:150人
松野明美さんは、1988年ソウルオリンピック(女子10000m)で日本新記録を樹立され、その後も駅伝やフルマラソンで多くの記録を塗りかえ活躍されました。実業団時代は人の4倍努力をし、「一番じゃなければ価値のない人生」、「頑張れば人は幸せになれる」とマラソンランナー松野明美さんは考えていたそうです。 ランナーを引退され、ご結婚、重い心臓病とダウン症を抱えた次男を授かり、葛藤の日々が始まります。テレビで見せる明るいイメージを壊してはいけないと、当初は次男がダウン症であることを一生隠していこうと考えていたそうです。 カミングアウトを決心されたことで、次男が周囲とふれあい、日々成長していく姿を見るうち、次第に心の壁がなくなっていったと言います。 母親が変わることで、子どもの成長を数倍喜べる―一番じゃなくてもいいじゃないか、人より遅くてもいいじゃないか、ちょっとずつ成長していくことが何より大切だという心境に、子どもが導いてくれたとお話しされる松野さん。ユーモアを交えながらも、次男と向き合い続ける日々の何気ないエピソードが胸に響きます。聴講者の方々も終始大きくうなずきながら、中には涙を浮かべていらっしゃる方もおり、ご自身の子育て体験を重ね合わせているようでした。 ご本人も苦悩されていたというお話のように、普段テレビで見る、ハツラツとした松野さんからはうかがい知れない苦悩や葛藤… それでも、目の前でお話される姿は、松野さんの本来の明るさが滲み出ているようで、会場は松野さんの爽やかな笑顔に包まれ、母親としての深い愛情を感じる感動の講演会となりました。
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