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静岡県生まれ。大学卒業後結婚、2児の母として主婦業のかたわら主婦ネットワーク作りに参加。家庭内の問題について多くのなまの声を集め、1997年に週刊「SPA!!」(扶桑社)で『ブレイク・ワイフ』の連載を開始。以降、家族、母親、子ども、教育などの問題を一貫してテーマとし、単行本の刊行、各種雑誌での執筆を続けている。独自の視点を大切に、作家として、またテレビコメンテーターとしても活躍中。最新刊『モンスターマザー』(光文社)は2007年11月に発売。変化する家族、親や子どもが抱える悩みなど、子どもと親、子どもと教師の関係性と未来の可能性について、メッセージを頂きました。 

 
 私には男の子が二人います。もともとは普通の主婦。子どもを育てていくなかで、妻としても、親としても家庭での幸せは感じていました。その一方で、どこか社会から取り残されていくような焦燥感を感じ、主婦たちのネットワーク作りに参加したのです。当時はちょうど児童虐待の調査がはじまった頃で、世の母親の子育てについて社会問題として取り上げられるようになっていました。ただ、そういった記事は母親や家族の問題について内面まで掘り下げたようなものではなかったため、実際に子育てをしている母親としてギャップを感じる部分もありました。私はたまたま多くの主婦のなまの声に接する立場にいましたし、また自分自身も主婦であり、母親でもあるという視点から、実際に家庭で何が起きているのか、子育てにおける家庭の背景をきちんと社会に伝えようと、本格的に取材、執筆活動をはじめたのです。取材をはじめて15年が経ち、現在までに延べ3000人以上の母親を取材しました。

 とはいえ私自身、子育てをする母親として悩むことや考えることもたくさんあります。子どもが部屋に閉じこもって出てこないときもありましたし、全然口を利かない時期もありました。困ったときには学校の先生に相談にのって頂いたり、周りの人の助けを借りてきました。長年、取材を続ける中で、また自分自身の経験をもとに、子育ては家庭や教育機関を含め、社会全体で考えていく必要があると考えています。

 
 
   
 最近、「先生と親のすれ違い」や「対立」について問題になっていますね。お互い、子どものことを大切に思っているのに、なぜ「すれ違い」や「対立」が起きるのでしょう。いくつか原因はありますが、そのうちのひとつは、先生と親の視点がズレていることが考えられます。先生や学校は「現象」を重視するのに対して、親は「感情」を重視します。
 例えば、いつも学年で一番の成績を取っていた子が、二番になったとします。先生にしてみれば、「一番から二番になったけど、トップクラスは変わらない。たぶん次はまた頑張るだろう」と、そのような認識だと思うんです。しかし、親からしてみたら、二番になったことで自分の子どもが悲しい思いをした、傷ついた、それによって自分もつらい、といったような感情のほうが重要なことなのです。「悲しい、つらい、傷ついた」という気持ちを受け止めてもらいたくて学校に行っても、学校側は現象しか見ていないので、「二番になってもそんなにたいした話じゃないですよ。次にまた頑張ればいいじゃないですか」という言い方になってしまうのです。まず親の感情に対して想像力をもってあげること、それを踏まえて先生が話をすることで、親と先生の関係も変わってくると思います。感情を抜きにして子育てはできませんからね。
 
  また、学校と親がつながることで、子どもへの接し方も変化してきます。学校の先生は、学校内の子どもの様子しかわかりません。親は家庭内の様子しかわからないですから、両者がつながって、互いの情報を交換したり共有することで、今まで気づかなかった子どもの意外な一面に気づくことがあると思います。親と学校が違う視点から子どもを見て、支えていくことによって、子どもの可能性が広がる。主体は子どもです。「学校や教師に問題がある」とか、「親がおかしい」などと声高に批判しあうのではなく、利害を抜きにして、子どものために力を合わせて頑張っていこうと、一致協力してほしいと思います。
 
 
   
  今はプロフの問題やネットによるいじめの問題など、子どもが抱える問題が複雑化しています。友達になりすましてプロフ(*1)を書いたり、学校裏サイト(*2)に実名でクラスメイトの誹謗中傷をしたり、こういった心ない書き込みが子どもの心を非常に傷つけています。家庭でできる対策としては、まずアクセス制限を行う携帯電話会社のフィルタリングサービス(*3)の利用があります。まだ利用率は低いのですが、まずはできることからはじめてみるといいですね。
 自分の子どもがどのようなサイトを利用しているのかを把握することも大切です。ただ、取材で話を聞いていると、パソコンや携帯電話の利用率は子どものほうが親より数段先を行っている場合が多い。親子間で「情報格差」が起きています。携帯電話であれば、子どもがロック設定をしてしまうと、親は子どもがどんなふうにネットを利用しているのか、誰とメール交換しているのか、まったくわからなくなってしまいます。多くのお母さんから「子どものことがわからない」とか「こっそり子どものパソコンを覗いてもいいか」などとよく相談されます。気持ちはわかりますが、本当に大切なのは、パソコンにアクセスすることではなく、子どもの心にアクセスすることです。
 子どもに対して、「どんなふうに大切に思っているのか」、「こんなふうに願って育ててきた」などと、子どもの感情にきちんと働きかけることが大切なのだと思います。ネット上のいじめの問題に限らず、親や先生といった大人がきちんと子どもの心にアクセスしていくことで、子どもの変化に気づいたり、子ども自身も大人に対して心を開いていけると思うのです。子どもが抱える問題は社会の問題として、子どもの健全な成長のために、一緒に考えていきたいと思っています。


  ※1. プロフ サイト上での自己紹介ページ。主に携帯電話から運営サイトにアクセスし、名前や学校名など個人情報を書き込むことができる。
  ※2. 学校裏サイト 学校の公式ホームページとは別に、学生や卒業生が交流や情報交換を目的に立ち上げたサイト。
  ※3. フィルタリングサービス 有害サイトへのアクセスを防ぐ携帯電話会社の無料サービス。
このサービスを使用している割合は、小学生1.2%、中学生0.8%、高校生1.1%という極めて低い利用率であることが、07年内閣府「第5回情報化社会と青少年に関する意識調査」でわかっている。


 
 
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