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山田耕平さんからのメッセージ


 
青年海外協力隊の村落開発普及員としてアフリカのマラウイ共和国で活動する中、アフリカで深刻化するHIV/AIDS問題に直面した山田さんは、エイズ予防啓発ソング「ディマクコンダ」(チェワ語で「愛してる」)を制作、マラウイ国内の音楽ヒットチャート1位を獲得。今でも老若男女が口ずさむ大ヒット曲となり、「コウヘイ・ヤマダ」はマラウイの国民的スターとして支持されている。青年海外協力隊の任務を終え帰国した現在は、講演会、イベント出演など精力的に活動し、エイズ予防啓発のほか、自らが体感した“アフリカの素晴らしさ”も伝えている。

 
 学生時代、台湾へ留学した時に世界各国の学生とディスカッションする機会があったり、もともと旅行が好きでインドやネパール、タイ、フィリピンなどアジア各国をバックパッカーで周るなど、海外への興味は強かったです。ただ、旅行をしていて強く思ったのは、旅行者はただの“傍観者”でしかないということ。そうではなく、僕は現地の人々と一緒に生活しながら、彼らの良い面も悪い面も知りたいと思いました。そのような「現場」を見るために青年海外協力隊へ参加しました。

 マラウイに赴任してからの2年3ヶ月間は本当に色々な学びを与えてもらいました。講演会でもお話しますが、まず、現地の人々の気質、民族性には驚かされました。わかりやすい例で言うと、約束の時間に1、2時間遅れてくるのは日常茶飯事(笑)。日本人の律儀な気質からすると考えられないですよね。
 任務の1つとして僕らは現地に「小規模灌漑」を普及させる活動していたのですが、やはり彼らのやり方や民族性を尊重することが重要でした。いくら先進国の優れた技術や知識を持ち込んだとしても、協力隊が帰国した後に、現地の人々がそれらを修理、メンテナンスできなければ意味がない。だから、その土地にあるもので作り、現地の人々にとって今後も維持可能な設備になることを考えて活動していました。

 海外協力、特に途上国への協力で重要なのは、「郷に入っては郷に従え」ではないですが、まず現地のやり方や民族性を理解することが重要だと実感しました。それが「正しい・間違っている」ではなく、ありのままを受け入れて尊重することが大前提だと思います。
 
 
   

 帰国してから講演会などで高校生たちと話す機会があるのですが、やはり日本ではHIV問題は完全に「自分には関係ない」こと。しかし実際は、先進国の中で唯一、HIV感染者が増加しているのが日本。もはや他人事ではないんです。

 マラウイでは、HIV問題が身近なものとして感じざるをえませんでした。ほとんど毎日のように、あちこちで人が亡くなりお葬式が行なわれている。僕の身近な人々の家族や、恋人、友人などもエイズで亡くなりました。そこで「僕に何かできることはないだろうか」と考えて「ディマクコンダ」を制作したんです。今は技術が進み、HIVに有効な薬が開発されたとはいえ、やはり何より“予防”が重要です。それにはHIVに対する偏見を取り除き、正しい知識を持つことが必要です。
 アフリカにはVCT(Voluntary Counselling and Testing)というエイズ検査相談所があります。検査に加えて、心理的負担を軽くするカウンセリングも伴うものです。
しかし、教育水準が低いがゆえに正しい知識を持てないアフリカの人々の間では、エイズへの偏見が根強く、VCTへ行くことにも腰が重いのが現状です。だから歌という手段で、VCTへ行くことの重要性を伝え、彼らの自発的な行動を促したかったのです。

 日本でも、僕の歌や活動を通して、HIVについて知ってほしいし、知るべきことだと思います。それに、予防といっても何も難しいことではないですし、ちょっとしたことを心掛ける、その意識が大きな違いを生むことを自覚してほしいですね。

 
 
   

 いま僕は、エイズ予防啓発のほかに、アフリカをプロモーションすることも活動の軸にしています。アフリカというと、どうしても貧困や飢餓、内紛など、ネガティブなイメージがついてまわりますよね。しかしそれは一側面でしかなく、もっとポジティブな面も広く知ってもらいたいんです。2010年には南アフリカでサッカーのワールドカップも行なわれますし、これからはアフリカがアツイ!と思っています。それから、在東京のアフリカ出身のミュージシャンらと一緒に、エイズ予防啓発をテーマにしたトークショー&ライブなど、エンターテイメントに富んだイベントも多くやっていこうと計画中です。また現在、NPO申請をしているところなので、来年の春以降はまたマラウイに戻り、新たに協力活動を始動させるつもりなので、そのための様々なプランを構想しているところです。
 
 それから、僕が今までの活動の中で感じたのは、一生懸命に熱を持って何かをやっていれば、必ずそのプランに賛同し、サポートしてくれる人が現れる、ということです。よく、学生さんたちに「どうしてそんなに積極的に行動できるのですか?」とか、「恐いと思わないのですか?」と聞かれますが、僕の場合は恐いと感じる前に行動しています(笑)。いろいろ考えるのは、行動してから。まずは、自分が「これだ」と思うものを見つけて、とにかく動いてみる。もし「これだ」というものが見つからなかったら、自分の好きなものとか、夢中になれることでもいいと思います。自分が熱中できるものは、周りの人をわくわくさせて突き動かすことができるんだ、ということを講演の中で感じてもらえたら嬉しいですね。  (了)

 
 
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