【PHP研究社 「THE 21」(2003年7月増刊号)より抜粋】
――訴訟よりも示談交渉を重視して仕事を行っているそうですが、それはどうしてなのでしょうか?
<橋下>弁護士としては、訴訟になったら失敗だと僕は思っているんです。訴訟になれば、多額の費用と時間がかかり、依頼人に大きな負担がかかってしまうからです。それよりも、訴訟にならないように示談交渉をして、解決をめざすほうが依頼人・相手方双方のためになります。もちろん、それでも解決できないときには、裁判で白黒つけてもらうしかありませんが。
――なぜ、示談交渉を重視する弁護士は異色なのでしょうか?
<橋下>裁判では「法」という共通のルールがベースにあるので、ある意味、非常にやりやすい。ところが、示談交渉の場合は、法律など知らない、あるいは初めから無視している人たちと渡り合わなければなりませんから、非常に泥臭く、タフな交渉力を要します。現在の司法研修制度では、裁判のやり方は教えても、示談交渉のやり方はまったく教えてくれません。
ですから、示談交渉をメインに置く弁護士は、非常に少ないのです。事実、僕の事務所でも、イソベン(居候弁護士)を二人雇ったことがありますが、一人は二日で、もう一人は五日で辞めてしまいました。忙しさもあるでしょうが、それくらいタフで面倒な仕事だということです。
――それほど面倒な示談交渉を、どうして仕事のメインに位置づけられているのでしょうか?
<橋下>一つは先ほど述べたように、依頼者の負担を軽くするため。そして、もう一つは僕自身のためです。僕のような若い弁護士が、自分の事務所を開いて顧客を集めるのはたいへんです。先輩たちと同じことをしていたのでは、僕の存在価値がありません。だから、あえて他の弁護士がやらない示談交渉をメインに据えて仕事をしているんです。自分の色≠出すという意味で、人と違ったことをするのは重要だと思います。 |