回あって、振り付けをしないといけない。ちゃんと覚えて踊れるようにしないといけない。本当に大変だったけど、なんとかして一歩を踏み出していきました。

でも、TV番組『めちゃイケ』でナインティナインが「当時はすみません」と8年経った後に謝ってくれたんですね。「言うことを聞かないで困らせてごめんなさい」と。感動でした。そして一緒に踊るという機会も得ました。新幹線に乗るのを悩みながらも、一歩踏み出して良かったと思いました。おかげで、誰よりも振り付け指導に自信がついたんです。そしてこの経験が、NHKの『紅白歌合戦』で活きることになります。1999年は『LOVEマシーン』がオープニングでした。盛り上げるために、その年の紅白出演者全員が踊ることになりました。「wow wow wow wow!」です。紅組、白組まとめて、たくさんの大御所さんがずらり。

そんな歌手の皆さんを前にしてドキドキして、「簡単な動きだけど、やってもらえるかな」なんて心配しながら「人差し指と親指でLという形を作っていただけると幸いです。それを前に4回『wow wow』と言いながら押し出します」みたいに、ダンサーっぽくない敬語で説明して。でも、まったく動じてなかった自分がいました。天然素材を教えたおかげで、つらい思いの中で新幹線に乗る一歩を踏み出したおかげで、こんなふうに誰に対しても動じずに振り付けすることができるようになったと思うんです。

英語をペラペラにしてくれた、意外な経験

No.10 夏まゆみ

もっと昔、こんなこともありました。高校を卒業後、イギリスに留学したことがあります。英語を勉強しようと思って、ホームステイで半年以上滞在することを決めました。ところが、ホームステイ先の家族は本当に意地悪だったの。英語でしゃべってくれない。子どもが13歳の双子だったんですが、フランス語をしゃべるんです。意地悪されててつらかった。『キャンディキャンディ』の気分でした。

それであるとき、何とかこのホストファミリーに思いを伝えたいと思いました。ケンカ別れは嫌なので、ちゃんと話をしたかった。そこで「ここでは英語をしゃべってもらえないし、いじめられるから目的を果たせない。残念ながら環境が私には合わないので、家を出させていただきます。これまで一緒に過ごした時間は楽しかったし、たくさんの学びがありました」と半分ウソも含めて語ることにしました。

まず日本語を作って、それから辞書で英語に翻訳して。5日間、必死になって英語と格闘して、全部暗記して、それから家族の前でスピーチしたんです。こうやってしたスピーチは、どのくらい伝わったのか、よくわかりません。でも、これをきっかけに、英語がペラペラとしゃべれるようになったんです。

つらいときこそ、本当に成長のチャンスだ、と私が自信を持って言えるのは、そういう経験をたくさん積んできたからです。人生に無駄なことはない、というのもそう。英語を諦めてホストファミリーに黙って家を出ていたら、私は英語をしゃべれていないと思います。大阪に行く新幹線に乗らなかったら、紅白歌合戦の振り付けはできなかったかもしれない。

だから、これからいろんなことがあると思いますが、人生に無駄なことはない、つらいときこそチャンスだと思って、一歩を踏み出してほしいんです。自己を確立して、自信を持って前に進む。目的をチームみんなで共有して、お客さまに心を込めて届ける。そうすることで、みんながハッピーになれる。そんな幸せな人生を歩める人になってほしい。本当の成功者になってほしいです。

本日は、ありがとうございました。

(文:上阪徹)

夏まゆみ

夏まゆみ

夏まゆみ

ダンスプロデューサー

300組以上のアーティストの振り付けを担当してきた、ダンス界の第一人者。いわゆる“普通の子”を国民的アイドルにまで育て上げた経験・手腕から「ヒトが本来持つ道徳観に基づいた人間力向上」の指導者としても注目を集める。

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