「病気が教えてくれたこと」
    まだ全てを吹っ切れたわけではない叶 和貴子さん。この3年間で学んだことは、いさぎよさと勇気だという。華やかな世界にいつづけたら絶対に気づくことのなかった視点、考
え方。それらは全てリウマチという病が教えてくれた。
最近「勇気」と「いさぎよさ」っていう言葉が大好きなんです。 病気をしてこの3年間テレビに出ないで落ち込んだり、とにかく人と会いたくないと思
ったり、時には死にたいと思ったりと様々な心の葛藤があったんです。でも最近では病 気のことを世間に言っちゃおうと思うようになったんです。これって「いさぎよさ」で
すよね?!隠していること自体に疲れちゃったっていうのもあるんですけど・・・。で もこれからの時代女性もいさぎよくなくちゃいけないと思うんです。「勇気」と「いさ
ぎよさ」があればどんな境遇にも立ち向かって行けそうな気がしませんか?!この言葉 は男性のためだけの言葉ではなく、女性にもあてはまるのでは・・・。もしかしたら私
の前世は男かも?!だからそんなこと思うのかしら(笑)。でもいざとなると女性のほ うが「勇気」と「いさぎよさ」があるかもしれませんね。自分が病気をして、現在45
歳の今、そしてこれからの私にも大切な言葉のひとつです(ネ)!
いったんはこのまま女優を辞めようと思ったと言う。じゃ辞めたら何がきるんだろう? 何にもできないな・・・。落ち込んでそんな風にばかり考えていた。女優以外に仕事が
ないわけではない。しかし何故悩むのか?見栄、プライド、過去の栄光、病、痛み、自 信喪失、年齢。人間そういった葛藤や煩悩を解消した時にこそ強くなるのかもしれない。
女優にこだわっているうちは駄目でしたね。その気になれば別に違う職業でもいいんじゃないか、なんて考えられるようになるまでにはかなりの時間を要しました。今でも決し
て完璧にそう思えるわけじゃありません。でも一歩一歩前進しているつもりです。昔の ようには動けない。でも時は関係なく過ぎてゆく。それならしっかりと自分と向き合って生活していく。周りの目など気にせず生きていく。
自分の置かれた立場が変わったことで周りにいる人たちも変わってきた。それまでは華 やかな叶 和貴子だけを見ている人が多かった。今シンプルになった。本当に自分のこと
を考えてくれる人たちだけが残ったと思います。
これまでは「あの人リュウマチね・・・」「あの人叶和貴子よあんなになっちゃって・ ・・」と様々な見方をする人たちが出てくるのを怖がっていました。でもね考え方によっ
てはそういう人たち以外に残った人たちが本当の自分に縁のある人たちだな、自分に必要 な人が集まってくれる時期なんだなと思えるようになったんです。それまでは健康で元気で仕事もうまく行っていたから、利用しようとする人たちもいました。今はそうじゃないですよね。人員整理じゃないけれど、病気になったことで、すごくシンプルになってきました。今近くにいる人たちが自分にとって本当に大切な人たちなんだって。
マザーテレサがこんないいことを言っているんです。「その辺を行き交う例えばホーム レスの人がいたり、片足のない人がいたとしても、それは皆イエスキリストが姿を変えて人間がどういう風に接するか、地上に見に来ている姿なんです。だから、どんな姿の人に
も愛を持って接する・・・」すごい考え方ですよね。私も少しでもそういう考え方でいつづけられたら、と思っているのですが。なかなかできませんね。
お父さんの死と共にリウマチが悪化し3年前に芸能活動を休止。自分の生きている世界を 漸く認めてくれた矢先のことだった。否応泣くこれまでの人生を振り返る。忙しかったり
持ち上げられている時には見えてこない世界。叶さんはインディアンのこんな言葉を教えて くれた。
「心と体が病んだときは、自分が歩んできた道をもう一度振り返ってみよう」 決して全てを吹っ切って、この取材に応じてくれたわけではない。まだ弱気な自分がいる。でも勇気を持って前に向かって進んでいくんだ。温和で優しい口調の中からも、そんな気持ちが伝わってくる。
華やかさだけが夢を与えるわけではない、格好悪くても一生懸命な姿が人に勇気や感動 を与えることもある。病気から学んだことを語り、それに苦しんでいる人たちに少しでも
勇気や希望を与えることが叶さんの使命かどうかは分からない。ただ少なくとも前に進も うとしている彼女の姿に勇気やいさぎよさを学ぶ人たちは少なからずいるような気がした。
|