No.11 岸博幸 / 読む講演会 クローズアップパートナーNo.11 岸博幸 /“読む講演会”クローズアップパートナー

企業でも自治体でも、求められているのはイノベーションです。 No.11 慶應義塾大学大学院教授 岸博幸

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日本の将来を考えると、改革をしないと本当に危うい

No.11 岸博幸

安倍政権を評価できるか、できないか、といえば、残念ながら評価することはできない、ということになるかと思います。理由は簡単で、この4年半、大した改革を何もしていないからです。農業改革とか、働き方改革とか、いろんな掛け声は挙げるんですが、実は大した改革はできていない。「成長戦略だ、改革だ」と言ってきたんですが、改革を進めていない。その意味で、私はとてもフラストレーションが溜まっているんです。

改革できなかった政権で、実は数少ない成果が「国家戦略特区」でした。規模は小さい改革ですが、それでも、できていたら成果でした、ところが、加計学園の問題もそうでしたが、野党やメディアが寄ってたかってつぶそうとしている。

この国は、本当に改革を進めにくい国だな、と思います。ただ、日本の将来を考えると、改革をしないと本当に危ういんです。

安倍総理は4年半前、政権に返り咲いたとき、「日本経済の再生が重要課題です」と言っていました。では、日本経済の再生はどうしたらできるのか。

アベノミクスで1番に言われたのが、デフレの解消でした。重要です。しかし、デフレを解消したら日本経済を再生したといえるのか。インフレになって、モノの値段が上がるようになったら経済再生なんてことはありえないわけです。

デフレ解消は当たり前として、加えて経済成長率が高くならないといけない。企業は利益が増えて、しかも将来もそれが続かないといけない。投資や賃上げができるようにならないといけない。家計も、給料が増えて、消費を増やせるようになる。そうなって初めて、日本経済は再生します。

デフレの解消に加えて、経済成長率を高くしないといけないんです。

このときの経済成長率には、実は2種類ある、ということをぜひ知っておいていただけたらと思います。

ひとつは、「今この瞬間の景気がどうなのか」ということを表す短期的な成長率です。例えば、最近のデータでいえば、今年の1月~3月の経済成長率。年率でだいたい2.2%でした。これはまさに今の景気を表す、短期的な成長率です。

ちなみに2.2%というのは、とても良い数字です。だいたい成長率で2%を超えたら「景気が良い」という判断になると思っていただいて間違いないでしょう。その意味で、2%を超えたのは悪くない。

ただ、経済成長率にはもうひとつあって、長期的な成長率です。今、景気が良いからといって、それが1年で終わってしまったら意味がないわけです。やはり「ある程度、景気の良い時期が長く続くね」という環境ができてこそ、初めて企業も安心して、投資や賃上げができるわけです。

この長期的な成長率を示す数字が、「潜在成長率」です。端的にいえば、政府が余計な経済政策をしなくても、日本経済が自然体で実現可能な長期的な経済成長率のことです。

では、この2つの成長率は今、どうなっているのか。短期的な成長率は、先にもお伝えしたように今年1月~3月は2.2%といい数字でした。しかし、去年までの3年間は良くなかったんですね。1%くらいをずっとウロウロしていた。

そんな低い数字では、特に地方の中小企業が景気の良さを実感できなくて当然なんです。だから、1月~3月は良かったけど、それまではダメだった、と言えます。

でも、それ以上に問題なのは、潜在成長率が低い、ということなんです。内閣府の推計で、だいたい今の日本の長期的な成長率は年率0.8%です。日銀の推計だと3年くらい前は0.8%くらいでしたが、最近はさらに下げて0.6%になっている。

つまり、安倍政権で潜在成長率は下がってしまったんです。この状況では、さすがに今いくら多少景気が良くなっても、それが長続きするとは思えない。そういう状況なんです。

2019年くらいからは、経済にはマイナスの要因ばかり

では、どうやって経済成長率を高めていくのか。短期的な経済成長率を高めていくのは、実は難しいことではありません。経済には需要と供給という側面があり、需要が供給より少ないと景気は悪くなってしまう。こういうときには、単純に経済の需要を増やします。短期的な景気を良くするには、それが一番いいわけです。

実は安倍政権、過去3年間の失敗の反省もあって、ここはちゃんとやっています。去年10月の段階で、補正予算4兆数千億円を組んでいた。公共事業とか、いろいろなものですね。政府がお金を使う、つまり政府が需要を作ることを決めたわけです。

それに加えて今年度予算では、通常の予算以外に景気対策に3兆円ほど上積みして、合計7兆円、政府は財政出動しています。これくらい政府がお金を使って需要を作れば、普通、景気は良くなります。だから、「1月~3月に早速景気が良くなり出した」わけです。

ただ問題は、こうした公共事業などの政府の財政出動で良くなった景気は、1年くらいしかもたないことです。特に地方都市では、公共事業のお金が一巡したら、景気が元に戻ってしまった、という経験を持っている人も少なくないと思います。今年は景気が良くなっても、来年は雲行きが怪しくなる可能性があるということです。

日本にとって、ひとつ救いなのは、来年2018年は、2020年東京オリンピックに向けた、いろいろな施設の建設需要がピークになるタイミングだ、と言われていることです。だから、建設需要はすごく増える。それもあって、補正予算の効果が少し残ることを考えたら、「来年もそれほど悪くないかも」と考えられます。

ついでに2019年になると、もうオリンピックの前年です。世の中が盛り上がっていて、オリンピック関連の需要があって、なんとかなるだろうと考えられます。

ですから、おそらく、これから2年くらいは景気が良い状況が続くだろうと予想ができるんですね。今までに比べたら、良い状態が続くだろうと。

しかし、潜在成長率は低いままです。景気が良くなっても、ずっと続くとは思えない。もっといえば、2019年くらいからは、経済にはマイナスの要因ばかりが出てきます。

まず2019年、消費税が8%から10%に上がることが予定されています。延期になるかもしれませんが、これは当然、経済にマイナスです。

あとデフレ脱却にはだいぶ手こずっていますが、これだけ金融緩和をずっとやっていれば、2018年~19年には、デフレ脱却できるかもしれない。では、デフレ脱却したら、次は何が起きるのか。当然、日銀は今の大規模な金融緩和をやめて、逆に金利を上げたい、ということになるはずなんです。

アメリカはもう中央銀行が金利を上げ始めています。ヨーロッパの中央銀行も、アメリカに追随して早く上げたいと今は思っている。そういう世の中の状況ですから、日本もデフレ脱却したら、すかさず日銀は金融緩和をやめて、金利を上げようとするでしょう。これも当然、景気にはマイナスです。

加えて悩ましいのは、2020年の東京オリンピックです。メディア的には、「東京オリンピック、バンザイ」ムードで盛り上がっていて、これはこれで良いことなんですが、経済の面からオリンピックを見ると、悩ましい面があります。

というのは、過去オリンピックが開催された国の経済状況を見てみると、ほとんど例外なく、オリンピックが終わると景気が急速に悪くなっているからです。世界的なイベントが終わった後ですから、当然かもしれません。

いろいろ考えると、2020年以降に景気が悪くなることはわかっているんです。

プロフィール

岸博幸/  慶應義塾大学大学院教授

1962年9月1日生まれ。東京都出身。一橋大学経済学部卒業後、通商産業省(現・経済産業省)入省。通産省在籍時にコロンビア大学経営大学院に留学し、MBA取得。資源エネルギー庁長官官房国際資源課等を経て、2001年、第1次小泉純一郎内閣の経済財政政策担当大臣だった竹中平蔵氏の大臣補佐官に就任。その後、江田憲司衆院議員や元財務官僚の高橋洋一氏らと共に「官僚国家日本を変える元官僚の会(脱藩官僚の会)」を設立。以降、「脱藩官僚」としてテレビや雑誌でも活躍。講演では地域再生をはじめ、政治経済についての話をわかりやすく語る。おもしろく誰にでも理解できるような解説が好評である。

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